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Omar S

FXHE

アレックス・"オマー・S"・スミスは、アンダーグラウンドで高い評価を得ているデトロイト出身のハウス/テクノ・プロデューサーである。彼は、人気レーベル<FXHE>を運営する傍ら、セオ・パリッシュを始めとするプロデューサーたちの作品にエンジニアとして携わるほか、DJとしても自らのプロダクション、ディープ・テクノ、ディスコ、ハウスを織り交ぜたプレイで世界的に活躍している。

デトロイトでDJとして活動し、デリック・メイの友人でもあったという兄の影響で、アレックスはかなり早い時期からデトロイトやシカゴの、ハウスやテクノのサウンドに親しみながら育った。1986年に初めて自分のキーボードを手にしてから、アレックスは "Can You Feel It" や "Jack Your Body" に合わせて弾いてみることで、独学で演奏を覚えたという。1991年、「これの使い方を覚えろ」と言う友人から、彼はカシオのキーボードとローランドTR-505を貰い受ける。アレックスは喜んですぐに(マニュアルなしで)使いこなすようになり、ドラムとシンセのラインを作り始めた。同じ頃クラブもDJするようになり、1993年の彼のデビューとなったパーティーでは、マンハッタンのクラブでニューヨークの著名なDJでありプロデューサーであるジョー・クラウゼルと共演している。アレックスはその後もずっと、90年代を通して自宅で曲を作り続け、DJとして活動していたが、作品を公に発表することはなかった。

2001年、アレックスにとって初の12インチのテスト・プレス盤を、"Omar S 001" として自身のレーベル<FXHE>から発売した。このプロダクションを聴いたリック・ウィルハイト(3チェアーズ)は、彼が持ち合わせていた全てのレコードを買い取ると言ったという。しばらくしてから、彼がリックの店に売上金を受け取りに行くと、そこに居合わせていたのがセオ・パリッシュだった。"Omar S 001" を聴いて感銘を受けた彼は、アレックスにもっと作品を発表するよう促した。2003年、アレックスはこれに応えるように、クラシックス "U (Instrumental)" と "Miss You" を収録し、人気盤となった "Omar S 002" を発売する。 ダンスフロアや国内DJのプレイリストで火がついたこれらの収録曲により、 "Omar S 002" の需要は一気に高まることとなる。初期テクノ・サウンドと独特なムードの旋律を併せ持ったアレックスのスタイルは、そのオリジナリティとアンダーグラウンドな感性で大きな話題を呼んだ。ほぼ一晩にして、無名だった彼の作品は人気盤になり、 "Omar S 002" はその後数千枚プレスされている。 "Omar S 003" に至っては、それをさらに上回る売り上げを誇り、ヨーロッパの市場では瞬時にして受け入れられ、成功を収めた。

2007年に話を進めると、アレックスは<FXHE>から何枚もオマー・S名義作品を発表し、その全てがソールドアウトし、何度か追加プレスされているが、デトロイト産の名曲ソウルと同様に、これらの楽曲は現在も全く色褪せずにカットされた瞬間の鮮度を保ち続けている。彼の最新作であるダブルLP "111" は、既にローレンス、カイ・アルセ、ローラン・ガルニエといったアーティストたちのチャート入りを果たし、さらに "Side-Traxx Volume One" では、ダウンテンポなヒップホップ・サウンドも聴かせている。アレックスはマーセラス・ピットマンと、尊敬を集めるハウス・プロデューサーであるセオ・パリッシュをパートナーとしてコラボレーションも行い、<Sound Signature>からTOMとして "Renaissance" を発表。今では最も人気の高い<Sound Signatrue>リリースとなっている。2007年はさらにOmar S名義の作品もリリースされる予定で、それを世界中のファンが心待ちにしている。

その一方で、プロデューサーとしての評判と、そのダンスフロアを盛り上げるソウルフルなパーティー・チューンの評判が高まるに連れ、アレックスのDJとしての人気も急上昇している。(*本年7月21日にはロンドン<Fabric>、9月1日にはベルリン<Tresor>のメインフロアに出演を果たしている。)彼の作風は、そのプレイにも表れていて、ここ最近はかなり頻繁にそのプレイを聴くことができるようになった。彼のセットは、ディープ・ディスコ、ディープでリアルであればスタイルを問わないあらゆるハウス、ソウルフルなテック・ファンク、そして彼自身の既発曲及び未発表曲で構成されている。もし強いてアレックスのDJの特徴を挙げるとすれば、クラウドにデトロイト・アンダーグラウンドの未知なる名曲を聴かせることができるという点だろう。DJと言えども、このように新しいサウンドをクラウドに提供できるのは、他にカール・クレイグ、デリック・メイ、セオ・パリッシュくらいのものだ。

アレックスのモットーは、本物のデトロイト・テクノにソウルを取り戻した上で、新しい波を起こすこと。そして、これまでの彼のリリースに対する、ほぼヒステリカルとも言えるほどの熱狂的レビューを見る限り、それほど的外れではないと言える。

FXHE RECORDS
http://www.omarsdetroit.us/

DISCOGS: OMAR-S
http://www.discogs.com/artist/Omar-S