今回レポートに向かったイベントは、ケン・イシイがメインをつとめるイベント「standard」だ。世界的には大御所だったり、有名でありながら、日本ではまだあまり知られていない良質なアーティストたちを積極的に紹介していくというコンセプトでスタートする、新たなパーティーである。記念すべき第1回目のゲストは、”D CRASH”のヒットで一躍テクノシーンに名を広めたBryan Zentz。さらに、2004年にリリースしたアルバム『VOLUME FREAK』で美しくエモーショナルな世界観を見せつけ、世界中のリスナーを虜にしたファンク・ディヴォイドの日本初のライブセット! この豪華な顔合わせは、ほぼ再現不可能なはず。大型連休の初日の夜だし、行くしかないね!
フロアの温度は早くも急上昇
てなわけで到着したWOMB。ファンク・ディヴォイドのライブだけでもレア なのに、さらにBryan Zentzもプレイということで檄混みを予想していたが、意外にも快適なスペースを確保でき、まずはひと安心。すでにフロアではBryan Zentzがバリバリとプレイ中!ハード目なトラックモノを中心に、ときおりブレイクビーツや歌モノをミックスしてのプレイ。いいタイミングで” D CRASH”も繰り出され、フロアの温度は急上昇。
PELOSのライブは極上のグルーヴ!
そんななか、そそくさと 1 階に移動したのは、パーカッション・ユニット「 PELOS 」のライブを見るため。フライヤーにちらっと「アフリカン・パーカッションのライブがあるよ」と書いてあったから、少しだけ気になっていたのだ。移動する と、すでに PELOS のライブは始まっており、めちゃくちゃかっこいい! 生音のライブは、なんといってもリズムが重要だと思うのだが、パーカッションを叩くメンバー3 人の息がピッタリと合い、極上のグルーヴを奏でる。「あ~、生音もやっぱりいいなー、ドラムとかやりたいなー」なんてウットリしたあと、メインフロアに移 動。
待ってました!ファンク・デュヴォイドのライブ!
長めのイントロから始まり、徐々に徐々にビートが聞こ えてくる。おお! このフレーズは! いきなり来た! ” Emotional Content ” ! ハッキリいって、今日来たのはこの曲を聴くためのようなものだったから、すでに感無量の心持ち。「美しく、繊細、それでいて力強い。これ以上なにを望 むのか?」。そんなトラックで幕を開けたライブは、新作アルバムからの曲をプレイしていたはずだが、エフェクトをかけたり、 CD とはちがうミックスだったりして、新鮮に聞こえる。ライブ中のファンク・ディヴォイドは、 MAC を操作しながら、ときおりキーボードを弾き、ノリノリでプレイ! ラストまで美しさとグルーブを絶やさない、見事なライブだった。
トリは、もちろんケン・イシイ!
まずはサックスの入った派手な曲からスタートし、いきなりフロアは爆 発! やっぱ世界のケン・イシイはすごいや。なんて感心しているヒマもなく、サンバっぽいリズムの曲だったり、メロディアスな曲と、かなりアッパーでアゲ アゲなセット! 本当のことを言おう。この日は、自分にとってはケン・イシイが一番よかった! ゲストでプレイした Bryan Zentz やファンク・ディヴォイドに申し訳ないけれど、ケン・イシイがすげーかっこよかった。アッパーだが下品にならず、どこかしらクリアな世界観。あらめて彼の 実力を見なおすことになった。
最後に
こんな豪華なメンツは、おそらく日本で再び見ることは難しいだろうというラインナップでスタート した「 standard 」。日本ではあまり知られず世界では有名という、絶妙なラインのアーティストを、これからもどんどん呼んでほしい。ビッグネーム DJ はたくさん来日するけれど、爆発的なまでの盛り上がりには到達していないと感じてしまう、現在のクラブシーン。必要なのは、今回の「 standard 」のような、果敢に挑戦してゆく姿勢を持ったパーティーなのかも知れない。オーガナイザーさん、 WOMB さん、これからもぜひこんなパーティーをよろしくお願いします!
http://www.standard-japan.com/