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Ibiza Through RAHA’s Eyes - vol.74:4/1(土) RPR SOUNDSYSTEM with Dreamrec VJ@LIQUIDROOM ~ Thankful

5/30 (火)

みなさん、ご無沙汰しておりました。4/1のあの鮮烈で最高だったLIQUIDROOMのパーティーからもう2ヶ月が過ぎる今、ここにようやくその日々を振り返るレポートに着手するに至りました。いつもだったらこの4月は、パーティーがあったとしてもその遅くとも10日後にはもう日本を出てそのままBerlinから恒例のSunwavesへと続いていき、楽しくはあるんだけどやらなくちゃいけない事詰まり過ぎ繋がり過ぎでそれはもう鬼のような忙しさ、それがそのまま10月終わりになりヨーロッパが寒くなってもう自分の1年の旅を長いのは終わりにするまで、本当にずっとボ~ッとする日なんて1日だってないほどの大変な状態だった。2年前の同じRPRのパーティーのあったあの年は、秋までのあの予定の詰め込みようはそれこそホント楽しいを通り越してむしろ辛くまであった。

今年はこのパーティー後のこの4, 5月を、5年ぶりに海外に出るのを止めにして日本にそのまま残る事を選択した。何故かと言うと負傷の耳がまだ完治していなかったから。あの状態で海外のフェスとか行ってたら、ホントよくなかったと思う。後から思うと、本当に行かないでおいたのは正解だったろう。それで、その分、生活にはかなり余裕があった。ホント久方ぶりの余裕。これは気持ちよかった。いつもとは違うゴールデンウィークを跨いでの日本で過ごすゆっくりした日々は、またいつもとは違う味わいがあってよかった。

そんなで決して時間が全くなかったわけではないんだけど、どうにも文章を書く気がここまでなかなか向かなかった。これまであまりにも多く書いて来てるから、多分書くのにもスランプとかってあるんだろう。自分のここ近年の中ではビックリするぐらいのんびりし過ぎているからなのか、どうにも気が乗らなかったのだが、ここに来てようやく勇者は立ち上がった。気付くと、6月のヨーロッパ行きまでもうあと2週間切っていた。



さて、そのレポートに入る前にいつものように告知を、今日は3つさせて頂きます。

まず今週末は、上海のElevatorというクラブに呼んで頂き、プレイして来ます。micro/waveという、今世界で引っ張りだこのSedee周りの、ドイツはマンハイムからのクルーがオーガナイズするナイスパーティーです。なので彼ら音の事はヨーロッパ基準でしっかり分かっています。客層もヨーロッパ人がものすごく多く居て、かなりいいとデブに聞きました。しっかりロックしてきます。
そして今回彼らのためにエクスクルーシブでPodcastを提供しました。最新のMixで、結構気に入ってます。1時間ですので、是非聴いてみて下さい。
https://soundcloud.com/



続く来週6/10の土曜日には、Beat In Meを開催致します! 今回のゲストは、元NoidoiでのBaracの相棒だったDubtilが注目の初来日! こちらのニュースはレポートの最後に詳しく書かせて頂きますので、最後までお読み下さい! RPRだけ来てたのでは、正直片手落ちですよ!



そして、3番目は僕にとっての大きな嬉しい報告が! なんと、”Beat In Me" が今年のOFF SONARのパーティーに登場します!東京でのBeat In Meの翌週の6/16(金)。Barcelonaのナイスパーティーcheckpoint とのコラボレーション・パーティーです!他の曜日のパーティーもバッチリな内容。日本人ではPI-GEとJunkiにも参加してもらう事になりました。会場の場所も街のど真ん中の最高の立地にありますので、Sonarに遊びに行かれる方は、6/16(金)に是非お立ち寄り下さい!頑張って来ます!

https://www.facebook.com/events/468037933534803?__mref=mb
https://www.residentadvisor.net/event.aspx?976255#




そんなこんなで色々な準備が重なってきて、実はこの書いてる今、他の重要案件も幾つも重なり、結局の所寝る時間もろくに取れないぐらいの信じられないほどの多忙さになってしまった。




さて、お待たせしました。ではレポート行きましょう! 今回は2年前のとは違ってあくまで軽めに(結局ムリだった)、この4/1のLIQUIDROOMのbig partyを振り返ってみたいと思います。

ちなみに2年前のがどんなに力作だったかと言うと、こんな感じ。いい事はすごく書いているから余力があったら復習のつもりで再度是非読んでみて欲しい。
http://www.clubberia.com/ja/features/feature-91-ibiza-through-rahaseyes/50.php



2年前の4/4にやった『RPR SOUNDSYSTEM @LIQUIDROOM』。あれは日本のパーティー史上に残る最上級のパーティーだった。実際、あの彼らにとってさえも「one of the most amazing ever」という言葉を頂いたのだから、それは最高に素晴らしい夜だった。
あのパーティーが終わってすぐに彼らと、次は翌年ではなく2年後に、と約束を交わし、その日が今回のこの4/1その日であった。
と言う事は、もう2年前からこの時期にやる事は決まっていたので、準備の期間は1回目の時とは違って充分に取れた。この1年前にステップとして同じLIQUIDROOMで『Beat In Me feat. Rhadoo with Dreamrec VJ』というキラーパーティーも立案し、大成功を収める事もできていた。順調なステップも踏め、2年前とは違って今回はものすごく早くから準備を始めていた。準備自体は6月ぐらいからやっていたから。

