――onomonoとしては前作『Unifys』から約2年、O.N.Oとしてのソロ最新作『Ougenblick』
からは約1年半と2作のリリースタイミングが近かったこともあって、次のonomonoの新作ももっと早くリリースするのかなというリスナーの予想(希望)もあったのですが、それからの期間はどう過ごされていましたか?
リリースタイミングはあまり気にしていませんでしたね。今作も今年の5月くらいには完成していたのですが、その後DJの現場で実際に使いながら修正を加えていきました。『Unifys』と『Ougenblick』を出して以降は、O.N.OのMachineLiveと同時に、onomonoとしてDJを全国各地でやらせてもらっていました。週末を各地のクラブで、平日はスタジオで制作といったサイクルで生活していました、これまでもずっとそうですが(笑)。
――本作に取りかかってからの制作期間を教えてください。また前作から作り方や機材で変わったことがありますか?
基本的な制作期間は4ヶ月位ですね。機材やソフトが同じでもonomonoに関してはO.N.OやTHA BLUE HERBとは作り方がまったく変わります。onomonoの場合は曲の進行や構成よりも強力なワンシーケンス(ワンフレーズ)ができればもう完成が見えてきますからね。
――本作は前作『Unifys』よりも音数が少ないくシンプルでソリッドになり、ほかのインタビューでも拝見した通り「踊れる」ことに重点が置かれたように私も感じました。そういうアルバムにしようと思ったきっかけはありますか? また、『Unifys』よりもO.N.O、MachineLiveの音に寄ったような印象を受けたのですがご自身ではどう思いますか?
『Unifys』を出してからonomono名義でDJを全国(70箇所)でやらせて頂いて、自分のDJプレイで中心になれる曲や流れのなかで足りない部分、ツールとして機能出来る曲などを作っていっていたのが今回の「outcome」ですね。だから自分の現場用音源でもあります。そういう"フロアをより意識している"という点でMachineLiveに近い雰囲気が出ているのかも知れないですね。
――逆に「Unifys」を制作してからDJを実際にやるようになって"フロアを意識する"音作りに傾倒していったんでしょうか?
"フロアを意識する"音作りはMachineLiveからなのでDJがきっかけ、というわけではありません。
――O.N.Oとしての制作とライブ(MachineLive)、onomonoとしての制作とDJ/ライブと多忙かと思いますが、他のアーティストの名義の使い分けよりもO.N.Oさんはもっとフィジカルな存在と言いますか、結局どっちもO.N.Oさん(笑)なのですがご自身の中でそれぞれのモード(使い分け)はありますか?
ミニマルのDJだと曲をツールとして使って、それらを細かく組み合わせて大きな流れを作るっていう感覚なので割とライブの感覚に近いとは思いますね。DJをやっていると、それをほかのアーティストが作った音源でできるっていうのが楽しいですね。O.N.O(MachineLive)はライブ、onomonoはDJで切り替えてましたけど、今年恵比寿リキッドルームでonomono名義で ライブした時の興奮が忘れられなくて、けっきょくonomonoでもライブを始めることにしました。onomonoのライブではDJ的なツールや要素を使って組み上げていくつもりです。
――ちなみに、本作のタイトル『outcome』に込められた思いを伺えますか? 曲名も端的なワンワード、造語もあるように思います。
onomono名義の作品に関しては、前作もそうですけどエモーショナルな部分はあまり必要ないと考えてるので、アルバムタイトルも曲名も記号的なイメージですね。制作行為やDJが“output”になって、できた結果の“outcome”という感じですね。ただ、これも現状の“outcome”であってまだまだ変化していくなかの過程のひとつですね。
――他のアーティストが作った音源をDJで繋いでいく=ライブのような感覚でプレイする、ということですが、DJをする際にほかのアーティストの音源はどうやって入手されていますか?
DJ用の音源は普通にインターネットで皆さんと同じようにチェックしたり、仲間内の話であがった名前で調べたり、有り難いことに頂けた音源もチェックして……普通ですね(笑)。あとは現場で気になった曲を出演者に訊いたりもします。
――onomono名義はO.N.Oさんの「ミニマルテクノプロジェクト」ということですがO.N.Oさんが思う「ミニマルテクノ」の魅力とは?
機能性と匿名性だと思います。もちろん1曲単体だけで成り立つことも大切ですけど、曲単体の評価よりも多くのツールを使って組み上げるDJの力量が問われるじゃないですか。DJプレイのなかでのツールとしての機能性や匿名性もトラックの魅力だと思います。
――過去のインタビューで「音楽は現場でしか聴かない」とあったのですが、その理由は?
いや、別に変なこだわりがある訳ではなくて。ただ、クラブが好きで現場でDJがプレイする音楽を聴いて踊る、そしてその場の音響が好きなんですよね。現場でのインスピレーションが湧くことももちろんありますよ。あと、普段はずっとスタジオで自分の制作してるのでそんなにほかの方の音源を聴くタイミングが少ないだけだと思います。DJの選曲も前の質問から繋がりますけどリスニングよりもツールを選ぶ作業に近い感じですね。
――最後に、O.N.Oさんは長年北海道から全国各地に飛んでライブ/DJとして活躍していますが、北海道の外に出ることで変わったなと感じること、逆に変わらないことはありますか?
各街と同じで札幌でやるのもじつは年1~2回ですし、活動当初からのスタイルではあるので変わったと感じることはあまり無いです。行く先々、地域ごとでのシーンの変化は常に感じますよ。また、同じように各地飛び回っているアーティストや、地元で根を張って活動している人たちとの交流が刺激になって変わってゆくことは多いですし、各地のフロアで音好きの人達と遊ぶのがとても好きですからね。
- Release Information -
タイトル:outcome
アーティスト:onomono a.k.a. O.N.O
レーベル:ULTRA-VYBE, INC.
価格:2,500円
発売日:2015年12月9日(水)
[トラックリスト]
DISC 1
01. sastra
02. dimline
03. configg
04. synonim
05. faint light
06. unicast
07. static field
08. emit
09. convex
10. glimmer
DISC 2 - 約60分収録予定
『outcome』『Unifys』収録曲と未発表曲を使用したonomonoによるMIX CD。
■clubberiapage
http://www.clubberia.com/ja/music/releases/4682-outcome-onomono-a-k-a-O-N-O/