INTERVIEWS
バナーバナー

NOBODY HOME a.k.a MARUS HENRIKSSON of MINILOGUE / SONKITE

 
- とうの昔に捨てたと思っていた、名誉欲、支配欲、金銭欲などの強欲が根を張っていて、それが僕のピュアな感情を覆って、見えなくしていた。そのピュアな感情がどうして押し殺されているか、それを知りたかった。-
 
 
- ニュープロジェクトのNOBODY HOMEついて、まずは簡単にご紹介をお願いします。また、プロジェクトにはどんな由来があるのかも教えてもらえますか? -


僕の名前はMARCUS HENRIKKSON。MINILOGUE、そしてSON KITEのメンバーの一人として活動しているよ。ソ
ロプロジェクト「NOBODY HOME」をスタートさせたばかりで、今回日本で初公演をさせてもらうよ。

NOBODY HOMEが生まれた由来に関してだけど、この質問に答えるには、僕が過去に経験した出来事を話す必要があると思う。ちょっと長くなるけどいいかな?

去年、とてもドラマティックな変化が起こったんだ。「人生を変えるような出来事」と言っていいかもしれない。去年の初めかな、いろんな悩みに葛藤しながら毎日を過ごしていた僕は、今の状況を改善するためには自分自身を浄化する必要がある、という結論に達したんだ。どうして浄化する必要があると思ったのかについては、いくつか理由があるんだけど、中でも1番大きな理由は、「僕は幸せな人生を送ってない」と気がついたからなんだよ。だから自分が「心から幸せだと思える人生」を送るために、自分を浄化することが必要だと思ったんだ。

浄化するというのは、それはつまり僕の内なる潜在意識を浄化するということなんだけど、自分を浄化し、自分の内側にある感情がどんな物なのかを知って、身心共にクリアな状態する。その事自体はとてもいいことだと思う。だけどね、浄化するということは同時にたくさんの変化が起こるということなんだよ。それは僕自身乱れてしまう可能性を含んでいる。その事がとても怖かった。だけどその僕は、より幸せな人生を求めて自分自身を浄化することを決心したんだ。自分自身を浄化するため、つまり自分自身をよりよく知るために、僕はまず、ヨガのメディテーションを通して、精神世界を行き来することを何度も繰り返した。僕の中にある、内なる宇宙がどんな感情によって構成されているのか知るためにね。そうやって、自分の心の中にあるたくさんの 扉を開いて、自分が何を求めているのか突き詰めようとしたんだよ。

僕の中にはいろんな感情があった。とうの昔に捨てたと思っていた、名誉欲、支配欲、金銭欲などの強欲が根を張っていて、それが僕のピュアな感情を覆って、見えなくしていた。そのピュアな感情がどうして押し殺されているか、それを知りたかった。

そしてメディテーションを繰り返して行く中でわかったのは、僕は自分自身に、そして自分の感情に全然正直ではなかったということだったんだよ。また、僕が求めていたのは実にシンプル で、音楽家として何にも縛られず自由に想像力を駆使したいという事だったんだよね。つまり僕が求めていたのは、

「自分の感情に正直に生きたい」

ただそれだけだったんだよ。


この一連の経験で、自分の中にあるピュアな感情を開放して、より調和のとれた幸せな生き方をするためには、そしてより素晴らしい音楽家になるためには、自分に正直に向き合うことが不可欠だってことに気がついたんだ。自分のアイデンティティを素直に開放すればするほど、その瞬間の感情をより深く表現できる。それは音楽表現の場だけでなく、実際の生活の場でもね。幾多のメディテーションを繰り返して、そういった結論に達することができたんだ。そしてその事を悟った瞬間に、世界とそれを取り巻く人々と、自分の人生の見え方に大きな変化が起こって、世の中のすべてが輝きを放ち始めたんだ。

この経験によってわかった事は、このように僕はメディテーションを通して自分自身を整えることで、それまで自分の中には存在しなかった新たな境地にたどりつく事ができたということ。より深くもぐっていくことで、新しい考え方、新たなインスピレーションが生まれてくるということなんだ。そうして今までとは違う考え方で物事を見ることができるようになると、音楽制作におけるクリエイティブプロセスにも新たな可能性が生まれてくる。