ただ、やる前から、前回最高の結果だったから今回も同じようにやれば同様の結果が容易く得られる、と言うわけではむしろない、と思っていた。前回大成功したから今回も同じようにやれば黙ってても同じいい結果になる、というような簡単なものでは全くないのは経験上分かっていた。
俺は心から最高だなあと思う体験をした時はもう何度でもチャンスがあれば行くようにやるようにしている。見逃すなんて人生もったいなさ過ぎる。この国に居て毎日、1年のうちにそんなに心から最高の日なんて遭遇できないと俺は思っているから。だけど、一回「体験」したっていう事実に対してでもう満足を得れちゃうっていうリーズナブルな人も特にこの国は結構多く、2年前にどれだけ感動した人であっても、その全員がまた集まるor集まれるわけではないだろうと思っていた。本当に最高のものを与えてくれるものって、演劇でも音楽でもショーでも、何度でも何度でも行って実体験した方が絶対いいのにね、と常に思う。それの蓄積がその人の人生のどんどんいい濃さになっていくのだと思う。

まあそんな傾向も含め、何事も1回目よりも2回目の方が人を集めるのは難しいものである。加えて近年の日本のクラブシーンの状況は集客数的に以前よりもかなり厳しいものになってきているという事実もシーン全体の問題として確実に存在していたので、今回は色んなアイデアも前回とは違った視点から考えていったりしてみた。
テクノ・ハウスシーンには若いコが少なくなってきている、前は毎週のように遊びに出ていた人達がまだたいした歳にもなってもいなくてもあんまりクラブに出なくなっている。よく言われている事だ。そこで今回考えた。では、新しい人達を増やす事を始めるべきではないか、と。今回のパーティーは僕が主に関わるジャンルでは世界最高のコンテンツ。ご存知のように当日の現場での内容は鉄板。来ればアンテナ張れてる人は、これまでもそのすごさは絶対分かってる。本当に別ジャンルの重要な友人達で、その感覚がアート的にアンテナ張れてる人は、服のデザイナーでも音楽家でも、絶対にものすごい反応を示してくる。加えて今回は去年2月のRhadoo公演の時に来た人全員をあっと言わせた映像のDreamrec VJも来る、音と映像の完全バージョン。当日実際にこれ体験してもらってその上で、これどこがすごいの?とか、たいした事ないね、ってもし言われたらもうゴメンナサイするしかない。でもあれは実際来てもらえば、他のジャンルで生活してる人達であっても、しっかりといいものの区別が付くアンテナ張れてる感度のいい人達であれば、絶対にその素晴らしさが分かるはず、と思ってた。ここ近年のテクノやハウスの人口が減っているのであれば、今回のこれをいいきっかけとして、シーンに新しい人達に入って来てもらおう、増やしていこう、と考えた。他ジャンルのイケてるキーパーソン筆頭に、特にお洒落できててデザインとかにもすごく興味あるような人達来てくれたらいいなあと考えた。そしてこの4/1が、最高だね今日は、って言ってもらえるのは当然の事と分かっていたけど、あわよくばこの日をきっかけにして、このルーマニアンハウス云々だけじゃなくて、ちょっとだけ音は違っても他のテクノとかハウスとか、全体として他のパーティーとかにもなんか行くようになっていったら、このパーティーはさらに意味のある1日になるなあ、と本気で思って色々動き出した。


色々やってみた。やややり過ぎにならないようには注意して、でもパブはものすごくいっぱい打った。これまでも常にお世話になっているclubberiaとかRAとか始め、そういったクラブ系の情報機関はそれは当たり前。今回は、当初のもくろみもあり、思い切りファッション系にも大きく打ち出した。よりアート色が強い媒体には、Dreamrecのあの映像が非常に有効的だった。当然の事として、結果非常にたくさん打ったが、それナシだろうむしろ、というところにはもちろんやってない。

彼らの来日に移る前に、パーティーの成功への準備として、今回のこの4/1に関しての事を取り上げて頂いた媒体を、各先への感謝の意も込め、全部まとめておきました。


■まず、最高にかっこいい出来になった超シンプルなPromo Movieからご覧頂き、今一度気分を高めて下さい。



■Facebook Event Page
https://www.facebook.com/events/209168746155695/?active_tab=about


各WEB SITE。今回はファッションサイトにも大きく幅を広げての告知となりました。繊研 plusとかVOGUEとか他じゃ結構考えられない発想だろうw Berlin在住のカナちゃんがかなり頑張ってくれました!

■WEB特集記事

・clubberia 
1) http://www.clubberia.com/ja/news/6211-RPR-SOUNDSYSTEM-VJ-DREAMREC-LIQUIDROOM/
2) http://www.clubberia.com/ja/news/6257-RPR-SOUNDSYSTEM/

・RA JAPAN
1) https://jp.residentadvisor.net/news.aspx?id=37569
2) https://jp.residentadvisor.net/feed/97808
イベントページ) https://jp.residentadvisor.net/event.aspx?912938

・iFLYER  
https://iflyer.tv/ja/article/2017/01/10/rpr-soundsystem-with-dreamrec/

オーガナイザーインタビュー
https://iflyer.tv/ja/article/2017/03/24/rpr-raha-interview/

・BANANA  
1) http://bnana.jp/mags/rpr-soundsystem-dreamrec-liquidroom-2017/
2) http://bnana.jp/products/rpr-soundsystem-dreamrec-vj-liquidroom-170401/

