2011年7月17日、渋谷asiaでDJ BAKUが主催した「KAIKOO*BLLR Vol.1 」において、THE LEFTY(KILLER-BONG,JUBE)×山川冬樹×伊東篤宏の壮絶なライヴ・セッションは実現した。その日のライヴ録音を基に制作されたのがこの作品である。山川冬樹の呪いのようなホーメイと骨伝導マイクが拾うパーカッシヴな身体の響き、伊東篤宏の“点滅する打楽器”オプトロンが発する蛍光灯の放電ノイズ、KILLER-BONGがサンプラーとカオス・パッドを駆使して創造する凶暴なトラックと無限のラップ、JUBEが連打するシンバルと斜めから切り込むラップ。一体、この音の塊は何だ?!! ここには、野蛮なインテリ(山川冬樹、伊東篤宏)と知性派のルードボーイ(KILLER-BONG,JUBE)の出会いのみが成し得る野性の音楽世界が広がっている。 (text by 二木信)
伊東 篤宏 / Atsuhiro Ito
1965年生まれ。美術家、OPTRONプレーヤー。98年に蛍光灯の放電ノイズを拾って出力する「音具」、OPTRON を制作、命名。展覧会会場などでライヴを開始する。2000年以降、国内外の展覧会、音楽フェスティバルなどからの招集を受け、世界各国で展示とライヴ・パフォーマンスをおこなっている。当初、遠隔操作で独立したオブジェクト・スタイルだったOPTRONも数々の改良を重ね、2005年より現在の手持ちの形態となり、所謂サウンドアート的展開からロック?ジャズ・バンド、ダンスミュージック的アプローチまで、音の大小や空間の規模を問わないそのパフォーマンスで、様々なタイプのサウンド・パフォーマー達やダンサーとの共演、コラボレーションも多数おこなっている。
山川冬樹/ Fuyuki Yamakawa
ホーメイ歌手、あるいは『全身美術家/全身音楽家』。 1973年、ロンドンに生まれ。横浜市在住。音楽、美術、舞台芸術の分野で活動。身体内部で起きている微細な活動や物理的現象をテクノロジーによって拡張、表出したパフォーマンスを得意とする。電子聴診器で心音を重低音で増幅し、さらに心臓の鼓動の速度や強さを意図的に制御し、時に停止させながら、それを光の明滅として視覚化。己を音と光として空間に満たすことで、観客との間の境界線を消滅させることを試みる。また、骨伝導マイクを使った頭蓋骨とハミングによるパーカッシブなパフォーマンスは、ソニーウォークマンのコマーシャルで取り上げられ話題を呼んだ。活動の範囲は国内にとどまらず国際的に展開。2007年、ヴェネツィア・ビエンナーレ・コンテンポラリーダンスフェスティバルから前年に引き続き二回連続で招聘を受け、同年秋に行った米国ツアーは各地で公演がソールドアウト。ヨーロッパ、アメリカ、アジアのライブハウス、劇場、美術館でライブ・パフォーマンスを行う。歌い手としては、日本における「ホーメイ」の名手として知られ、2003年ロシア連邦トゥバ共和国で開催された「ユネスコ主催 第4回国際ホーメイフェスティバル」に参加。コンテストでは「アヴァンギャルド賞」を受賞。その独自のスタイルは、現地の人々に「авангардное хоо мей(アヴァンガルド・ホーメイ)」と称される。同年東京で開催された「第2回日本ホーメイコンテスト」では、第1回大会(2001年)に引き続きグランプリと観客賞をダブル受賞。「ホーメイ」の伝統と、現代の等身大の感覚からなるハイブリッドなスタンスで、独自の境地を切り開く。2004年よりシタール奏者ヨシダダイキチが結成したバンド「AlayaVijana」に参加。バンドのフロントマンをつとめ、フジロックフェスティバルをはじめ多くのフェスティバルに出演、2枚のアルバムを発表。 現在、東京藝術大学先端芸術表現科、多摩美術大学情報芸術コース非常勤講師。
THE LEFTY(KILLER BONG + JUBE) 言わずと知れた、THINKTANK左の双璧