ハウスミュージックが全世界に広がった80年代後期~に多くの名作が残され、10年代に突入した現在それらの再評価と再発が各国で活発に進められており、そのような過去の作品を現在のDJセットに組み込むことは「旅の行先」を広げる手法として珍しくない。それら過去の作品に影響されたアーチストやレーベルがプリミティヴなプロトハウスを量産する中、NYはブルックリンの地下より「これは過去の発掘音源ではないのか?」と噂されるほどの音色と完成度を誇る作品を発表し、注目を集めているレーベルがRon Morelli主催のこのL.I.E.S.(Long Island Electrical Systems)だ。「ヴァイナルこそが本物のDJの為のツール」であることをスローガンに掲げ、2010年よりコンスタントに12インチを発表、リリースされるアーチストの多くが"名の知れぬ地下の住人"ではあるが300枚~500枚のみの限定プレス作品はいずれも毎回早期に完売、初期カタログはいずれもがプレミア価格となって取引されるほどの人気ぶりだ。ノンプロモーションかつレーベルの組成も未だ明かされなままであるにもかかわらずトップDJに支持され、ロウなハウスミュージックの魅力を現在も提示し続けている。ビートダウン、アンビエントハウス、スローモー、インダストリアル、初期シカゴハウス、初期デトロイトテクノ、プログレッシヴ、サイケデリック・・・・・それらのキーワードを巧みにブレンドしたかのようなモダンでマッドなロウ・ハウスがギッシリと詰め込まれた23トラックが2枚組CDとして遂にリリース。