・Higher Frequency
http://higher-frequency.com/news/rpr-soundsystem-rhadoo-petre-inspirescu-raresh-dreamrec-liquidroom-2016

・FLOOR Mag.net
1) http://floormag.net/rpr-soundsystem_liquidroom_20160401/
2) http://floormag.net/rpr-soundsystem_liquidroom_20160401-2/

SUNWAVESインタビュー
http://floormag.net/sunwaves-festival/

・ele-king
http://www.ele-king.net/news/005494/
・disk union
http://diskunion.net/clubt/ct/news/article/4/64261

・繊研 plus (senken plus)
http://www.senken.co.jp/report/western-europe-eastern-europe-romania/

・Qetic
http://www.qetic.jp/music/rprsoundsystem-170206/234295/

・Qetic 宮沢香奈 Blog
https://qetic.jp/column/kana-miyazawa/km-post56/239276/?utm_campaign=PostShareBtn

・Time Out TOKYO
(日本語)
https://www.timeout.jp/tokyo/ja/rpr-soundsystem-with-dreamrec-vj
(ENGLISH)

https://www.timeout.com/tokyo/nightlife/rpr-soundsystem-with-dreamrec-vj

・FNMNL
http://fnmnl.tv/2017/03/13/24846

・block.fm
http://block.fm/news/rprsoundsystem_tokyo

・honeyee.com
http://www.honeyee.com/art-culture/170324_rpr_soundsystem_dreamrec_vj

・creatorspark
http://creatorspark.info/lifestyle/28144

・warpweb
http://www.warpweb.jp/entertainment/event/club/37093.php

・VOGUE JAPAN 宮沢香奈 連載
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/culture/2017-03-27

・Girlhouyhnhnm(ガールフイナム)
https://www.instagram.com/p/BSIyPxpjYoe/?taken-by=girlhouyhnhnm
https://www.facebook.com/girl.houyhnhnm.jp/?fref=ts

・LIQUIDROOM
http://www.liquidroom.net/schedule/20170401/32306/


ー 前回2015.04.04のレポート ー
・RA JAPAN  http://jp.residentadvisor.net/review-view.aspx?id=16736



また、今回は、これまで非常に限定的なアプローチだった雑誌にも大きく取り上げて頂きました。本当に感謝です。

■雑誌

・FLJ 3月号 #52 26P~29P(4P)   この見開きの画は、あちらサイドの読者の人達にも本当に衝撃的だったようです。内容もしっかり書きました。


・FLOOR2月号 Vol.19 35P   SUNWAVESに関連したインタビューです。


・GINZA 4月号 245P   なんとGINZAにも!宇川さんのページに出してもらいました。


・warp5月号 148P~151P(4P)    コンビニ棚置きで販売されている人気誌に4ページ。僕のインタビューという流れの中で載せて頂きました。




いつものようにラジオもいい番組をさせて頂きました!

■RADIO

・DOMMUNE 前夜祭5時間SPECIAL! - Rhadoo, Kabuto, Junki Inoue

・Inter FM.『Tokyo Scene』- RAHA



また、今回も本当に多くの人達に協力してもらいました。前回同様、東京だけでなく全国の仲間達、クラブの方達にも、フライヤー、ポスターで設置の協力をして頂いたりで、本当にありがたい限りでした。みなさん、今回も本当にありがとうございました。




そんな多くの人の力を借りながら、パーティーの準備は着々と整っていった。
今回導入した早割はそのほぼがその日の夕方には完売し、前売りも前回同様順調に出ていた。細かいダメな点は多々あるものの、全体として非常に順調にカレンダーはめくれていった。


フライヤー。今回もこの最高なデザインはKikigraphixによるもの

仮フライヤーから。


仮ポスター


本フライヤー表


本フライヤー裏


ポスター





さて、みんなの、前振りはもうそのくらいにして早くパーティーそのものにまつわる内容に行けよ! という声が聞こえてくるかのようですw さあ、この長い前置きと同様、長い長い準備期間を経て、ついにパーティーの開催週となりました!

今回はすごかった。普通に来て普通に帰ったRaresh以外、3人がそれぞれ早く来て長く居た。4/1のパーティーに対し、3/27のまずPedroから4/6の最後のDreamrecまで、計11日間。Pedroが10日ぐらい長く居るのはいつもの事だが、あのRhadooが滞在を長くしてこの日本になんと8日間も居たのは初めての事だしビックリだった。
俺は基本行ける時は全て自分で空港に迎えに行くので、自分のDOMMUNEの時間と重なって行けなかった1回以外、羽田5回に成田3回、計8回の空港通いはさすがに結構キテた。

一番乗りはやはりPedro



火曜日の夜に彼らと今回帯同して来たファミリーのVladaと一緒に、「Beat In Me番外編・x ARMA17」という形でDOMMUNEをやり、4/1のプロモーションが目に見える形でも始まって行った。



しかし、ここまで順調に来た一方で、今回は、いい事ばかりではなかった。2年前の時は朝8時が終了だった。だけど今は風営法真っ只中。折しもパーティー前週にクラブ関係者を集めての警察からの通告もあったりで、店側とも協議の結果、今回のパーティーは5時完全終了が決定された。みんなには申しわけなかったが、こればかりはどうする事もできなかった。

