シリーズ全体に言えることだけど、すべては音楽から始まる、ということだね。ケンブリッジはUKのまんなかあたりにある小さな街で、有名なのは競艇と大学くらいなんだけど(笑)、ホットな才能のあるアーティストがいるんだ、たとえばLogistics、Nu:Tone、Commixとかね。ケンブリッジみたいな古めかしい街の“Future Sound”というのはすごくおもしろいコンセプトだと思ったんだよ。ブダペストも同じように、SKCやフレンズのようなすばらしい曲を手に入れたというのがある。
「The Future Sound of Tokyo」も同じような経緯だよ。T-AKは今東京をベースにしているけど、最近までロンドンに住んでいて、2、3年に渡って曲を送ってくれていたんだ。去年の春だったと思うけど、6トラック入りのCDを持ってきてくれて、どれも強烈な曲だった。彼がターニングポイントを乗り越えたことがわかった。彼はコーナーを1つ曲がったんだね。で、思った。これが「The Future Sound of Tokyo」のコンセプトじゃないかと。
そのころMakotoはまだGood Lookingと正式な契約があったから彼の曲は扱えなかった。だから「Rewind」のリミックスを頼んだんだ。2日後には完成していた。彼の最初のリミックスだよ。
そうしてプロジェクトの形が見え始めた。AkiraやPentagonから曲を提供してもらえたのもよかった。その時点ではEthixのことは知らなかった。Sonicが日本に引っ越していたことも気づかなかったし。いろんなことがちょうどいい時期に重なったみたいだ。
Makotoからリミックスが届いて、同じ週に東京でSonicや、Aki、Yuukiと会うチャンスもあって、完璧なタイミングだったよ。新しい人たちと会うチャンスがたくさんあって、そういうできごとが1つの流れを作って行く。
そういう勢いが1度プロジェクトに集まってくると、あとはそこに入っていって、ちょっと手を添えてやるだけでいいんだ。
彼らからはダウンロードを受け取ったり、そういったトラックを自分のポッドキャストでプレイしたりしていたんだ。彼ら全員の作品を聴き続けていたしね。
最初のD&BセッションでDJしたときにPentagonに会って。2回目はMakotoの紹介で弟のAkiraに会った。ずっと彼らの作品には注目していたんだ。というのもいつか日本のD&Bのプロジェクトをやりたかったからね。
どのアーティストもとてもユニークだ。アルバムのトラックリストを見ると、要になっているのはT-AKによるもので、彼がアルバムのいわばバックボーンになっている。彼の音楽は最初のころとはとても変わったんだ。誰かのサウンドが変化すると、アルバム全体のサイエンスも変わってくる。彼の日本語ボーカルの曲はよくプロデュースされているジャンプアップジャズで、とてもスムーズだ。
Pentagonはぼくにはフレンチに聞こえる。90年代半ばのフレンチハウスにね。D&BにおけるSt.German って感じかな。D&Bの領域の1歩上を行っている。「Syntax」はアルバムの中では異彩を放っている。PentagonとT-AKの曲で、1種のジャンプアップミュージックだけどオリジナルでおもしろいね。ヒップホップジャンプアップというか。
ES9 & Sonicの曲はアンディーCもお気に入りで大箱で栄えるタイプのものだ。Sub FocusやCyantificと続けてプレイすると暴動みたいになるんだよ。ヘビーな曲だけどとてもメロディックなんだ。
それからMakotoの「Rewind」のリミックス。「Rewind」の1番いいリミックスだと思う。
このアルバムでおもしろいのは、東京のほんの1部のアーティストしか参加していないのに、お互いにコラボレートしていることだね。それがこのアルバムの強みになっていると思うんだ。そういうのが都市に焦点を当てたこのプロジェクトのあるべき姿なんだ。D&Bが人々を結びつけ、分業せずに互いにミックスダウンを手伝ったり、アイディアを分け合ったりしてね。
そういうことが各都市の中にシーンを作っていくんだよ。それがなければこの音楽はなくなってしまう。だからいつも世界中をくまなく見てるんだよ。次のFuture Soundはどこにあるかなってね。
おそらく両方だね。London Elektricityを始めたけど、その「FAST SOUL MUSIC」がHospitalにもLondon Elektricityにもあてはまるようになってきたからね……。
デトロイトハウスなんかにもソウルの要素がたくさんあるからね。それからD&Bの流れにはハウスの歴史が含まれている。70年代初頭から80年代のリファレンスが入っている。
6月にはNu: Toneのアルバムが出る。それから9月か10月にはHigh Contrastのアルバムが出るよ。いつものようにサンプルの権利関係が大変でね。それについてはいまぼくらががんばってるとこだけど(笑)少しDJ Shadowのような感じもあるね。ビッグサンプル、ビート、ベースライン。
問題ある天才だね(笑)。でもそれだけのことはあるよ。
6月から4ヶ月間、スタジオに入って次のアルバムを練る予定になっている。2008年リリース予定でね。今までとはかなり違った感じになると思う。
うん。ぼくはもともとロックを聴いて育ったんだ。ギターが初めての楽器だったし。D&Bをやる前は長いことロックの曲を聴いたり、実際にプレイしたりしていた。今度は、スタジオにもギターを持って入って、ギターのパートをアレンジしようと思う。D&Bのコンテクストでね。ワクワクしてるよ。
成り行きを見つつね。
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