ARTISTS

Chaos in CBD

現行ハウスシーンにおいて最も熱い注目を集める、南ロンドン・ペッカムを拠点にする兄弟デュオ、Louis Helliker-HalesとBen Helliker-HalesによるChaos In The CBD。彼らの音楽的ルーツは、母親の影響でThe CureやJoy Divisionなどが日常的に流れていた故郷ニュージーランド・オークランドの環境で培われた。

彼らのエレクトロニック・ミュージックへの探求は、オーストラリア・メルボルンでのレイヴ体験から本格化した。ハウスミュージックの洗礼を受けたLouisが、Benの制作するビートをシカゴ・ハウスの文脈へと導き、サウンドを確立。SoaneやDick JohnsonらローカルDJのプレイから現場の空気感を学ぶと同時に、当時オークランドを拠点としていたデトロイトの重鎮・Reclooseからの直接的なメンターシップを受けたことが、彼らのキャリアにおける最初の大きな転機となった。

その後、ロンドン・ペッカムへの移住が彼らの運命を決定づける。到着直後に地元のキーパーソンであるBradley Zeroとの出会いを果たし、彼が主宰するレーベル〈Rhythm Section〉やローカルパーティのネットワークへと深く浸透していった。この繋がりからリリースされた傑作EP『Midnight In Peckham』は、彼らを世界的ブレイクスルーへと導くこととなった。

Chaos In The CBDのシグネチャーである「まろやかなハウス・サウンド」の根底には、ニュージーランドのビーチで過ごした幼少期の原風景と、彼らの気負いのない自然体なスタンスが息づいている。しかし、そのリラックスしたプロダクションとは対照的に、実際のDJセットは全く異なる熱量とダイナミズムを放つ。静謐なトラックに頼ることのない、よりタフで実践的なアプローチで現場を牽引している。

過酷なグローバルツアーを経てキャリアの次なるフェーズへ突入した現在、彼らは単なる享楽的なフェーズから脱却し、10年先のヴィジョンを見据えた活動へとシフトしている。その中核となるのが、Jon Sableと共に設立したレーベル〈In Dust We Trust〉だ。自身のペースで自由なリリースを行う環境を構築しつつ、〈Mule Musiq〉をはじめとする外部レーベルとの連携も積極的に継続することで、エコーチェンバーに陥ることなく常に外の世界へと開かれた姿勢を保ち続けている。

The KinksからThe Everly Brothersまで、音楽史には「対立する兄弟」の逸話が絶えないが、Chaos In The CBDはその対極に位置する。幾多の困難な局面を共に乗り越え、失敗の重圧を半分に分け合い、成功の喜びを共有する。精神的にも深く結びついた二人の強固な連帯こそが、今日の彼らの目覚ましい躍進を支える最大の原動力なのだ。