ここでみんなにお知らせしたい重要な事があります。前もってFacebookとかでは、前回を考えてももう少し長くできるだろうと思っていてそう言っていたりもしていました。当日、前売りを買っているにも関わらずおそらく会場に現れなかった人が何枚かのチケット分いるのを把握しています。もしも、この日仕事とかだけど朝からだったら行けるから、それでも前回のあの朝からの素晴らしさを考えると終わりの方だけでも行きたい、と早割もしくは前売りを購入した人がいるのではと思っています。前売り買ったけどただ寝ちゃって来れなかった、とか、とにかく来なかった、という人は対象外になるけど、もし本当にこの朝からの時間だけのために、でもそれでも前売りを買ってくれていた人がいましたら、それで僕らがその週になって急遽5時までです、と言うアナウンスになってしまったために、チケットも持ってて、でも来たくても来れなくなってしまった、と言う方がいましたら、どうぞ僕まで遠慮せずに名乗り出て来て下さい。今からでも払い戻しさせて頂きます。結構何人も居たようなので、言ってこられたらそのように対応しようとスタッフ間でも話していたのですが、今のところその話しは皆無なので、でも今からでも僕が直接対応致しますので、ご遠慮なく言ってきて下さい。寝坊とか違う理由で来れなかった人は、嘘付いちゃダメですよw ここはその人信用するので。



さらにパーティー週の水曜日の夜、唯一まだ来日していないRareshからメッセージが入る。彼はその前の週Ricardoと一緒に南米ツアーを回っていた。前もって発表していたように、LIQUID前日の3/31のDOMMUNEはRareshの出演予定だった。
が、なんとその南米でほとんどインフル並みのvery bad coldにかかってしまい、昨日ようやくルーマニアの自宅に戻ってきたものの酷い状態だそうだった。それで、金曜日のDOMMUNE出演はとりあえずナシにして欲しいと。その金曜日の夜じゅう、翌日土曜日のbig showに向けてとにかく睡眠を摂って回復に努めたいと。DOMMUNEに関してはそう言う事ならDOMMUNEサイドそしてファンの方達には非常に申しわけないがまだ仕方ないとして、ではそもそもその最悪である状態で日本に来る飛行機に乗る事ができるのか?それも数時間後の木曜朝発のロングフライトである。間の悪い事に花見のこの季節、4/1の土曜日に日本に着くその翌日の便に空席などは1席もなかった。ほとんどインフルって、もしそれがインフルそのものだったら、飛行機乗ったり、そもそも会場で頑張ってパフォーマンスしてもらう事自体がNGなんじゃないか? 途中から、半分は最悪の事態も想定して心構えした。もしホントに気持ちでとかでカバーできない状況が起きた場合、それはどうしようもない場合だってある。1年間準備してきた事に対してだって、そういう事は起きる時は起きる。実は水曜日の夜、半分覚悟した。Rareshがもし来れなかったら、お客さんのみんなはさぞガッカリするだろうな。そうなった時の申しわけなさで、考えると胸は痛んだが、でも。。。
もう一方でこういう考え方をしていたのは、あの時の国内では多分僕だけだったろう。

もしメンバーがどうしようもない理由により欠けて今居る2人での公演になった場合。。それは、逆に必ずや別の歴史に残る最高のプレイの夜になるのであろうと僕は確信していた。去年の7月、モスクワでOUTLINE Festivalが開催直前の土曜夕方5時に当局のいきなりの指導で開催が中止となってしまったあの時、既に世界中から現地に集まっていた過去最高の膨大な数の人間が茫然自失になっていた。急遽行われた代替パーティーで、Ricardoと共に登場したRhadooの延々と終わる事ない鬼気迫るプレイは、あの時ロシアビザを取って来ていなかったのもありイビサに残っていた俺だけでなく、世界中のコアなクラバー達の耳にすぐさま届くほどの凄みだったと言う。もし今回2人でのRPRになったとしたら、それは逆に彼らは必ず世界に噂が回るほどの凄まじいプレイをしてくれたに違いないと確信していた。それが[a:rpia:r]。大袈裟でなく、彼らは本当にそうなのだ。それが分かっているから、俺自身は実はなぜかさほど取り乱す事はなくどちらかと言うと不思議と落ち着いていられた。
それでもPedroが、朝方になってもまだ一睡もしていない俺に心配してこう言ってくれた。
「あんまり心配しないで大丈夫だから。because it will be very good anyway」と。

そしてもう一言。

「It will another historical party in Tokyo :)」

Rareshの高熱はまだ何も解決していなかったが、この言葉でもう俺自身に関しては何の心配もなくなった。彼らは今回、このパーティーをそのようにしようという意思を持って来てくれている。これは、どのようなケースになろうとも、このgig、必ずそうなる。彼らが必ずそうする。なんか、信頼とかでは言い表せないような不思議な感情が涌いて来て、不覚にも涙が出そうになった。

果たしてRareshは驚異的な体力でもって、その彼をして最悪に近い状態から翌朝の数時間後のLufthansaに乗ってやって来た。インフルではなかったのは不幸中の幸いだった。金曜日の朝Gateから出て来たRareshは、やや疲れていたものの、これが意外と平気だった。さすが、彼らは超人達だ。そして、でもそんなまだまだ全然病人なのに、ホテルに着いたら、後は俺に任せろと言ってPedroが外に散歩に連れ出して行った。具合悪いのに大丈夫なのかそんな事して?と思ったが、散歩から戻ったRareshはさっきよりもスッキリした感じになっていってた。やっぱ彼らは本当に兄弟のようなんだな、と強く思わされた。どうするのかを全部分かってる。一緒に居て見てると分かる。あの3人は本当の兄弟以上に兄弟だよ。



