90年代中盤に多様性溢れる活況を呈していたUKのアンダーグラウンド・テクノ・シーンより頭角を現し、MosaicをはじめBluespirit/Bluetrain、Greenといった自身のレーベルからデトロイト・テクノ ~Basic Channelからの影響を色濃く反映させたディープでミニマルきわまりない名作トラックを数多く残した才人Steve O'Sullivan。Mosaic、Bluespirit、Bluetrainなどの伝説的なレーベルを始動させ、現在のダブテクノ、ミニマル ハウスの基盤を作る。これらレーベルのリリースは現在でも数多くのDJ/リスナーから支持を集めてい る。Ferox, Soma,Bluespirit , BluetrainやMosaicからのリリースを重ねることでLaurent Garnier, Sven Vathなどアーティストをはじめシーンで多くの注目を集め、1998年に初のMosaic showcaseを開催している。O'Sullivan自身は2003年にリリースしたBluetrain名義でのEP「Tighten Up」を最後に忽然とシーンから姿を消し、Mosaicも同時にレーベルとしての活動を休止した。だが、彼が残した数々の名トラ ック群はそれ以降もRicardo VillalobosやZipをはじめとしたDJたちのレコードバッグにシークレット・ウェポンとして居残り続け、2000年代以降から現在に至るまで円熟期を迎えているミニマル・ハウスのルーツ・クラシックとして再評価されて久しい。実際、彼の残したトラック群は新しい/古い といった単元的な基準ではまったく括ることのできないタイムレスなサウンドの強度と魅力を持ち合わせていて、そういった意味ではBasic ChannelやDaniel Bell、Peter (Baby) Fordといったアーティストたちにも並び評されるべき存在感を彼は放っている。シーンからの根強い支持に加え、ベルリンSushitechの主宰者Yossi Amoyalからの再三のラブコール に応えるかたちで、O'Sullivanは2013年遂にシーンの最前線へと本格復帰し、自身の音楽制作を再開。Sushitechからリリースされた2枚のレトロスペクティヴ的内容の編集盤「Mosaic Reshaped & Unreleased」「Bluetrain Retrospective」に続き、フランクフルト/アムステルダムの新興レーベル LowMoneyMusicLoveへのトラック提供を経て遂に自身の名レーベルMosaicも再始動するに到った。 当時を知らない若いリスナーにもシンパを拡大している。