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Moritz von Oswald

90年代のテクノ・シーン黎明期から現在に至るまで、モーリッツ・フォン・オズワルドは、最も重要なプロデューサー/アーティストの一人として、エレクトロニック・ミュージック・シーンの中枢で様々なスタイルの作品を発表し続けているリヴィング・レジェンドである。80年代には、伝説のニュー・ウェーヴ・バンド、パレ・シャンブルグのパーカッショニストとしてトーマス・フェルマン(Kompakt - The Orb)等と活動していた。90年代中頃から完全にエレクトロニック・ミュージックへと移行。3MB(トーマス・フェルマンとのユニット)では、デトロイト・テクノのオリジネーター、ホアン・アトキンス、エディー・フォールクス、ブレイク・バクスターなどと共同作品を発表している。その後、ミニマル・テクノの礎を築くプロジェクト、ベーシック・チャンネルをマーク・エルネスタスとのスタートさせる。同じフレーズが執拗に繰り返される奇怪なミニマル・サウンドは、当時のテクノ・シーンに大きな衝撃を与える。ベルリン/デトロイトの架け橋としてミニマル・テクノは、ロバート・フッド、ジェフ・ミルズ、マイク・バンクスやURのような代表的アーティストによって進化していった。彼らが経営に携わったハード・ワックス(レコード店)と同様に、ベーシック・チャンネルは当時のベルリンを代表したクラブ、Tresorとそのレーベルの周辺を含む、まさにテクノ・シーンの中心として世界的に知られていった。12枚の傑作を発表したBasic Channelは、複数のプロジェクト/レーベル (Chain Reaction、Main Street、Burial Mix、Rhythm&Sound) へと派生/移行する。近年はジャマイカン・ダブ/ガラージ・ハウスへの大胆なアプローチをみせている。モーリッツ・フォン・オズワルドの果敢な実験精神は、ニューウェイヴ時代から現在まで脈々と息づいているのだ。また彼の仕事は、リッチー・ホーティン、トーマス・ブリンクマン、ロバート・ヘンケ(モノレーク)、ジェフ・ミルズなど以降のアーティストへ多大な影響与えた。まもなくカール・クライグとの共作として、1987年に録音されたカラヤン指揮のベルリン・フィルによる音源、ラベルの「ボレロ」と「スペイン狂想曲」やムソルグスキーの「展覧会の絵」などをテープ・エディット/リ・プロダクションを施したアルバムを発表する。7月のUNITの4周年パーティーで奇跡の来日公演を果たした、MVOT - Moritz von Oswald Trio feat. Max Loderbauer (Sun Electric) & Vladislav Delay (Luomo) のフル・アルバムもリリースされる予定である。