clubberiaをご覧の皆さま、初めまして!Liquid Drop Groove(略LDG)主宰のYUTAです。2021年7月よりコラムを連載させていただきます。ツアー等で世界各地や日本全国を旅しているので、多角的に音楽シーンについて書いていけたらと思います!
恐縮ながら簡潔な自己紹介をさせていただきますと、YUTA名義でアーティスト兼プロデューサーとして活動をしています。サイケデリックテクノのDJとして世界のレイブフェスを回っているほか、クラブパーティーや野外フェスティバルのオーガナイズ、楽曲リリースやPoscast運営を含むレーベル事業、招聘するアーティストに対してツアーを組むマネージメント業務、楽曲制作などをしています。長期に渡って若手の育成にもエネルギーを注いでいて、野外パーティーが成立するまでのプロセスやプロモーションのノウハウなど教えたりしています。
まずはライフワークとなっているLDGの最新情報をお伝えさせて下さい。6月17日に沖縄が生んだ多彩にして奇才なアーティストTasokoの3曲をリリース致しました。マスタリングはTasokoのサウンドテイストに合わせ、テクノヘッズは皆んな大好きTobias.にオファー。アートワークには関西が誇る至高のアーティストQotarooを迎えました。Tasokoの織りなす美しい旋律とその豊富な表現力は、まるで映画の三部作のようなストーリー仕立ての内容になっています。3月20日に河口湖で開催したLDG野外パーティー後に書き下ろした楽曲『Reflection』は特にオススメです。LDGのBandcampやFormaviva、大型ダウンロードサイトで是非チェックお願い致します。
続いては、今回の本題について触れていきたいと思います。一年間を通して完結させるLDGのパーティーシリーズ。その一環として群馬県川場村に位置する標高1300メートルの武尊山にて開催する「EDEN」は、”天空の楽園”がコンセプトのフェスティバルとなっています。
2020年夏は勝浦にて「Techno Hippies」と題し都市型スタイルにて開催しました。2021年は1ステージに集中してフロア全体をコンパクトに作り込み、解像度が高く繊細な表現を得意とするサウンドシステムd&bと、インスタレーションの中で踊る楽園をイメージしています。
日本では数少ない4日間のフェスティバル。ゆっくり滞在できるコンテンツとストーリー性を重要視したタイムテーブルは、日毎にコンセプトを設けた上で世界観を構築。テクノだけに限らず多様性を意識しました。
今年で5周年を迎えるLDG。新たな場所で4日間にも及ぶチャレンジングな企画を皆様に体感してもらえたら主催として嬉しく思います。
4日間への想い
何故こんな長期間で開催するのですか? という質問が周りから予想外に多く…(笑)まずはこちらについて一筆とらせてください。
夏にヨーロッパで開催されるフェスティバルは短期で3日間、長期は10日間にも及びます。パンデミック以降、ヨーロッパのフェスティバルに参加できなくなって2年目となる2021年ですが、個人的に2014年から毎年ヨーロッパに滞在できるよう働きかけを続けてきました。
4日間に渡り開催する理由としては、もっとゆっくり楽しめる場が欲しい衝動に駆られている背景もありますが、フェスは準備に掛ける期間が数ヶ月、内容によっては半年ほどかかるので、「短期開催は寂しすぎる…」と感じる点からでもあります。その儚さも魅力ではありますが(笑)特にインスタレーションやステージの構想が素晴らしいとその想いは強くなるんです。長期開催の場合、目指す規模やその時のコンセプトにもよりますが、出店やワークショップを充実させて、バラエティに富んだフードやアルコール、フェスティバル内でのアクティビティに近隣の観光情報など、音楽だけではないアプローチがあると滞在しやすくなります。ホスピタリティ次第で4日間はあっという間で、長いだけに個々でドラマもあるでしょうし、忘れられない経験になると思います。20代の僕がそうであったように、コンセプチュアルだったりメッセージが込まれたフェスティバル体験をキッカケに新たな価値観や感覚が身に付き日頃の生活に変化が起きれば主催冥利につきます。
Katharsisとの共催までの物語
2020年にMasafumi Takeから一通のメッセージが来て僕らの物語は始まりました。
MasafumiがKatharsisのパーティーで招聘してきたインターナショナルアーティストと僕が共に活動している事もあって距離感はそもそも近く、Masafumiがトランシーなテクノや90年代のEBMやレトロゴアの要素をDJ SETに取り入れた背景も後押しして、ディープ系のトランスシーン出身であるLDGの活動がMasafumiのインスピレーションになりヤル気を触発させていたようです(笑)
第一回目のロックダウン中の2020年5月に代官山DebrisでローンチしたLDG ChannelというオンラインパーティーにMasafumiを招聘したのが最初の仕事で、以降はLDGのパーティー部門の制作とプロモーションのサポートをお願いしつつ、フェスティバル開催の土台作りから進行まで一連の流れも体感してもらっています。
川場村について
東京から会場となる群馬県川場村までは約2時間30分。川場スキー場は標高1300メートルに位置していて、会場からクルマで10分ほど山を下ると川場村の中心部、そこはまさに田舎の里山と田園風景が広がっています。
お勧めの観光スポットは年間180万人が訪れる「川場田園プラザ」。道の駅とは思えない設備と武尊山の麓に広がる自然豊かな環境で一日中遊べて、地元の新鮮野菜・果物が買えるファーマーズマーケットや、地元食材を使用したレストラン、パン工房、ビール工房、カフェなどもあり、ゆっくり楽しむことができます。
さらに、川場村には美しい茅葺き屋根が素敵な「悠湯里庵」や「小住温泉」をはじめ、日帰り温泉施設が充実してます。小住温泉とEDENは提携していて、会場から温泉までのシャトルバスも御座いますので是非ご利用ください。
