INTERVIEWS
バナーバナー

D-Formation a.k.a. Dimas

実はDJはけっこう小さい頃からやってたんだよね。兄貴がターンテーブルを持っていて、全然使わせてくれなかったんだけど、彼が外出すると、こっそりと部屋に入って練習していたんだ。とにかく上手くなりたくて、たくさん練習したね。それで、18歳の時にスペインのDMCチャンピオンシップで優勝して、ストックホルムのファイナルにスペイン代表として出場したんだ。これがDJデビューのきっかけだね。

その後、Javier Martinezと「King Records」を設立、自身のプロダクションを「Dimas & Martinez」名義でリリースしだしたんだけど、ハウスが好きだったためハウスレーベルの「Beat Freak Recordings」も立ち上げたんだ。僕はいくつかのレーベルを持っているけど、これが今ではもっとも成功しており、世界でも有数のハウスレーベルに成長したと思ってるよ。また、Simon & Shakerと共に「Intenso Recordings」を、続いてTUSOMと「Distinto」を設立、個性あるハウスレーベルが計4つになったけど、特にBeat Freakはすでに6年目に入ったこともあって、僕自身とても誇りに思っているよ。 これまでは、基本的にDimas & Martinez、もしくはDJ Dimas名義で活動していたので、ここでD-Formation名義に変えることで、よりハウスミュージックを新しい形にしたいっていう意図をしっかりと表せると思って改名したんだ。

ハウスの世界って長い間あまり変化がなかったから、僕はもっとダーティーな、激しい音に変えていきたいと思ってるんだよね。僕はさまざまな要素を織り交ぜながらエッジの効いたモノを創るのが好きだからね。これは僕のライブセットでも同じこと。僕は作り直したり、壊したり、形を変えたりして音を操るのが好きなんだ。 難しい質問だね。僕はハウスの中でもプログレッシブでダーク、ディープでありながら、アップリフティングな音も取り入れて回しているからね。僕は自分自身のことを「トライバルDJ」と呼ぶのはあまり肌に合わないけど、僕の周りで僕のことをそう呼ぶ人は多いよね。僕自身は「さまざまなジャンルの要素を取り入れているハウスDJ」だと思ってる。だから、僕の音楽を聴いた人はベースはハウスでありながらも、トランスやテクノ、ポップやロックまで、とにかくいろんな音を織り交ぜた「より楽しいハウス」を体験できると思うよ。

僕はとにかく僕のセットに合ったいい音で、意外性があれば、それを取り入れて、とにかく新鮮な音をプレイすることに務めている。まだ、プロモ用のモノとか、スタジオから出たばかりのものとかを、できるだけセットに入れるようにしているんだ。

僕の音は、昔聴いたヒップホップやラップ、それにDepeche ModeやNew Orderみたいなエレクトロニックミュージックにも影響を受けてると思うけど、僕の音がいろんな要素から創られているのは、僕自身の音楽的背景にさまざまなものがあるからだと思うよ。昔のいい音をもとに新しい音を創造するのはすばらしいことだと思うんだよね。 僕はまずはDJであると同時にプロデューサーであり、ミュージシャンでもあるんだ。まあ、ミュージシャンとしての訓練は特に受けていないし、もちろんプロにはかなわない部分もあるので、リスペクトしているけど、僕にしかできないこともいろいろとあるわけで、だから、レコードを作るときも大抵のことは自分でやるけど、できないと思ったら素直に友達に手助けをお願いしているんだ。DJプレイに関しては、僕のセットは自分の気持ちをベースにクラウドの反応を見ながら構成を変化させているから毎回違っていて、同じモノは二度と聴けないハズだよ。だからこそ、フロアはいつやっても新鮮で、独特なプレイだと思ってくれるんじゃかな。

僕はとにかく自分がやっている音楽で一番になることを目標にしているけど、その過程で誰かに対して何らかの変化や、考え方のヒントを与えて、人生に影響できればハッピーだと思っている。

最近、僕らは音楽の大切さを忘れがちだと思うんだけど、僕にとっての音楽は小さい頃から大きな影響の源だったし、今でも生きるうえでもっとも大きな原動力になっているだよね! だから、僕の音楽を聴いてくれた人が「自分でも音楽を創ってみたい」とか「音楽にかかわりを持ちたい」と思ってくれたら、それはなによりもうれしいことだね。僕自身はこれからも常にシーンの一歩先で何か違うモノ、革新的なことに挑戦していきたいね。 現在、スペインでは説明し切れないほどのジャンルの音楽があり、さまざまなシーンが混ざりあって、それぞれが独特のシーンを持っているけど、ここ数年で一番成長しているのはハウスだね。

クラブに関していうと、マドリッドにある「Space of Sound」という巨大クラブとかは、かなりいいけど、クラブシーン全体でいうと小さなクラブのほうが調子いいかもね。スペインにはSimon& Shaker、Chus&Ceballos、Wally Lopez、David Ferrero、Julian Poker、Dr.Kucho!など、世界的にも有名なプロデューサーがけっこういるんだけど、クラブシーン自体はまだまだ成長する余地があるね。もっと、スペインのクラブシーンが良くなればいいなあと思いながら、また、もっと海外のいいクラブでプレイできるようにって思いながら、日々音楽を創っているんだけどね。 以前、東京でプレイしたのは本当によかったよ。そのときはたった36時間の滞在だったんだけど、とにかく楽しませてもらったので、再来日を心待ちにしていたんだよ! これからは定期的に来たいね。何がそんなによかったというとね、それは僕が想像していた東京とは、まったく違っていたということなんだ。日本にこんなに音楽に関心を持っていて、詳しい人たちがいるとは思ってもいなかったよ。まさか、地球の反対側に僕以上に僕の経歴などに詳しい人がいるとはね。本当に感謝! イヤ、ホントたまげたよ!

日本のクラウドについていうと、かなりアゲアゲな感じで楽しかったけど、音楽以上に僕自身への注目が高かったような気がしたよ。他の国だったら反対なんだけどね。日本の音楽については、僕はDJ19のためにリミックスを手がけたこともあるけど、他の日本のアーティストのリミックスもやってみたいね。たとえば、日本のポップスとかをアンダーグラウンド風にしたりね。あと、いつか電気グルーヴとはなにかしたいなぁって思ってるんだ。この来日では、Taito(タイトー?)のレコードをたくさん買って帰りたいし、サンプルもたくさん持って帰りたいね。日本の歴史や文化、三島由紀夫の本にはすごく関心があるので、できれば日本に6か月くらい滞在したいよ。でもお茶はちょっと……。僕はコーヒー党なんです! 今年はいろいろあって忙しいよ! スペインのクラブとのコラボレーションCDが近々リリースされる予定だし、David Ferreroとのコラボレーションも「Housepark」レーベルからリリースされる予定。

あとはSmokin'Jo用に作ったOnetwo Claudia Bruckenの「Cloud 9」リミックス 、Chus &Ceballosの「The Feeling」のリミックス、Tony Moranによるリミックス、もしかしたらTears for Fears用にもリミックスするかも。D-Formationとしては「No Surrender, No Return (Attack!)」が予定されている。Victor Calderoneと一緒にAstridのボーカルが入った「In Your Eyes」というレコードをリリースし、今年の後半にはD-Formationのコンピレーション「Diametric 2(仮名)」が予定されているよ。
https://www.pioneerdj.com/ja-jp/landing/ddj-wego4-and-wedj/