つまり、このメディテーションプロセスを繰り返すことで、MINILOGUEでもなく、SON KITEでもない、MARCUS HENRIKSSON個人から放たれる強烈なオリジナリティをもった音楽を生むことができるようになったんだ。すでに自分が体感したことがある境地にいても、新しい事を生み出すことはできない。誰もいない場所(NOBODY HOME)にいて、はじめて今までにない考え方や自己表現ができるようになる。このことが僕にソロ活動を始める意義と、可能性と楽しさをもたらしてくれたんだ。

   
- 「自分の心に正直にやりたい事はやる、やりたくない事は絶対にやらない」という考えをしていたから、すぐにどこかのパーティでプレイがしたくなった。そしてその最初の機会は奇しくも、日本だったんだよね!-
 
 
- 1度ストップさせたDJ活動を再開したのはどうしてですか?また、今後どのような展開をしていくつもりですか?
-

 
1993年に地元のMALMOのちいさなクラブでDJを始めてから、2008年までノンストップで世界中のいろんな国でプレイしてきた。僕はある意味MINILOGUE / SON KITE以上にDJが好きだったし、プレイを重ねる度にDJの面白さが深まり、DJが持つ可能性に希望を見出してきた。だけど2008年のある日、突然DJやめようと思ったんだ。それは本当に突然やってきたんだよ。DJへの情熱が泡のように消えてなくなってしまったんだよね。その背景には、その時期面白くて仕方なかったMINILOGUE と SON KITEに100%集中したいという思いがあったのも原因の1つだと思う。

今思うと自分でも不思議で仕方ないけど、DJをやめることに対して全く未練がなかったし、むしろ気が楽になったくらいだったんだよね。だからレコードの収集もきっぱりやめて、友達のKarl-Axel Bisslerに僕のレコードコレクション(ものすごい数だよ)を全てあげたんだよ。彼はとても驚いてたけどね(笑) 

それから2回ほど、仲の良い友人に、どうしてもって頼まれてプレイしたけど、全然楽しくなかった。だからDJ活動はもうする事はないだろうと、その時は思ってたんだよね。だけど、止めた時と同じように、なんの前触れもなく突然その時が来たんだ。ある日スタジオの隅でホコリをかぶっていたDJ機材を、何気無く触ってみたんだ。
まだミックスできるかなぁ、とかそんな感じだったと思う。しばらくいろんなトラックをつなげて遊んでたんだけど、どんどん楽しくなってきたんだよね。気がついたら6時間くらいプレイしてたんじゃないかな。この頃の僕は前の質問で話した通り、「自分の心に正直にやりたい事はやる、やりたくない事は絶対にやらない」という考えをしていたから、すぐにどこかのパーティでプレイがしたくなった。そしてその最初の機会は奇しくも、日本だったんだよね!

昨年Motherが主催してくれたUNITでのMINILOGUEのニューアルバム「Blomma」のリリースツアーの時だよ。やってみて、本当に楽しかった。自分でも驚くくらいね。プレイもよかったと思う。だからMotherの夏の野外フェスティバルDISCOVERYでもプレイさせてほしいとTA-KAにお願いしたんだよ。そうして僕のなかでまたDJへの情熱が以前よりもっと熱くなった。それから僕の中でも試行錯誤しながら、どうしたらこの情熱をよりうまく表現できるか、みんなに届けられるかを考え続けたんだ。

僕の心の中にあるビジョンをしっかりと表現するには、妥協や和解、歩み寄りなどは一切排除しなくちゃいけない。そして、一切の束縛がない、完全なる自由が約束された精神状態に身を置いて、全身全霊、想像力の限りにクリエイティブしていくことが必要なんだ。そして辿りつたのが、「NOBODY HOME」なんだよ。このようにNOBODY HOMEが生まれるべくして生まれた事で、自然と、ソロ活動をスタートさせる時が来たんだと思ったんだよね。

NOBODY HOMEはDJプロジェクトとしてスタートさせたけど、実は同じ名義で楽曲制作もはじめたんだ。12インチでリリースを考えている曲がもういくつかあるよ。ミックスCDとかは今は考えていないかな、未来のことなんて何も分からないしね。

