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JUNKIE XL

 ジャンキー・XL、本名:トム・ホーケンボーグ(Tom Holkenborg)。オランダ出身、1967年生まれ。音楽一家に生まれた彼は、8歳の頃に両親からドラム・セットをプレゼントされ、リズムを叩き出す楽しみを覚える。その頃いとこ達からPINK FLOYDやKING CRIMSONといったサイケデリック・ポップの世界を教えられたと言う。その2年後となる10歳からピアノを始め、14歳になる頃リズムに取り付かれていた彼はまずベースをプレイし始め、その後ギターの道へと進んでいく。高校時代の友人にエレクトロニックの世界を教えられ、当時バイトをしていた地元の楽器店で毎週のように入荷する新しいシンセやシーケンスなどに興味を抱き始めた彼は、生の楽器とコンピューター・サウンドのアンサンブルから生まれる音の虜となり、音楽の世界に生きていく事を決心する。
87年には地元でTALKING HEADSやPETER GABRIELに影響を受けたニュー・ウェーブ・バンド、WEEKEND AT WAIKIKIに加入、そこで彼はプロデューサーやマルチ・プレイヤーとして活動し、ロックとエレクトロニックを掛け合わせたアルバムを発表、ツアーなども行うが、彼の個人的な理由により92年に脱退。その後同じ音楽の趣味を持つ友人、フィル・ミルズとよりインダストリアルな方向性を持つバンド、 NERVEを結成、2枚のアルバムを発表し、同時にフリーランスとしてプロデューサー/リミキサーの仕事も行っていたのだが、最終的にNERVEは95年に解散。その後も彼はソロとしての活動やギグ、そしてSEPULTURA、SOULFLYやFEAR FACTORYといったメタル・バンドとの仕事もこなしながら、その名前を確立していく。その間あまりに熱心にスタジオ作業を行っていたため、友人は彼の事を「スタジオ中毒者(ジャンキー)」と呼ぶようになり、そこに“限界を超える”という意味のEXPANDING LIMITSの頭文字を付け、自らをジャンキーXLと命名する。
 が、その熱心ぶりのために体調を崩してしまった彼はしばらく休養をとったのだが、その間に色々なアイディアを溜めていた彼は、それまでに書き溜めていた楽曲にそのアイディアを盛り込み、以前一緒に仕事をしたFEAR FACTORYの元ギタリスト、ディーノ・カザレスの助けを得つつ1997年にジャンキーXLとしてのデビュー・アルバム『サタデイ・ティーンエイジ・キック』を発表、ブレイク・ビーツとロックを融合させた「ビリー・クラブ」というヒット曲を生み出し、PRODIGYとのドイツ・ツアーを含むワールド・ツアーを行い、その間世界中のフェスティヴァルに出演(FUJI ROCK FESTIVALにも出演)し、8ヶ月の間に145回のギグを重ねていく。そのツアー中にもアイディアを書き溜めていた彼は、ツアーが終わるとすぐにスタジオに入り、ディープなダンス色を濃くしたセカンド・アルバム『ビッグ・サウンズ・オヴ・ドラッグズ』を2000年に発表する。サウンドの変化に伴いギグの形態もトム一人によるパフォーマンスと変化し、それまでのダンス・ミュージックの可能性を一気に広げたこの作品で、彼はヨーロッパ、アメリカ、日本といった世界各国で「第一人者」という称号を与えられるようになる。
 セカンド・アルバムでの大成功を受け、トムのリミキサー/コンポーザーとしての評価が一気に爆発、トム本人も自分の持つ音楽性をより広げていくために様々なアーティストとの仕事を増やし、SASHAの『エアドラウンダガー』のプロデュースを行うほか、ナタリー・インブルーリアやラムシュタイン、果ては浜崎あゆみといったアーティストの楽曲をリミックスしたり、映画『バイオハザード』や『ブレイド』などの映画音楽製作にも携わっていく。そして2002年、 NIKEのワールド・カップ用CM楽曲に制作されたエルヴィス・プレスリーの楽曲にリミックスを施した楽曲「ア・リトル・レス・カンヴァセイション」が世界中で大ヒット、24カ国でナンバー1を記録するというとてつもない記録を打ち立てる。
 この楽曲で一気にその名前を一般層にまで広めた彼が次に生み出したのが、錚々たるゲストを迎えたサード・アルバム『ラジオJXL』。2004年に発表されたこの作品は、架空のラジオ局、“ラジオJXL”のノンストップ放送、という形態を取り、ソロモン・バークやピーター・トッシュ、チャックDやデイヴ・ガーン、ロバート・スミスといったとてつもないメンツをヴォーカリストに迎え、ロック/ポップとエレクトロニクスの融合を素晴らしい形で完成させる。その後も世界各地でギグを重ね、ブリトニー・スピアーズやコールドプレイらの楽曲のリミックスを担当するなど、「一流」アーティストとしてその地位を確立していく。
2005年初頭により幅広い活動を求めLAに活動拠点を移し、その後TV用CMの音楽やゲーム音楽、さらに『マトリックス』シリーズや『キャットウーマン』、『リディック』といったハリウッドの映画音楽なども手掛け、よりその活動の場を広げていく。そして同時に最新作のレコーディングも開始、前作でエレクトロニック・ミュージックの可能性を最大限に押し広げた彼は、よりパーソナルな作品となるようにじっくりと制作を続け、エレクトロニックの静と動、高揚感とアンビエントなチルアウト感を追求した4枚目『トゥデイ』を完成させた。