UG、AllA、tecの3人によって、2020年のコロナ渦より始動したディープテクノパーティ、松果体。
未だコミュニティとして広がりが小さいテクノを、ローカルアンダーグラウンドシーンの側面から切り拓き、3人のレジデント、UG、AllA、tecと数名のアーティストをゲストとして招くスタイルでスタートした本パーティは、オープンからラストまでテクノフリークスたちが踊り、その踊り続ける姿は東京アンダーグラウンドシーンの新たなシンボルとして台頭している何よりの証拠でもある。
今回、松果体は4周年を迎える。記念すべき4周年パーティに、前回開催時に招聘し好評を得た、コスタリカのヒプノティックテクノミュージックプロジェクト、Linear Systemの別名義であるHattori Hanzoを招聘。アメリカのDeveloperが設立したテクノの名門レーベル〈Modularz〉、イタリアはミランのWrong Assessmentが主宰する〈AWRY〉や〈Edit Select〉からリリースを重ね、モダンでミニマルなシンセとドラムパターンを半永久的に反復した催眠的で没入感のあるテクノサウンドは、彼の現実に対する半懐疑的な態度が顕現しており、光と影、善と悪の二項対立、自身が重要視する幻想と現実の境界線を掌握しているかの如くコントラストに富んでいる。さらに今回は4周年を記念して、Hattori Hanzoがリリースしている〈Edit Select〉のレーベルメイトでもあるYrsenを共に招聘。リール出身のテクノDJ/プロデューサーであるYrsenは、ポルトガル、スペイン、南米のシーンからインスピレーションを受け、モジュラー・シンセ等のマシンを用いて、ディープかつヒプノティックなSci-Fiサウンドを形作り、ブロークンであれリニアであれ、強烈な質感を伴う彼のテクノは、ポリリズムと臨床的で鋭いドラムを融合させ、徹底的に精神的トリップへと誘導していく。数々の名門レーベルからリリースされた彼の作品は、名だたるアーティストたちにプレイされ、ベルリンのBerghainやTresorから、トビリシのKhidiやアムステルダムのAwakenings Festivalまで多くのヴェニューでプレイされている。また制作に限らず、リールのローカル・シーンで一晩中プレイするなど、積極的な現場活動に起因したオーディエンスが求ることへの理解度、さらにはポッドキャストへのミックス提供など、自らの手作業により着実に磨き上げてきたミックススキルで、音楽への探求の限界を拡張し、制作、DJ共にアンダーグラウンドテクノシーンで揺るぎないポジションを確立している。
世代を隔し異なる原体験から新たな視点を切り拓く松果体の隠し包丁tec、今年2月にファーストEP「Awakening EP」をリリースし、テクノを介した身体への訴求力の高いアプローチで活躍現場をさらに拡げているゼネラリストAllA、共和と躍進をテーマにフロアを押し上げ、コンクレートとキッチュが共存するアヴァンギャルディストであり本パーティの首謀者であるUG、レジデント3者も、それぞれがそれぞれの場所で異なる音楽体験を重ね、十分なインプットを伴った4周年を迎える。テクノシーンの重要人物である2者と交差する今回の松果体は、貴重な機会となるに違いない。
あらゆる方角から顕れる異音が反復していき、次第に催眠状態に陥る。忘我と熱狂の渦中に、アヴァンギャルドでイマーシブな非現実世界が出現する。忘執の臨界点に達すると、己の身1つ、五感を超えた第六感。すなわち彼らが原初より目指している、松果体による非言語的音楽体験ができるに違いない。
"As Above, So Below." 全ての境界が忘れ去られる狂熱の日。記念すべき4周年という今回、松果体に身を委ねてみないか。
pen 10PM
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