Rareshがまだ日本に着かない木曜日の夜に、では彼の代わりにDOMMUNEを誰がやれるのか、という話しになった。Pedroは前年11月の単独来日時に出演していたばかりで、俺はRhadooに急遽ではあったがお願いをした。翌日彼は、どうやら他にいい手だてもないだろうから俺がやるしかないだろうw と笑いながら請け負ってくれた。完全フリーの日だからプライベートの予定もあったろうに。そして、一緒に出演するDreamrecの映像についてアイデアを考えていてくれた。去年2月にこのDreamrecの映像を付けて披露されたRhadooのプレイは世界中でもう配信されている。今回は違う手法でやりたいと。実は前の時にも提案はされていたのだが、その時は宇川さんと相談した結果、思っているようには出すのは現場のセッティング状況的にうまく出ないのではとの結論で、実映像に混ぜるあの方式になった。が、今回は体に直接当てたいと。距離の問題など色々ありハードルは高かったが、最終的にみんなが納得できる最高の着地点も発見され、Rhadoo本人も大満足の素晴らしい映像配信になった。この配信の最中にはLondonのFabricが翌日のLIQUIDROOMの事をTweetしていたらしかった。彼らの2回目となる今回のこのパーティー、正直言って世界の人達が非常に注目する一夜となっていた。




さて、色んな紆余曲折があっていよいよ本番当日。あとは彼らがお客さんを魅了するプレイを見せてくれるだけだ。
いよいよオープン。オープン前からの2年前のあの行列は今回はなく、前回と比べるとわりとゆったりとした立ち上がりでパーティーは進んで行った。と言っても通常のパーティーと比べたらもうとんでもなく早い時間から人が続々と埋まって行ったが。


最初すごく小さい音量でやっていたね。でもあれはいつもの事。IbizaのUndergroundでの自分のパーティーでも、Rhadooはかなり深い深夜の時間になってもそれでも相当小さい音でやっているから。パーティー自体も前半、前回に比べると淡々と進んでいるように見えた。安定したグルーブを紡ぎ、興奮した勢いのものはなく、最初の方は少し心配もした。でも彼らのやり方は充分分かっているので、前半始めの方がどうであれ、2時回ったぐらいから最後までは確実に最高の時間になるのは分かっていたので、それまではまあゆっくりいこうか、みたいな気持ちで見ていた。それでも1時回ったぐらいから、Rareshが音量どう?って時折聞いて来た。小さくやってはいるけど、小さ過ぎはしないかな?と。RAHAのopinionが聞きたいんだよ、と。でも、俺は耳の調子がよくなかったから、音量に関しての正確な判断ができない。フロアーに居てもどれくらい音が大きくなってるのか小さいのかが正確には分からないから、信頼できる数人に何回も聞いて確認していた。




唯一2年前、そして去年の2月と違ったのが、LIQUIDROOMが今年からデジタルミキサーに変わったという点だった。サウンドチェックの時点では彼らもこの部分をカバーし切れず、スタートしてしまってからではその接続を変える事がもうできなくなってしまっていたため解消する事ができなかったのだが、どうしても起こるモニターの若干のずれが3人ともかなり気になってはいたようで、それが唯一プレイする上でのストレスにはなっていたようだった。

お客さんは、初めて見るような、そのカッコで明らかにファッションの関係の人だろうなという人がたくさん来ていた。声をかけていた、こんな業界の人まで、というような知人も大勢来てくれて居て、雰囲気は最高だった。今回、これまでよりもやや広い層に向けてプロモーションを展開したから、少しエッと言うようなお客さんも入っては来ないだろうか、という若干の危惧があったが、それは全くの杞憂だった。その客層は本当によかったと思う。フロアーでもBarでも、雰囲気を壊すようなお客さんは自分の見たところでは全く見当たらなかったようで一安心していた。
その早い時間でも、初めて来たような友達たちの口からフロアーの雰囲気、彼らのフロアーコントロールに関して絶賛の言葉が出ていた。俺的には、今のところまだ流してるだけだよ、という感じだったがw



2F Loungeは、PI-GE, Kabuto, Junkiという順番で、フロアーも終始人で賑わい一晩を通していい雰囲気が作り上げられていてさすがだった。


そしていよいよ。2時を回ったぐらいからだったか、2, 3度のきっかけで一気に空気変わった。ギアを上げた。Rareshがその役割を果たしていた。フロアーのお客さん達もそれが明らかに分かったようで、いきなり空気感が変わった。


そこからの最後までの約3時間は、それは本当に凄まじかった。フロアーにも何度も足を運んで確認していたが、あれは本当に最高レベルの、あまり感じる事のない感覚だった。2年前のそれと比べるものでもないが、甲乙付け難い、本当に素晴らし過ぎるものだった。彼ら、本当に凄い。Dreamrecの映像も、1年前にRhadooと二人で最初に来た時とは少しマイナーチェンジした感じもあり、より抽象的な感覚のものになっていた。最初のうち、その今やっている芸風の色合いにはその画面に出ている色の感じが今ひとつくすんで見えるように感じ、そこはすかさずそれを感じ取った、去年のRhadooの時に続いて今回も映像を全面的に担当していたRealrockdesignの人達がプロジェクターをいい感じに調節してくれ、以後はさらに素晴らしい投影となっていた。こちらも前回に負けじと素晴らしい世界観だった。



