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HIROSHI WATANABE+曽我部恵

ドイツ・ケルンに本拠地を構える人気レーベル<KOMPAKT>からリリースされるKAITO名義の諸作品により、日本人プロデューサーとしては異例といえる世界的評価を得た、ヒロシ・ワタナベ。本人名義としては、2007年リリースのファースト・アルバム「GENESIS」から約2年半振りとなる今作は、なんとインディペンデント・ロック・レーベル<ROSE RECORDS>の主催であり、先頃も曽我部恵一バンド「キラキラ!」をリリースしたばかりの曽我部恵一をヴォーカリストに迎えた渾身の1枚となっています。
自身のレーベル<ROSE RECORDS>からリリースされる作品群やインタビューなどでも、ダンス・ミュージックに対しての強い愛情を隠さず表現して来た曽我部と、音楽家の家庭に育ちバークリー音楽院に留学しながらもハウス・ミュージックに惹かれて行ったヒロシ・ワタナベ。そんな2人が意気投合、スペシャルなコラボレーションが実現したのは必然と言えるかもしれません。
アルバムは、ヒロシ・ワタナベの本領が発揮されたシンセ音がジワジワと盛り上がる四つ打ちビートに、性別をも超えたように感じられる曽我部のハスキーヴォイスが浮遊する好トラックに始まり、続くM2では後半より英語詩でのヴォーカルが入る11分にも及ぶシューゲイザー・サウンドへと展開。四つ打ちトラックのM3ではテクノ・ミュージックの高揚感を感じさせ、アンビエントM4では静かに言葉を綴る曽我部のヴォーカルに思わず引き込まれます。そして最初のハイライトM5はヒロシ・ワタナベのビート&メロディと曽我部の憂いのヴォーカルが昇華することに成功した壮大な作品。
KAITO名義のソロを思わせるテックハウスのM6、弾き語りのように進む、曽我部色が良く出たM7を挟み、最後の約14分にも及ぶ大作M8で彼らのコラボレーションは最高潮を迎えます。
96年<King Street>からのリリースに始まり、ハウス・ミュージック・シーンを中心に人気を集めてきたヒロシ・ワタナベが、フォーク/ロック/ディスコなどを横断し、ジャンルにとらわれずに活動してきた“詩人/曽我部恵一”との出会いを経て、自身のルーツとも言える音響的アプローチを聴かせてくれる今作。そのサウンドには本来のテクノが持つミニマルな陶酔感と、近年ダンス・ミュージックの主流の1つとなっているポスト・シューゲイザー・サウンドとも捉えることができるプログレシッヴ・ハウスの幻想的な世界が同居し、曽我部のギター/ヴォーカルを包み込むことで、新しくも懐かしい独自の音楽が鳴り響き息づいています。
ハウス〜プログレッシヴ〜テクノ〜フォーキー〜シューゲイザー〜チルアウトから、もちろん曽我部恵一ファンまで、ジャンルの壁が崩壊し、また新たに見えない壁が出来てきているように思える今、すべての音楽ファンに是非とも聴いてもらいたい1枚です。
http://jymandrecords.com/?pid=8108925