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URSULA RUCKER

フィラデルフィア生まれの詩人、ソングライター、ボーカリストのアースラ・ラッカーは、そのスポークン・ワード的なボーカル・スタイルと独自のテーマを扱ったリリシズムにより、数多くのイノベイティブなクリエーター達より敬愛され、多くのコラボレーションを行ってきた。全世界が注目したThe Rootsのアルバムのファーストから3作のエンディングを飾ったのが彼女であり、それがきっかけで一気にアースラの名は知れ渡るようになる。その経験をへて、01年に発表した待望のソロ・デビュー・アルバム『SupaSista』では、アースラでしかあり得ない独特のポエティック・ワールドを展開。ジャズ、ハウス、ヒップホップなど幅広いシーンにおいて大きな話題となり、また年間ベスト・ディスクを多くの媒体より献上された。2003年には2ndアルバム『Silver Or Lead』をリリース。ウーマンフッド、奴隷制度、愛、性差別主義、政治などをテーマとして扱った、トレードマークの真に迫りながらもスウィートな"ソング・スピーク"を駆使し、アースラはスポークン・ワードの概念を再定義した。彼女のコトバに更なる生命を吹き込む役目を与えられた錚々たるプロデューサーは、ジャザノヴァ、リトル・ルイ・ヴェガ、ザ・ルーツ、キング・ブリット、4ヒーロー、など。彼らの音楽とともに複雑に編み上げたコトバで、再び無防備で気ままな世界の耳に厳しく、時に甘く訴えかけた。Black Arts Movementの代表的詩人、そして運動のアイコンであったシニア・サンチェスから、画家フリーダ・カーロ、作家ゾラ・ニール・ハーストン、そして更にはプリンスなどからも影響を受けたという彼女は、テンプル大学にてジャーナリズムを学び、母性、行動主義、芸術性などを、しなやかに、そして冷静にバランス良く調和させる。彼女がリズミックに歌うさまざまな人生の葛藤のストーリーは、決して説教ではない。子宮の薄暗い深遠から人々を目覚めさせるための探求、そして社会が時に隠したがる話題についてをヴァースにする彼女の探求、その探求の理由は実に明快だ。「真実と向き合っていくことに駆られるのよ」1994年、フィラデルフィアの老舗ライブジャズ・レストランZanzibar Blueにて、彼女は初めてステージに立ち、オーディエンスを前に、その天才的なヴァースを披露した。それから10年以上、今アースラは4人の子供の母として生活しながら、Gil Scott-Heron、Mos Def、Macy Gray、更には Nina Simoneとの競演を経験、エンターテイメント性、音楽的実験とクオリティ、そして社会意識を備えた、唯一無二のポップ・ミュージックをクリエイトするに至っている。アースラがマイクを固く握るとき、世界の耳は研ぎ澄まされる。彼女のコトバにはそのパワーがある。