  - NOBODY HOMEの音楽性とは? -

僕の音楽的なテイストは、テイストがないってこと。コンセプトは「PSYCHEDELIC」&「HYPNOTIC」。それ以上でも以下でもない。先入観や固定概念を持ってほしくないから、まっさらな状態でパーティに来てほしいな。

  - NOBODY HOMEとMINILOGUE / SON KITEで共通するところはありますか? -

もちろんあるよ。僕の音楽感は基本的にMINILOGUE / SONKITEに集約されているからね。基本的にすべてのユニットで共通しているのは「サイケデリック」と「ヒプノティック」。この2つのテイストを異なる音楽性で表現しているのが、NOBODY HOMEであり、MINILOGUEであり、SON KITEなんだ。

DJは人々を旅路へと導くシャーマンのようなものだと思ってる。特にサイケデリックな旅路は、僕自身どこに向かうか予測不能だからとても楽しいね。
 
 
- 僕からみんなにお願いしたいのは、誰の心の中にも必ずある、物事を批判的にみる感情をこの日だけは捨ててパーティに来てほしい。-
 
- 今回のWOMBはどんなパーティになると思う? -

うーん、それは今はなんとも言えないね。ただ、間違いなく楽しいよ。それには確信的な自身がある。僕からみんなにお願いしたいのは、誰の心の中にも必ずある、物事を批判的にみる感情をこの日だけは捨ててパーティに来てほしい。そして素直な心で、何が起こるか、ワクワクしてほしい。それがパーティだからさ。絶対に「楽しい!」と思わせてあげられると思うよ!

あとKEN ISHIIのプレイもとても楽しみにしてるよ。彼はまさに日本が世界に誇るテクノアーティストの1人だと思う。彼のシリアスな王道のテクノから僕のヒプノティックなテクノへどんな形でつなぐことができるか、とても楽しみだね。その場のひらめきで、どんなストーリーになるか変わるから、今はなんとも言えないけどね(笑)

  - Motherとは2005年からの仲ですが、彼らのパーティの印象って? -

んー、なんて言えばいいだろう?彼らには本当に感謝しているんだ。まず、この場を借りてでありがとうと言わせてもらうね。彼らの献身的なサポートのおかげで僕らはいつもベストな状態でプレイに臨めて、結果、今まで自分たちでもベストと言えるショーを日本のみんなに届けることができた。だからこそ、日本にたくさんのファンがいてくれると思うんだ。彼らが作るパーティに疑問を持った事なんて、ないんじゃないかな。あえていうなら野外パーティをもっとやってほしい!!!! 

僕もSEBASTIAN(MINILOGUE / SON KITEのパートナー)も彼らの作る野外パーティがとても好きなんだよ。温かくてオーガニックな雰囲気、そこはまさにLOVE&PEACEを体現した世界で、幅広い音楽性を持つアーティストたちによる、時間軸で流れる素晴らしいタイムテーブルが何よりも素晴らしい。

S.O.S FestivalもGROUND BEATもどちらも最高の野外パーティだったけど、去年、彼らが4年間温めてきた野外フェスティバル・「DISCOVERY」には本当に驚かされた。正直、感動すら覚えたよ。本当に、本当に「美しいフェスティバル」だった。参加させてもらえたことをとても誇りに思ってるよ。野外パーティが真骨頂の彼らだけど、もちろんインドアパーティもトップクオリティの内容で、今まで何度も出演させてもらったageHaでのパーティはどれも本当に楽しかったよ。

  - 普段の生活を知りたいです。どんな一日を過ごしているんですか? -

平日はね、まず9:00に起きて、ベッドで5分ほどメディテーションするんだ。それからぬる目のお湯を飲んで体を覚ます。これは中国人のお医者さんに習ったんだけど、体をゆっくり目覚めさせるのにとても効果的なんだ。そしてまたメディテーションを20分ほどして、娘と一緒に朝ごはんを食べる。

それからようやくスタジオで制作に入るんだけど、基本的に夜の方がクリエイティブになる性質だから、日中はいろんな音楽を聞くことにしている。ダンスミュージックだけじゃなく、いろんなジャンルの音楽を聞いてゆっくりとインスピレーションを呼び起こすんだ。

