Lucy主宰レーベル<Stroboscopic Artefacts>などから作品をリリースしてきたイタリアのアーティストPlasterのニューアルバム。もともとは二人組だったが、現在はGianclaudio Hashem Moniriによるソロプロジェクトとなっており、本作は自身が運営するレーベルからのリリースとなる。
男性アーティストだが、新作のテーマとして「女性の世界」、特にその「明」と「暗」、「強さ」と「かよわさ」という対極的な要素を掲げている。また、昨年イランでヒジャブを適切に着用していないとして、警察による拘束後に亡くなった22歳の女性と、それを受けて世界各国で起きた抗議運動を踏まえて制作された。
社会性を持ったテーマを抽象的な電子音に落とし込んでいるのが興味深い。
「Alpha」「Omega」と題された2部に分かれた15曲からなる長大な本作は、不規則なビートや不穏なシンセサウンドの印象が強く、全編を通して重い雰囲気となっている。悲鳴を想起させる声のサンプルが使われているなど、リスナーに緊張を強いる時間もある作品だが、それだけにアルバムの終盤で聴かれる女性の「明」や「強さ」の要素を直接的に表現したかのような歌がひときわ美しく感じられる。 (S. Oishi)
試聴:Obscura Alpha Obscura Omega
Tracklist:
Part 1 - Alpha
01. Macte Animo!
02. Ego Sum Alpha Et Omega
03. Obscura
04. Interfectōr
05. Fiat Lux
06. Nec Spe, Nec Metu
07. Tempora Tempore Tempera
08. Tenebris
Part 2 - Omega
09. Orior
10. Testis Temporum
11. Dux Femina Facti
12. Gutta Cavat Lapidem
13. Mater Dolorosa
14. Numera Stellas
15. Ibi De cit Orbis
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