パーティーが始まる前から、1点だけ、前述した5時の終了が若干の心配だった。ルーマニアンハウスはじっくりと時間をかけて種を蒔き音を重ねていき、長尺の展開であくせくしない長い音の旅を構築していく部分が強いから、果たしてこの限られた時間でいつも通りの世界観を作って行く事が、そしてお客さんのみんなが同じように感じる事ができるところまで持っていけるのか、という点だった。とにかく時間がもっと必要に越した事はない。


そういった観点では、もうこれまで何十回となく聞いてきている僕の眼では、いつもの彼らよりも若干だけ速度が速いように感じる部分も前半部分でたしかにあったように思えた。単純に考えて倍の早さで物語を進めて行かなくてはならないのかな、と思い、その点を少し心配していた。良さが失われないかを。だが、その心配は杞憂に終わった。素晴らしかった。


そして、旅の最後を締めくくるのは、前回に続いてRareshの役割だった。2年前のあの30分ぐらいをかけての壮大な完璧なエンディングが思い出される。果たして今回も、それと同様の美しく素晴らしいエンディングを迎えた。拍手が鳴り止まなかった。



そして2年前と大きな違いがあった。彼らは、いかなる場合でも基本的にはアンコール、one moreというものをまずやらない。以前にRhadooと話した事がある。最高の完璧なクロージングをして旅を最高に上手に着地させたのに、また何かをかけて、それ以上の終わり方はできないよ、というような事を言われ、ものすごく納得した。それ以後俺は[a:rpia:r]にアンコールの1曲をお願いする事を一切していない。
2年前のあの時も、Rareshがそれはもう最高級のとろけるような終わらせ方をした。旅は完璧な形で美しく終わった。みんな満足し切れていた。それなのに、、何人かの、結構多くの人がいつまでもいつまでもワンモーワンモー言い続けていた。素晴らしかったから、最後にもう1曲踊りたいの、という気持ちはすごく分かるから、少しワンモーと言ってしまうのは全然分かるしいいだろう。だけれども、アーティストが明らかにやる意思がなくてそれで1日を終わらせる完璧な作品を完成させた後に、いつまでもいつまでもそのDJに向かってワンモーワンモー言い続けているその様からは、正直アーティストへのリスペクトがその部分においては欠けてしまっているように映った。

だが一方の今年は、最後の曲が終わった後にワンモーと言っていたのはきっとそこらへんの事がまだ分かっていないのであろう2人ぐらいだけ。2年前と本当に違って、シーンとしてお客さん達がものすごく成長したのを感じる瞬間だった。
ここのくだりについても前回2年前のレポートでも終わりの方に書いてあるからよかったら読んでみて下さい。みんなきっとあれ読んでくれた人も多いんだろうなと思う。それで読んでくれた人は、[a:rpia:r]の考え方、スタイルを知ってそれをしっかりと尊重してくれている。素晴らしいな、と思った。



2回目となるRPR SOUNDSYSTEMのLIQUIDROOMでの公演が無事に終わった。自分でフロアーで感じてたから分かる。本当に素晴らし過ぎる内容だった。Rhadoo, Petre, Raresh, そしてDreamrec、今回も素晴らしい体験を本当にありがとう。お疲れ様でした!

遊びに来てくれたみなさん、本当にありがとうございました。みんなが居なければどんなにいいパーティーをやっても成立し得ません。
そして様々な形でご協力頂いたみなさん、いつも本当にありがとうございます。みなさん、今後ともいいパーティーを続けていきたいと思います。引き続きどうぞ宜しくお願い致します。



今回協賛について頂いたCOCALEROさんです。
最高のパーティーでご一緒させて頂く事ができ本当によかったです。ありがとうございました!





そして、VENTでのアフター、こちらも本当にナイスグルーブのいいパーティーでした。会場に着くなり、会う人会う人にLIQUIDROOMが本当に最高だったとありがとう、という感謝とねぎらいの言葉をかけて頂き、こちらはこちらでみんなにありがとうね、と口々に。ものすごくいい雰囲気の素敵なアフターになりました。
マイクでアナウンスした通り、本当に誰が回すのか回さないのか分かんなかったけど、RPRのみんなが来れなかったのは残念だったけど、Kabuto, Junkiの素晴らしいプレイによってパーティーは最後10時半まで最高の盛り上がりでした! みなさんお疲れさまでした。




こうして長い準備期間を経て実現したビッグパーティーは、大成功のうちに幕を閉じる事ができました。

写真は、一番最後の出国となったDreamrec達との空港での最後の別れ。


後日、関係者全員での打ち上げお疲れ会。今回関わってくれた皆さん、本当にお疲れ様でした!



11月にまた別の素晴らしい事を計画しています。何とか実現できるといいなあ。みなさんどうぞお楽しみに!

最後にパーティー後にFacebook Event Pageにもあげてあるあいさつ文をここに添付しておきますね。


(photo by Masanori Naruse, Atsushi Harada, RAHA)
 




(4/6 RAHA Facebookより引用)

Thank you so much to everyone!!