4日間の中で周辺の観光も楽しんで頂ければと思います。
ホスピタリティとアクティビティ
長丁場になりますので、フードのラインナップも充実させております。気温が高い中ですので食べやすい麺類、身体に優しいご飯、パワーフードも取り揃えています。
アルコール類は、特筆しますと川場産のクラフトビールや、薬酒、メスカルバーにワインバーも予定しています。高純度で良質なお酒をお楽しみください。
渋谷発バスツアーも席数限定で展開していますが、万が一、バスツアーのスケジュールに合わない方に向けて川場スキー場の最寄駅となる上毛高原駅から会場までのシャトルバスも予定していますのでご安心ください。
会場内のアクティビティは、フィンランド式のテントサウナにプールを装備、施設内の水シャワーも無料でご利用いただけます。また、お子様もゆっくり滞在できますよう移動図書館をオファーしました。
館内テントエリアは火気厳禁となりますので、主催側でホットウォーターを準備いたします。屋外キャンプのヒルトップエリアは見晴らしが良くお勧めです。また、標高が高いため日差しが強いです。熱中症対策として10メートル以上のストレッチテントを二つインストールの予定です。
夕焼けを満喫した後は気温が下がります。夏とはいえ、会場付近の最低気温は15度くらいになる日もありますので、防寒対策も併せてお願い致します。
インスタレーション
今年は空間デザインに携わって頂くアート集団が3チームとなりました。ダンスフロアや動線、エントランスのゲートに装飾を施します。4日間のEDENを創り上げる重要なキーポイントとなるでしょう。非現実的なアート空間の中で踊る環境は、メンタリティ的にも音楽に入り込みやすくなると我々は考えています。
昨年の象徴となったダンスフロアのシェードや会場動線の装飾を担当したKanoya Project
https://www.instagram.com/kanoyaproject/
5月ゴールデンウィークに江ノ島でのアートイベント〜春の宵〜も記憶に新しい、宇宙と和式美をテーマに光と反射の空間作品を創りだすMIRRORBOWLER
https://www.instagram.com/mirrorbowler/
流木アートのパイオニアにして廃材アートも得意とするSamaya Design
https://samaya-design.com
タイムテーブル
フェスティバル全体のコンセプトとは別に、タイムテーブルを作る上で日毎にテーマを設けてあります。テクノだけに限らず、ハウスやダウンビートもフォローしているのですが、今回はジャンルや方向性でステージを分けるのではなく、ワンステージの中でじっくり創り込む事を念頭におきました。4日間という長期だからこそ、チャレンジングですし、とてもやり甲斐のある手法なんですよね。
日毎のテーマは以下になります。
DAY 1 狼煙
DAY 2 変革
DAY 3 サイケデリック
DAY 4 フルオン
招聘させていただいたアーティストには、日毎のテーマは当然の事ながら、前後の流れと夕陽を軸とした時間配分とストーリー性をお伝えしているので、主催側も非常にワクワクしています!プロモーションの一環で、オファー時の裏話や主催との関係性など、部分的にテキストに起こしてますので、是非LDGのInstagramまたはFacebookをチェックして下さいね。
テントサイトの写真、会場の全体像が把握できるドローン映像、昨年の野外写真など、イメージ共有にお役立て出来ましたら幸いです。
まとめページも作りました、以下でご確認いただけます。
https://www.instagram.com/masafumi_katharsis/guide/eden-info/17890414001200100/
チケットリンク
RA:https://ra.co/events/1443558
ZAIKO:https://liquiddropgroove.zaiko.io/
レーベルプロフィール
Liquid Drop Groove(略LDG)は、「一雫が水面に創造する波紋のような音と空間」をコンセプトに、2016年Dommuneで狼煙をあげたサイケデリックテクノレーベル。これまでに八丈島で野外パーティを開催、沖縄においてはAgaitidaの主軸であり、レーベルナイトを関西や四国で展開、海外フェスティバル内でも企画をしてきた。コンスタントな楽曲リリースに、隔月で世界有数のサイケデリックギャザリングOZORA FESTIVALとPodcastの運営、野外会場での動画プロモーション、プロダクションサポート等、今後もシーンを驚愕させる大型の予定が決まっている。世界のレイブフェスティバルやテクノシーンを渡り歩くYUTA率いるマルチ集団。
LDGの音楽性
音楽性も精神性も、ゴアとテクノを混ぜるアイデアからスタートしたLDG、テクノでトランス体験をテーマに、サイケデリック要素を随所に散りばめています。
LDGの音楽は、ドイツが誇るアシッドテクノマスターThomas P. Heckmannから始まり、トランスとテクノの両シーンを圧巻したSon Kite・MinilogueのMarcus Henrikssonに大きなインスパイアを受けてきました。2015年にレーベルの構想を始めて2016年に発足、2017年まではトランス寄りなアシッドテクノと、南米やスペイン等のラテンエリアで展開されてきたダークでハードなスタイルに僅かながらディープなテイストも加えたテクノでした。2018年からテクノのバリエーションが増え、2019年にはダビーやハウシーも積極的に取り入れ、テクノというフォーマットに落とし込んだ表現をしてきました。
ブッキングは、2018年まではトランスシーンに所縁あるラインナップが多く、トランスと抱き合わせ企画も行っていましたが、方向性については何度も熟考、葛藤を繰り返してきました。自身の本心に従いながらゆっくり形を変え、来たる2020年、完全にディープ路線へ転向、パンデミック中も粛々と活動を続け脚光を浴びる事となる。