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The Big Chill Festival 2009 (8/6-9)

2009-08-06 @ Eastnor Castle

ビッグ・チル・フェスティバルは、小さなワーゲンに4人の仲間とキャンプ用品を積み込むことから始まる。会場であるイーストノア城の美しい森林公園までロンドンから3時間。会場に近づくにつれて、道案内の標識がそこかしこと置かれているものの、道順を間違うこともしばしばだ。

ロンドン市街を車で出発してから、緑の生い茂る郊外へ抜け出すのには、そう時間はかからない。

会場に到着し、家族用のキャンプ場へと進む。今年は家族用キャンプスペースのチケットが取れた。小さな赤ちゃん達が初ビッグ・チルを経験するのだ。

今年は週末前の金曜日にいつもよりも大分早めに出発したのだが、他の参加者も皆同じ考えでいたようで、駐車場自体が例年よりもずっと早く満車になっていた。

荷物を担いでキャンプ場へと歩いていくと、「ビッグ・チル」という名前の通り、リラックスした心地よいムードが漂っているのを感じる。

天気が悪くて悪名が高いイギリスの夏でも、ビッグ・チルの期間になると何故だか必ず天気が良くなる。今年も、期間中3日間、素晴らしく晴れた。ちょっと暑すぎる時もあったが、そんなときはパラソルや木陰で涼むことができた。

ビッグ・チル・フェスティバルは、1994年の開始以来、アコースティック、エレクトロニカ、オルタナティブ系のアートや音楽を熱心なファン達に配信し続けている。他のフェスティバルが、ダンスフロアや装飾など集客目的のパフォーマンスに力を入れる傾向にあるのに対し、ビッグ・チルは、日中はラウンジ系や家族で楽しめる雰囲気を保ち、夜にはよりパーティ色を濃くした空間を作り出すという伝統を守り続けている。

今年のラインナップの中では、ビッグ・チルにとって欠くことのできない存在である前トーキング・ヘッズのデビッド・バーンがその代表格だ。ブライアン・イーノとのコラボレーションでのクラシックなミックスやカヴァーバージョンに乗って、月曜の朝まで踊り続ける人たちもいた。後半部分では、絶妙なVJやダンサー達で会場は最高に盛り上がり、デビッド・バーン本人もチュチュを着て登場し、革新的なミュージシャンの再来を告げることとなった。

その他にも、今年はベテラン格のオービタルが参加し、土曜の夜に会場をレーブ化した。オービタルの前には、会場の盛り上げ役ザ・ネクスト・メンが、ノーザンソウル・クラシックからレゲエ、ジャングル、時にはメタルまで取り混ぜたミックスで会場を充分に暖めた。ミックス技術やスタイルのフュージョンにはDJスキニーが参加。DJスキニーは、ザ・ネクスト・メンのライブには常連で、観客から充分熱気が伝わってこないために音楽を途中でとめたことすらある盛り上げ上手だ。

その他にも、DJデレック、ドン・レッツ、ノーマン・ジェイなど、日曜午後の枠で人気のレギュラー陣が参加。マーキュリー賞にノミネートされたフレンドリー・フライズのナンバーに乗って、歌手のエド・マクファーレンがまるで火の上で踊っているかのようなダンスをし始めるなど、若い観客を沸かせた。

今年は、個人的にスペインのベニカシム・フェスティバルにも参加したが、ビッグ・チルとの違いは歴然だった。ベニカシムは一晩のみのイベントで、踊りつかれた足を休ませる場もなく、まるで大きな駐車場でバンドを見させらてれているような感覚に陥る。歴史も浅く、おそらく近くにビーチがあるということだけで人を集めているイベントだろう。一方ビッグ・チルは、基本的に草原でのんびりし、多国籍の屋台料理をひっきりなしに食べ続け(ベジタリアン用のメニューも豊富)、必要とあらば新聞を読めるスペースもあるというセッティングだ。言うまでもなく、ビッグ・チルは少し高めの年齢層をひきつけている。実際に、子供連れの参加者が多く、子供用の遊び場や託児所まであるのだ。

もし開催期間中にイギリスにいる予定で、好天候が望めそうなら、ビッグ・チルは絶対に参加してみるべきイベントだろう。