ダンスミュージックに焦点をあてた日本初の国際カンファレンス&イベント「TOKYO DANCE MUSIC EVENT(以下、TDME)」が、12月1日(木)から3日(土)の3日間、東京・渋谷の5会場にて行われた。
Photo:Gaku Maeda, Masanori Naruse, Masato Yokoyama
カンファレンスの会場となったのは、渋谷ヒカリエAホール。会場の中央にステージが組まれ、それを取り囲むように席が設けられていた。カンファレンスは11時から始まり、少しの休憩をはさみながら7時間程度続く。各テーマは30分〜60分で、都度、登壇者は変わり進んでいく。英語で会議が行われる場合もあるが、同時通訳機が配られるので安心だ。(外国人向けに日本語を英語に同時通訳している)
「日本のプロモーターによる音楽フェス事情」と銘打ったパネルでは、スマッシュ、クリエイティブマンプロダクション、そして 2017年に日本での初開催を予定している世界的なフェス「EDC(Electric Daisy Carnival)」を招致するGMOの各担当者が登壇した。アジアのシーンにフォーカスした「アジアのフェスティバル革命」といったテーマでは、タイのソンクラン(水掛け祭り)に倣ったウォーターパーク感覚の都市型フェス「S2O Songkran Music Festival」、豪華客船で船旅をしながら音楽を楽しめるマレーシアのクルージングパーティー「It‘s The Ship」といったEDMイベントの主催者が参加。アーティストによるカンファレンスだとNina Kravizと宇川直宏が「テクノ・グローカリズム」をテーマにトークセッションを展開。現在、テクノシーンではローカルシーンが注目を集めている。それこそNina Kravizのロシアだったり、ルーマニアだったり。そういった音楽主要都市以外から出てくる音楽が今面白いというテーマだった。そのほかには、風営法改正、ストリーミング配信、音楽メディア事情など2日間で合計19ものトークセッションが行われた。
会場では、さまざまな協賛ブースも展開。カンファレンス終了後には、シャンパンやフィンガーフードも振る舞われるパーティーも開かれた。そこで名刺交換などを行いコミュニケーションを図っていた。
アーティストが直接楽曲制作の手法やエピソードを披露したワークショップは、Red Bull Studioで行われた。音楽制作ソフトウェアAbleton Liveの ユーザーたちが集う「Ableton Meetup Tokyo」ではSeiho、Moochy、DJ BAKUを迎えたトークセッションが行われ、それぞれが過去のコラボレーションの事例を取り上げながら、自身の楽曲制作の手法やエピソードを披露。さらに、banvoxのプロダクションワークショップでは、☆Taku Takahashiが聞き手となり音楽制作についてトーク。最後には実際にソフトを使ってボーカル音源のカットアップを実演するなど、貴重な催しとなった。
2日目は、UKの人気テクノ/ハウスレーベルTOOLROOM RECORDSによる音楽学校「TOOLROOM ACADEMY」が開講。同レーベルに所属するテクノプロデューサーのUMEKと、ハウスデュオのProk & Fitchが講師となり、音楽制作のノウハウを伝授した。このプログラムの目玉は、参加者がレーベルA&Rにデモ音源を直接評価してもらえるということ。参加者は、自身のトラックを提出。A&Rからデモ音源のフィードバックでは、絶賛の評価も多く、参加者にとって多くの学びと経験が得られるアカデミーとなったようだ。
そして残すはアーティストによるイベントだ。とくに注目を集めたのは、先人を切って渋谷ヒカリエで行われた「TDME×BOILER ROOM」だろう。ストリーミング配信メディアのBOILER ROOMとDOMMUNEを通じて世界にライブ配信された本公演には、Sekitova、Seiho、Satoshi Otsuki、galcid、Wata Igarashiといったこれからの日本のシーンを牽引する気鋭のアーティストが出演した。期間中イベントは全5公演で、SOUND MUSEUM VISION、contact、WOMBでそれぞれ開催され、各会場とも連日大きな盛り上がりをみせていた。
このダンスミュージックに焦点をあてた国際カンファレンス&イベント「TOKYO DANCE MUSIC EVENT」が日本で開催されることは今回が初めて。こういった場ができたこと自体が明るいことであり、今後、回を重ねてAmsterdam Dance Eventのように発展することを願う。
■オフィシャルサイト:
http://tdme.com
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