TSUYOSHI(以下T):すごく自然な流れで決まりましたね。同じJAZZY SPOTの2人(DJ MITSU THE BEATS、grooveman Spot)はもちろん、福富さんも一緒にDJやらせてもらったりしていたし、みんなもともと出会いがある人というか。
SHIGE(以下S):俺らがファンの人。日頃からこの人すげえな、かっこいいなって思ってる人たちにお願いした感じですね。
TAKUMI(以下TA):みんな、めちゃめちゃかっこいいですよね。俺が弾いてる元のシンセのフレーズをモチーフにして、弾き直してくれてる人もいたりして。そういうところも、すごいうれしかったし。
S:うちらの音源をちょっとだけ使うっていうんじゃなくて、素材を細かく編集して仕上げてくれてるんですよ。だから、同じ素材でこれだけできるんだ、スゲエなって。昔の曲だと、今俺たちが演奏したらこうなるかもしれないって感じるものもあったし、逆にこういうアプローチもあるんだってヤラれたものもあったし。みんな達人ですよ。本当リスペクト。
TA:やってしまった、さらけ出してしまったという感じで(笑)
S:初めのうちはセルフリミックスって話もあったんだけど、それよりも、その日の俺たちリミックスっていう形でライブをそのまま録ろう、と。で、PAの奴が働いてる吉祥寺のWARPで一発録りしました。
T:お客さんはいなかったけど、内容的にはふだんのライブでやってることですね。今まで出した曲をDJでいえばミックスみたいにつなげてライブするっていう。その25分間を収録したという感じで。ライブを見たことがない人にとっては、その空気感を知ってもらう機会になるかもしれない。
S:そうだね。しかも別の日はまた違う感じになるだろうからさ。その日、そのときの俺たち3人の雰囲気が伝わるといいよね。
T:俺らいつも多少意見をまとめてからスタジオに入るっていうのはあるんですけど、特に話をするというより、曲を聞いて、こんな感じをやろう、とか、あの夜のあのイベントのああいう感じ、とか、曲ごとにそうやって作っていくことが多いんですよね。誰か1人の構想が広がって、2人がそれに自然と乗っかっていくっていうのがおもしろい結果になったりするし。
S:“スーパー・ツヨシ・ライブラリー”つーのがあって(笑)。だいたいアイデアに困ってたら、そこから掘り出して聞いてみようってなるんですよ。
S:そうですね。やっぱり音楽をいいと思わないと作る気になれないから、今この瞬間にこの曲がいいっていうのを俺らいつも探していて。でも、それもある程度聞いちゃうと、また違うなってことになるんだけど、俺たち3人は、そういう繰り返しを続けているんだと思うんですよね。だから、まずいい音楽を聞くってことが作品を作るためには大事なのかな。
S:当初は、全部歌ものにしようと思ってたんですよ。でも最終的には、ほぼインストっていう結果に(笑)。
T:いつからか、インスト作る日が増えていって「あれかっこよかったな」みたいな(笑)。やっぱり自分たちがやりたいふうになっちゃいました。
S:山下達郎さんの曲ってすげえいいじゃないですか。俺、すげえファンだし。だから、そういう曲を真似して作ることもできたかもしれないけど、素直にそのままカヴァーしたいと思ったんですよね。それで、俺たち風にアレンジしてやったわけですけど、もう演奏してても、すげえ気持ちよくて(笑)。ゆうくん、ありがとう!みたいな。
T:スペイセックは、ちょうどアルバム作ってる最中に来日してたんですよ。ライブ見たら、すげえよくて。それで話しかけて、入ってもらった感じですね。なんかカーティスみたいな声に聞こえたんですよ。日本では黒人さんの声を聞く機会、あまりないじゃないですか。その感じがすごく懐かしくて。ああ、いいなあって。
TA:美香ちゃんは、俺らとも付き合い長いし、もうバッチリですよね。コーラスもさすがって感じで。俺らにとって念願のディスコチューンです。ヴォーカル3人それぞれタイプが違うし、歌ものとインストとあるし、今回のアルバムはすごくバリエーションが出たなと思いますね。
S:たとえば「Windy Lady」とか、すごく聴きやすい仕上がりだと思うんだけど、それだけじゃなく、やっぱり全曲あって俺らというか。めちゃめちゃアッパーな「Prosperity」からしっとりな「Windy Lady」につながる流れとか、ありえないかもしれないけど、その落差に俺たちはトバされるし、両方好きだから。
S:曲順は、ほとんどツヨシが決めてるんだけど、最近毎日DJやってるっていうのも影響してるんじゃないかな。DJって流れを作るのが大切だし。
T:僕らのまわりには、感情に訴えかけるDJが多いんですよね。音楽を、よりよく聞かせてくれるというか。たとえ知ってる曲でも全体の流れで、その1曲が、すごく印象的に変わるんですよ。だから、そういう感覚が身についたのかもしれないし、それが曲順にも反映されたのかもしれないですね。
T:あれはピリリと効いてますね(笑)。だいたい演奏しながら飛ばして、それを聞きながらまた自分で飛ばして。さらにミックスのとき、それを違う飛ばし方で飛ばす、みたいな流れなんですけど。
S:どんだけ飛ばすんだっていう(笑)。
S:オヤジのテクが出てきたのかな(笑)。ずっと頂点だと疲れちゃうでしょ。最近は、そういう下げて上げてっていう流れが好きになってきたのかもしれない。そういう部分を極めるっていうか、本当にできるようになるといいなっていつも考えてますけどね。なんか今回の作品で、やっとこれからの活動の芯ができた感じがするんですよね。表現者としてちょっと自信になったというか。もう俺ら一緒にやり始めて10年経ちますけど、10年続けてたら3人でこういうサウンドできるようになるんだって。
T:ソウル的なものも、ディスコ的なものだったり、今回やっとできた感があるんですよ。グルーヴ1つにしても、演奏の面でも、昔はこれ難しいなってって言ってたことが、それっぽくなってきたんじゃないか、そういう音が出せるようになってきたかなって思えるようになったというか。
S:俺ら不器用だし、タフじゃないし、ひいこら言いながらやってるけど、続けていれば形になるんだなって。そういう可能性を今回感じられたんですよね。ツヨシがいてタクちゃんがいるから、俺のドラムが活きる。個人個人の頑張りがあるから3人になったとき一番のパワーを生むんだよなって。改めて3人でやっていくことの自信ができた。だから、これから40になっても50になっても、ますますかっこよく、ますますシブく続けていける。今はそんな気がしていますね。
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