遅くなりましたが、先週土曜日の『RPR Soundsystem with Dreamrec VJ @Liquidroom』に遊びに来て頂いた方、本当にありがとうございました。
本日最後の帰国となったDreamrec VJをさきほど空港に送り届け、これで4人全て無事に帰国の途に着きました。まずは今回も特に事故も問題もなく彼らを送り返す事ができてホッとしています。
土曜日のパーティーは、やっている僕たちとしては自分達の手応え・感覚に加え、実際に来て頂いたその場に居た方達の反応・頂く言葉で判断する限り、本当に素晴らしいパーティーとなりました。
立ち上がりは2年前の時と比べてゆっくりとしたもので、最初の2時間ほどはほどよい速度でパーティーはゆっくりと暖まっていきました。2年前のあのオープン前からのクレイジーな速度と比べて立ち上がりは少し心配もしましたが、そうですね、2時を回ったあたりからのあの店内全体、そして何よりあのメインフロアー内の感じは圧巻でした。いつもそうですが最初のあれは彼ら意図的にかなり抑えていて、人がほぼ埋まってきたのを確認したかのように徐々に彼らのプレイにもエネルギーが増していったのが分かりました。
そして最後の2時間、3時間、あのフロアーは本当に凄かった。これまで幾度となく見てきているけど、やっぱゾーンに入ってからの彼らは恐ろしいぐらい凄まじい。決して単にBPMを上げる事などでフロアーにエネルギーを注入するというのとは別次元の手法によるあのフロアーコントロール。やっぱり彼らは世界最高峰と言って間違いがありませんでした。
そして、昨年2月からさらにアップデートされた魅惑的なビジュアルで一晩通してフロアーに[a:rpia:r]の世界観を完璧に投影してくれたDreamrecの素晴らしい映像と併せ、今回再びこの日本で最高級の時間を創り上げてくれた彼らに、心からの敬意と感謝の気持ちを伝えたいです。
今回あれを一緒に体験できた多くの人達、あれを一緒に体験できて本当によかった。あの日あのフロアーで感じたあの感覚を、僕たち日本のシーンの、更なる高みへとみんなで上がっていくための大いなる糧にしましょう。
2F FLOORも3人それぞれが素晴らしいプレイを見せてくれ、今回の人選が本当に的確だった事をしっかりと証明してみせてくれました。出演者のみんなありがとう。
アフターのVentも、残念ながらみんなの期待した彼らの出現はなかったものの、長時間にわたりブースを守ってくれたKabuto、そしてJunki Inoueの本当に素晴らしいプレイにより、非常に内容の充実したアフターとする事ができました。リキッドからの気持ちをそのまま持ち込んだお客さん達の興奮と互いへの感謝の気持ちで、多幸感に満ち溢れた素晴らしいバイブスでしたね。みなさんお疲れさまでした。
今回のこのLIQUIDROOMのパーティー、去年の夏から、もっと言うと更に前からずっとみんなで準備してきました。前回に比べ準備期間が長かった分色んな事ができた反面、体力・気力とも長期間緊張が続きさすがに疲れましたw
でも、このメンバーで精一杯頑張ってきてよかった。4/1のこのパーティーの素晴らしい内容・結果で全てが一気に報われました。みんな本当にお疲れさまでした。
今回このビッグイベントを開催するにあたって、実に多くの方々に協力をして頂きました。これから個別にご挨拶をさせて頂きたいと思いますが、まずは皆様、本当に本当にありがとうございました。おかげで本当に素敵な1日となりました。
僕たちのこのパーティーは終わりましたが、この日本のクラブシーンは途切れる事なく続いていきます。これからのこの日本のシーンにプラスのポジティブなエネルギーと影響をみんなで持ち続けていかなければなりません。今回のこの素晴らしい夜がその大きなきっかけの一つとなってくれればと強く思います。
さて、私的な事ですが、次回のBeat In Meは6/10(土)にSankeysでの開催が決定しています。ゲストはこれから最終調整に入り、近日中に皆さんにお知らせしていけると思いますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。
最後になりましたがもう一度、みなさん、先週の土曜日は、素晴らしい一夜を一緒に創って頂き、本当にありがとうございました!
またパーティーしましょう!

 



さて、そうしたら最後は今度のパーティーの告知を致しますね。6/10(土)、場所はSankeysです。
LIQUIDROOMのパーティーは僕にとってこのBeat In Meのスペシャル版。これが元々の母体となっています。規模はRPRとかでないからグッとコンパクトで、deepに楽しみたい人にはピッタリだと思います。クラブパーティーとしてすごおく楽しく、いいバイブスで溢れていますので、みんなこちら是非遊びにいらして下さいね。





『Beat In Me feat. Dubtil』


10th June 2017 (Sat) @Sankeys TYO

ー B2F BASEMENT ー
Dubtil (Understand, Amphia / Romania)
RAHA (Beat In Me)
Taro (op.disc)

ー B1F TAPROOM ー
Mikio Kaminakamura (Untitled Records, INIT)
Shintaro.D (INIT)
Rio Kawamoto (INIT)
SAYA & NYAO (Polkadot)



ー 世界を席巻するルーマニアン・ダンスミュージックシーンの最前線 ー

世界のミニマルテクノ/ハウスシーンを席巻中のルーマニアンサウンドを紹介するパーティー “Beat In Me”。 シーンのトップである[a:rpia:r] (Rhadoo, Petre Inspirescu, Raresh) を始めとして、今現在最も重要なアーティストをピンポイントで的確に招聘するその妥協のない方向性がアンダーグラウンドシーンにおいて強く支持され、パーティーは音好きで良質な客層と共に毎回素晴らしいヴァイブスの溢れるフロアを体現している。スペシャル企画としてProduceした先日4/1の『RPR SOUNDSYSTEM with Dreamrec VJ @LIQUIDROOM』公演も大成功を収め、アンダーグラウンドシーンからますます厚い信頼を受ける事となった。

