日本のダンスミュージックシーンに特化した国際カンファレンス「Tokyo Dance Music Event」(以下TDME)が、いよいよ来週11月30日(木)から12月2日(土)の3日間にわたり開催される。clubberiaでも過去3回にわたり紹介してきたTDME。clubberia編集部も当日、取材に赴き有益な情報をできるだけ多く入手してこようと思うが、タイムテーブルを見て思わず嬉しい悲鳴…、どれも抑えておきたいテーマなのだ。せめてもの救いは、カンファレンスとワークショップがヒカリエで開催されるため、移動する必要がないことだ。
■TDME公式サイト
http://tdme.com/ja/
注目の技術ブロックチェーン、若年層へのアプローチ法。カンファレンスから広げるビジネス思考。
プログラムのテーマを見ていくとカンファレンスは、主に音楽業界関係者向けの内容が多い。そのため、仕事に活かせるアイデアがたくさん隠れているはずだ。今年のTDMEのカンファレンスで目玉といえばブロックチェーンについてのプログラムだろう。ブロックチェーンが音楽業界で期待されていることのひとつに著作権情報の管理にある。現在は著作権管理団体がこれを管理しているが、楽曲数が膨大なため管理しきれなかったり、コストがかかったり、正当に配分されているかなどの不透明性があったりと、問題点はよく取りだたされていた。しかしブロックチェーンを使用しデータベース化することで、人の手による管理のデメリット部分を改善できる可能性を秘めているのだ。ブロックチェーンについては、カンファレンスが2回予定されている。まず、11月30日(木)「ブロックチェーン技術は音楽業界にどのような変化をもたらすのか?」。もうひとつは12月1日(金)の「ブロックチェーンが支える音楽の所有権とデジタル化が進むメディアの未来」だ。
ブロックチェーン技術は音楽業界にどのような変革をもたらすのか?
http://tdme.com/ja/programs/?id=11
ブロックチェーンが支ええる音楽の所有権とデジタル化が進むメディアの未来
http://tdme.com/ja/programs/?id=51
また、最新のSNSや若年層の動向などについてのカンファレンスも興味深い。Clubberiaのフィールドであるクラブシーンでは、若年層のクラブ離れが叫ばれているからだ。若い世代はどのような形で音楽と接しているのだろうか? その実態を把握することでクラブカルチャーに興味を持ってもらうためのアイデアを見つけられたらと考えている。
マストで取材しようと思っているのは3つ。まず、11月30日(木)の「デジタル時代に合った音楽情報の届け方とは?」だ。これには日本初のInstagramストーリーメディアとして音楽情報を発信するluteから代表の五十嵐弘彦さんが登壇。luteは2016年にYoutubeを主戦場とした動画メディアだったが、2017年8月にInstagramストーリーメディアへと舵をとった。その背景には何があったのか? また新体制になってからの現状や今後の展望から、SNSという媒体との付き合い方についてのヒントが得られるかもしれない。
デジタル時代に合った音楽情報の届け方とは?
http://tdme.com/ja/programs/?id=6
つぎに12月1日(金)のティーンマーケティングの"ご意見番"的存在の吉田 優華子さんやITサービス会社Arsaga Partnersの執行役員である高橋真優さんによる「ティーン世代に向けた音楽マーケティングとは?」。もうひとつは、学生主体のイベントチームQUOREと現役大学生DJによる討議「ミレニアル世代からみた日本のダンスミュージックシーンと今後」だ。
ティーン世代に向けた音楽マーケティングとは?
http://tdme.com/ja/programs/?id=18
ミレニアル世代からみた日本のダンスミュージックシーンと今後
http://tdme.com/ja/programs/?id=61
Jeff Millsの作品を約50本のスピーカーで再現! 前代未聞のサウンドインスタレーション
カンファレンスよりも実際に聴いたり見たりなど、体験したい人にオススメ…いや、来場者全員に体験してもらいたいものが、Jeff Millsによるインスタレーション「JEFF MILLS presents PLANETS the Celestial Body Installation: Part 1」だ。というのもこのサウンドインスタレーションが体験できるのは、「TDME」だけ。どのようなものかというと、Jeffがオーケストラと共演したアルバム『Planets』をマルチチャンネルで再現するというもの。サラウンドでのインスタレーションはよくありそうだが、本作品が特殊なのはここからで、1本のスピーカーに1つの楽器を割り当てられていること。その数約50。Jeffから提供されたオーケストラの配置図にそってスピーカーは配置されている。私たちは、スピーカーの間に行くことができ、例えば指揮者の立つ場所ではどのように聞こえるか? Jeffの立ち位置ではどのように聞こえるのか?を体験できるのだ。このインスタレーションについて詳しくは、Koyasさんがクラベリアに寄稿した記事をご覧いただくことをオススメしたい。
Koyasさん連載:
https://clubberia.com/ja/bloggers/92-Koyas-Cultivate-the-Music-vol-2JEFF-MILLS-presents-PLANETS-The-Celestial-Body-Installation60ch/
JEFF MILLS presents PLANETS the Celestial Body Installation:
http://tdme.com/ja/programs/?id=35
あと手前味噌ですが、clubberiaでも展開した次世代エレクトロニック・クリエイターオーディション「INTERLUDE form TDME」の一次審査結果発表を会場内で行います。発表は12月1日(金)の13時15分から。
「INTERLUDE from TDME」一次審査結果発表
http://tdme.com/ja/programs/?id=32
やっぱりパーティーを楽しみたい!期間中は豪華6イベントが開催!
TDMEといえば、パーティーも豪華。今年は昨年より規模を拡大し全6イベントが開催される。とくに、ヒカリエで12月1日(金)に開催されるSPINNIN' RECORDS主催する「SPINNIN' SESSIONS」は日本初上陸とあって、いちプログラムではなく、歴史的瞬間を目撃するために見逃せない。とくにTiëstoが激推ししているMike Williamsのパフォーマンスが興味深い。
ヒカリエでのパーティーは「SPINNIN' SESSIONS」のみ。あと5つは、渋谷のクラブで開催される。12月1日(金)WOMBでは、石野卓球のレジデントパーティー「STERNE」とのコラボレーション。テクノ史における最重要レーベルMute Recordsの創始者Daniel Millerが出演する。同日Circus Tokyoでは、Aphex TwinやAutechreに次ぐ才能と呼び声高いPattenが登場。さらに今年9月にPatten主宰のレーベルKaleidoscopeから3年ぶりのミニアルバムをリリースしたSapphire Slowsも出演する。この日はもうひとつ。VENTでは、ベルリンのベストパーティーと呼声の高いHomopatikを主催するカリスマDJ、Mr Tiesが登場する。
翌日2日(土)は2つのパーティーが開催。まずSOUND MUSEUM VISIONでは、再生回数1億回を記録し、現在のベース/トラップミュージックのメインストリーム化の源流を作った「Unicorn Zombie Apocalypse」の生みの親Sikdopeが出演。そしてContactではColleen ‘Cosmo’ MurphyとDJ NORIとの共演が実現。熟成したTHE DJ同士による芳醇な音楽が楽しめる。
アイデアを得に行くもよし、人との繋がりを作りに行くもよし、パーティーを楽しむもよし、参加者にとって有益な時間となるだろう「TDME」。いよいよ開催まで1週間を切った。
■TDME公式サイト
http://tdme.com/ja/