その後お昼ごはんを食べてから、1~2時間ほど森に散歩にでかけるんだよ。自然に包まれて、森の息吹を感じながら、ゆっくりと自然と自分を同化、調和させていく事で、より深くインナースペース(内なる世界)を開くことができるようになるんだけど、夜の制作タイムのために日中のうちに完全にその状態を作ることが大切なんだ。そして明るいうちに、時間に制限をつけないで、完全ライブ形式ジャムセッションを必ず1度はやることにしている。その内容をベースに、深夜の制作に新たな音源造りをする感じかな。18:00頃には夕食をとって、それから娘と遊ぶ。そして娘が寝てから、ようやく制作タイムスタート!寝るのはだいたい深夜3:00くらいかな

休日は特に決めてないけど、ほとんど屋外で過ごしてるよ。スエーデン北部にあるいろんな山にハイキングにいくのが最近のお気に入りかな。うちの周りには天然のハイキングコースが、それこそ一生かけても終わらないくらいあるからね。

   
- たとえそれまで会った事がない、たまたまその日クラブに遊びに来ているまったく赤の他人とでも、一晩中共に踊り続けると、神秘的で不思議なつながりができる。 -

 
 
- 日本のどんなところが好きですか? -


日本人の考え方や振る舞いが好き、つまり君たちのことが大好きなんだ。

  - 今回、東京でしたいことはありますか? -

僕は毎回東京に来た時に、必ずやることがあるんだよね。それは、深夜3:00のスペースタウンウォーク。簡単に言うと、真夜中に1人ぼっちで東京の街をあてもなく散策すること。僕はほら、いつも森の中で過ごしているから、東京のど真ん中を、深夜あてもなく歩くことはとてつもなく楽しいんだよ。いろんな人を観察して、いろんな景色を見ながらひたすら歩くんだ。

僕にとって東京はニューヨークよりも、ロンドンよりもずっと未来的で刺激的な街。特にミッドナイトアワーはともてミステリアスで、僕の音楽性に与える影響はとても大きんだよね。

  - 最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。 -

たとえそれまで会った事がない、たまたまその日クラブに遊びに来ているまったく赤の他人とでも、一晩中共に踊り続けると、神秘的で不思議なつながりができる。みんなもそんな説明することさえ難しい感情を、体験した事があるんじゃないだろうか?僕はそういった神秘的な連帯を見ると、なんだかみんなが何か素晴らしい物に所属し、神聖な儀式を共に受けているような感覚を持つんだよね。そしてそこにはたくさんの笑顔があり、魂が開放されてるんだ。話なんかしなくても、なぜかお互いのことがよく分かり、深い愛情を持って笑顔で接することができるんだ。今週末のMother@Wombも、そんな素晴らしい一夜になるといいな。

日本のみんなが、平和で幸せな日々を過ごせますように。
みんなに会えることを、とても楽しみにしてるよ!
Love and light, Nobody Home
 
- Event Information -

タイトル:
Mother supported by Womb

開催日:
2月22日

会場:
渋谷"WOMB"

出演:
【2F】[SPECIAL ACT] NOBODY HOME a.k.a MARCUS HENRIKSSON (MINILOGUE / SON KITE ), [DJ SET] KEN ISHII ( 70DRUMS ), TA-KA ( Mother / LIGHT MUSIC ), [LIGHTING] AIBA, [VISUALS] HEART BOMB, 【4F】[Featuring] DO SHOCK BOOZE(TOTEM TRAXX), [DJ SET] U:ICHI (GALAXY RECZ), KOHSUKE(GALAXY RECZ), SHINTARO KUME (CSH4), JUN2+FUMITO, HIDEYOSHI (BORN TO BE MONSTAR), 【3F】[DJ SET] Ko Umehara( kikyu / TRINE), Deim( LovehenHouse / TRINE ), YUYAMA TSUYOSHI(CHARM / TRINE)【1F】[DJ SET] STEFANO LOTTI ( Equilibrium Lab ), DANI SAVANT ( Street Level, Warrior Dash ), SHUGO SAKUTA ( MEBIUS PRODUCTION ), echo. ( KONNEKT ), G.T. ( Libero / Goonies ), 大和 ( Libero / Goonies )

■イベント詳細ページ
https://www.pioneerdj.com/ja-jp/landing/ddj-wego4-and-wedj/