今回メインアクトに登場するのは、これが日本初来日となるDubtil。2015年2月にBeat In Meにも招聘されたあのBaracとのコンビでの “NoiDoi” 名義で彼を知る者も多いだろう。2013年にそのコンビでの活動を停止するまで、幾多の楽曲をリリースし、シーンでは広くその名を知られていた。その後、思わずとも常に比較の対象となったBaracが順調にリリースを重ねそのLive/DJプレイでも世界の確固たる評価を瞬く間に獲得していった一方で、彼に比べリリースやメディアへの露出は極端に少ないものの、あのRhadooをして「Dubtil is special.」と言わしめ、彼に聞く私たちBIMの招聘候補リストに常に一番手に名前が挙げられてきたのがこのDubtilであり、その初来日公演が今回遂に実現する。ルーマニアシーンのファンの人達には絶対に見逃して欲しくない貴重な回となる。

その世界観はアンダーグラウンドそのものと言っていい。リリースも、Metereze(Rareshのレーベル), Understand, Amphiaと厳選された選りすぐりのところからのみとなっている。これらの楽曲は全てdeepで黒いグルーブのものばかりで、そのリリース群の色と同様、彼のそのDJプレイも、決して媚びる事のないdarkな漆黒のグルーブを常にキープしている。陽のBaracに対し、陰のDubtil、といった表現がまさにピッタリと言えるであろう。

DJも年々重要なポジションでの起用が増えて来ており、先日5月にルーマニアの地で行われた、世界のミニマルシーンのトップフェスであるSUNWAVESにおいて、メインの金曜日の夜、"[a:rpia:r]の3人の前に一緒にプレイする名誉ある一人” に選出され素晴らしいプレイを見せたばかりで、今回は完璧なタイミングでの来日となった。

B2Fでは他に安定したプレイに定評のTaroとBeat In MeレジデントのRAHAが登場し、オープンからラストまでdeepで熱いフロアーを創り出す。

またB1Fでは、ベテランから若手まで多彩で魅力的なラインナップで朝までフロアーをロックする。メインのB2Fと共に一晩通して素晴らしいグルーブを創り上げてくれる事であろう。

"Beat In Me"、一人でも多くの人にそのグルーブを体験してもらいたい。世界のダンスミュージックの最前線を、この日リアルに体感して欲しい。



■Releases

・Dubtil - Indoieala [Amphia011]


・Dubtil - Odihnioara [Metereze01]


・Dubtil - Epilogue [Understand005]


・Vocalindas [BP Mind Series008]



■Mix

・XLR8r

(★incl. Interview - 貴重なロングInterviewが一緒に掲載されています。すごくいい内容の話しなので、英語しかないのですがかなり易しい英語ですのでお時間有る時に是非ご覧下さい)

・Nightclubber




Dubtil bio


近年では、ミックスとプロダクションのタイトなバランスを保てるアーティストは数少ない。そんな中Dubtilは、プロダクション同様に素晴らしいミックスを手掛ける。彼のトラックを聴いたことがある人ならば、それがどれほどのことなのか分かるだろう。彼は数年前にシーンに頭角を現したデュオNoi Doiの1人だが、現在はソロでの活動にフォーカスしている。


about Dubtil (article from XLR8R)s


Robert Istocはヒッソリと活動を続けてきた。4年前にバカウからブカレストへと拠点を移した彼は、その多くの時間を(DJしている時以外は)、ホームスタジオでの楽曲制作と、街のあちこちにある大きな公園での愛犬との散歩に費やしている。「考え事をするのが好き」だと、彼は静かに語る。「1人でいるのが好きなんだ。」

アーティストとしての彼もまた、同じように控えめな存在だ。Sunrise Booking Agencyのウェブサイトに掲載されている短いプロフィール以外、彼に関する詳しい情報を見つけることは不可能。過去にインタビューを行ったことはなく、ストリーミング可能な音源は2014年3月にnightclubberで公開されたミックス1つのみ。約8年間に及ぶ制作/DJキャリアがあるにも関わらず、未だにResident Advisorのアーティストページも存在しない(今は非常に簡素なものができた)。彼のプレイを見たければ、Facebookでツアー日程をチェックするか、運に賭けるしかない。5月のSunwaves Festivalや、6月にバルセロナで開催されたArpiarなど、私は何度か彼のプレイを聴く機会があったが、いずれも正に運良く聴けたのだった。どのギグでも、彼はRaresh、Rhadoo、Cezar、Petre Inspirescuといった名前が連なるラインナップにおけるハイライトとなった。

とは言うものの、近年ルーマニアで生まれているうねるグルーヴを追いかけている人であれば、Dubtilの名前を耳にしたことはあるだろう。あるいは、彼の曲をハッキリと聴いたことがあるかもしれない。彼のすばらしトラック“Isitor”は、Rareshミックスによる『Fabric 78』の中でも際立っていたほか、その他のルーマニアの重要DJたちもまた、Dubtilの未発表プロダクションをプレイしている。しかしこの活気のあるシーンの中でも、そうした主要アーティストたちの作品以外も掘り下げている真のフォロワーにとって、Dubtilの魅力はどんどん大きくなっている。彼のSunwavesでのセットは大盛況となり、プロダクション(どのリリースも枚数をかなり限定している)は彼が素晴らしいスタジオスキルを持ったアーティストであることを証明している。