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Red Bull Music Academy Weekender Tokyo - Culture Fair -

普段夜型の生活をしていると、今回のように昼間に太陽の当たる場所で行われるイベントは嬉しくなる。太陽の光を浴びながら、ビールをコーヒーに持ち替えて過ごすのは、デトックスをしているようにも思う。3連休の真ん中、日曜日の昼から夜にかけて、原宿の"BA-TSU ART GALLERY / Gallery COMMON"で「Culture Fair」が開催された。

Text : yanma (clubberia)
 
 
日曜日ということもあり、表参道近辺は多くの人が行きかっていたが、キャットストリートから1本裏に入ったところにある"BA-TSU ART GALLERY / Gallery COMMON"のある通りは、ほどよい人の流れが続いていた。会場では、レコードや書籍の販売、過去のRBMA関連の写真展や、ケータリングのフードが楽しめた。この日の目玉は、DJ Cosmoによる名盤リスニングとトークセッションプログラムで、DJ KRUSHが招かれ行われたことだった。DJ KRUSHが選んだのは、Miles Davisの『死刑台のエレベーター』。本作品は、1957年制作のフランス映画で、ルイ・マル監督の出世作であり、主人公のモーリス・ロネとジャンヌ・モローが不倫関係の末、殺人を犯すという、いわゆるサスペンス映画だ。そのサウンドトラックを、オリジナルクインテットを解散した直後のMiles Davisが担当している。トークセッションでは、Miles Davisにまつわる話が主だったがその中で、Miles Davisの世界観をDJ KRUSHは「沈黙の中にある緊迫感」と表している。それは、例えばCharles Parkerのようにテクニックで鳥みたいに音符を渡り歩くようなタイプとは違い、空間性を生かして泳ぐようなイメージで、引き算を重ね、選びぬかれた音だけで人に魂を伝えていると説明した。また、その感覚は、DJ KRUSH自身も彼の持つ間や余白といった日本的美意識と共通する部分があると言う。
約20分のトークセッションの後、Miles Davis『死刑台のエレベーター』のリスニングが世界でも有数のハイエンド機材を使用して行われたが、別会場での取材が待っていたため私はここで会場を後にした。

 
 
原宿という街は、少し不思議だ。東京、しいては日本カルチャー発信地の1つでありながら、音楽のイメージがあまりない。裏原カルチャーの衰退が大きな原因かもしれないが、レコードショップももともと無かったり、クラブ的なお店も少ない土地柄があるかもしれない。それでも多くの人がポータブルプレーヤーで音楽を聞きながら歩いているのに、音楽産業の需要が街の作りからあまりないように見えてくる。今回この「CULTURE FAIR」がよかったと思うのは、そんな原宿で行われ、会場が一般の人の目に触れやすい場所にあったことと、ふらっと入りやすい環境が作られていたことだと思う。そして、たまたま通りかかった人に、モノとして音楽に触れてもらうきっかけがあったこと。それは、レコードだけでなく、書籍もそうだし、見方は変わるが飾られていた写真やレコードも音楽の断片を切り取った作品なのだ。原宿に1日限定で現れた音楽に触れられえる空間、こういった取り組みは、今後必要となるのではないだろうか。何が変わるか?と聞かれたらわからない!と答えるしかないが、現在の音楽に触れる環境が目的意識を持った人しか行きづらい閉鎖的な環境になっていないだろうか。ターンテーブルを持っていない人でもウインドウショッピングをする感覚で立ち寄れる場所が必要のように思う。日中の街中で、多くの人の目や肌に触れてもらえる、今回のような場所や取り組みがスポットで終わらず続いてほしい。

 

 
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