イングランド北部ハル (Hull) 出身のアーティストRichie CulverがイタリアのレーベルSUPERPANGからリリース。このアーティスト、音楽以外にもグラフィック作品のエキシビジョン等でも活発に活動しており、その作品は、絵画、彫刻、写真からデジタル・パフォーマンスまで、多様な要素を含んでいる。
https://www.richie-culver.com/ 彼は、アフターパーティーの席でアートに出会い、不安、無目的、低い自尊心に悩まされながら、レイブ中毒になるのを防ぐために工場で働きつつ、ハルのパーティーシーンに自分自身を見出した。ハル市のクラブThe Lampやカルト的なエレクトロニックレーベルPork Recordings周辺の活動から影響を受け、ベルリンに移住していた時には毎週日曜のBerghainに出没し不安定になっていき、自己嫌悪、故郷の実存主義との一貫した闘いといった窮屈なプレッシャーを味わったとのこと。自身曰く、「それは世捨て人のような生活だった」とのことで、断酒、家庭生活、セラピーを経て現在に至り、一周回って音楽の世界に戻ってきたとのこと。そんな彼の今作は、短編映画の中を彷徨っているようなスペーシーかつフューチャリスティツクな雰囲気のサウンドトラック的な作品で、氷河のようなアンビエンスのうねり、工業製品のノイズの鼓動、暗い不眠のドローンとして表現されており、エクスペリメンタルなシチェーションやエキシビジョンの会場で映えそう。真夏の暑さを忘れさせてくれるであろう拡張現実的な音楽作品といったところか。 (Norihiko Kawai)
Tracklist
1. Comfort zone
2. Goth night at the community centre
3. Together in heaven..dead
4. Witness protection
5. Dream about yourself