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VISION / YUTA (LDG) Vol.3 - 「壮大なテクノギャザリング『SPECTACLE』が12月30日に開催」


 Clubberiaをご覧の皆さま、師走を駆け抜けていらっしゃいますでしょうか? いよいよ2021年もフィナーレですね!僕の連載企画もお陰様でVol.3になりました。今回のテーマは日本が世界に誇るアンダーグラウンドヒーロー・DJ Nobuさんとローンチした夢がたっぷり詰まったインドアギャザリング「SPECTACLE」についてです。なんと今回はインタビューをしてもらえました!昨年から今年にかけてインターナショナルアーティストが不在の中、個性を出しながらもアップデートする難しさについて語らせていただきました。Nobuさんからの貴重な思いの丈や、ロンドンの「NTS Radio」で公開していただけた我々のセットもありと、今回も読み応えある内容でお届けいたしますね!



――まず初めに、テクノギャザリング「SPECTACLE」のコンセプトについてお話を伺いたいと思います。

LDGは東京・大阪でクラブイベントをメインに粛々とやってきた中でふと思うことがあり、去年パンデミック下で開催したLDGとして関東では初となる野外フェスをきっかけに多くの支持を集めることになりました。LDGが大きくなった暁には「屋内型の大規模フェスティバルを開催したい」という強い思いが以前からあったので、目標に対して一歩踏み込んだ形となります。

実は初めて足を運んだビッグフェスが「WIRE」でして、当時の僕は19歳、あまりにも強烈な刺激でした。以降、大きなフェスティバルに憧れを抱くようになり、今があります。トランス時代は「渚音楽祭」で1ステージ主催、春風の制作サポート、自身でも毎年1000名規模を野外またはクラブで展開していたのですが、今回は念願叶いテクノギャザリングとして開催です!

これらを背景に、本パーティのタイトルは「壮大な・圧巻の劇場」という意味を込めて「SPECTACLE」と名付けました。名前に恥じぬ文字通りの催しになるようNobuさんと日々アイデアを出し合っています。とにかくやり甲斐に溢れていますね。


――なるほど。フライヤーからもその"壮大な世界観”が溢れていると思います。

このフライヤーは、「POWWOW」や「Future Terror」のデザインも手掛けてきたQotarooくんに作成してもらいました。"SPECTACLE"には古い言い回しで”めがね”という意味があるようで、NobuさんとLDGの企画ですし2つの大きな円をモチーフに。

年の瀬のイベントなので、「階段を上がり切った先には扉があり、その奥には2022年が待っている。そして壮大な劇場、宇宙感を表現してください」という内容でお伝えしました。彼の特徴でもある曲線が印象的な美しいデザインに仕上げていただきました。センスと細部までの拘りが随所に散りばめられ、新しい時代の幕開けを感じさせるサイケデリックなイメージになっていると思います。Qotaroo氏に感謝、最高に尽きます!



――ラインナップも、年の瀬に相応しい豪華なDJたちが名を連ねています。4つのフロアにあるそれぞれのテーマについて話を聞かせてください。

ラインナップはNobuさんと選定させていただきました。今回、僕らのブッキングテーマは「強い志しを持ちながら精力的に活動しているアーティスト」となります。華やかなラインナップの背景には緻密なコンセプトが存在しています。タイムテーブルにつきましては、フロアが4つもあるため全体のバランスや人流までを考慮しました。

メインステージであるARENAはSPECTACLEの象徴であり、フライヤーの世界観を表現します。まさに "UNIVERSE" な空間をコンセプトに、日本を代表するテクノレジェンドをブッキング致しました。ジャパニーズテクノを世界水準で発信するアーティストを日本最大級のサウンドシステムで体感できる最後の機会になるでしょう。

野外ステージのWATERは "EMOTIONAL" をコンセプトにしたハウスフロアです。見どころはなんと言ってもDJ NobuのHouse Setではないでしょうか、2019年のベルリンPanorama Bar以来、日本では2018年がラストとなり、レア度は極めて高いです!

続いて、House Setが決まった裏話を公開しますね(笑)僕の自宅でNobuさんとのんびり過ごしながらロングミーティングを行う事が度々ある中で、テクノの前にハマっていた過去の音楽遍歴に花が咲き、House Setはその中で閃いたアイデアなんです。僕らのアイデアは一緒に過ごし、一緒に遊ぶ中で見出す事が多いので、仕事の進め方として理想の一つであると言えます。さらにWATERでは制作にRDCのマサ氏を迎えておりまして、絶対的な信頼とその手腕で数々の伝説を創ってきたプロデューサーがプッシュする若手最注目アーティストCYKと、今年各所でその名を轟かせては多大なフィードバックを得て2021年MVPアーティストの呼び声が高い7eにオファーしました。

BOXステージでは "DEEP" がコンセプトでして、普段はテクノをプレイするDJ達にミッドテンポ(BPM120未満)をお願いしております。もはや説明不要で最も世界に推し出すべく一人であるDJ YAZIによる匠の技からなる高純度なディープミッドテンポ、言葉にできない期待感です。ブッキングにリリースと、パンデミック以降に目覚ましい飛躍を遂げたニュースクールテクノスターTasokoの真骨頂はダビーでサイケデリックなミッドテンポ、本人に交渉して録音したいくらい(笑)非常に楽しみです。若手のホープだった時を得て、新潟に拠点を戻しゆっくり且つ着々と熟成を丹念に重ねているSAKUMAのアップデートとロマンチシズムも見逃せないですね。そして関東から関西圏内にかけてトランスミュージックがミックスされた野外シーンで今年最多の出演、多方面からオファーが止まらない DJ MARIA.がLDGに還ってきます。

メインバーを有するISLANDは23時から8時まで、コンセプトは "ALTERNATIVE" 90'sリバイバルから新たな音楽とカルチャーとして再生するレイブシーンを筆頭にフレッシュでミクスチャーなテクノフロア、様々なフィールドで活躍している個性的なアーティストをブッキングしています。DJ Nobuが惚れ込んでいる凄腕DJのANiIIIiiiKii、Dommune宇川直宏氏から日独交流テクノ大使に任命されAgaitidaへの出演でも注目を浴びたElli Arakawa、グルーヴィーなプレイが定評あるダンスフロアのアイコンDani Savant、テクノパーティKonvektionを主催する傍らノイズ・ドローンにアンビエントのシーンでも精力的な活動を続けるYoshitaka Shirakura、LDGとEDENを共催したMasafumi Take、FLUXを主宰するネクストジェネレーションKaliが登壇。ダンスミュージックの多様性と可能性を体感いただきたい。




――タイムテーブルのほかに、こだわりのポイントはありますか?

まさに空間演出ですね。インターナショナルアーティストが招聘できない今、個性を出す上で僕らはここに大きなチカラを注いでいます。特にARENAのステージは巨大ですので、ポテンシャルを存分に発揮できそうでワクワクが止まらないです。

ARENAの空間演出は、装飾にMirrorbowlerでレーザーはYamachang、光らないMirrorbowlerという新たな試みにも要注目です!時間帯で光の演出を変えたいと考えていまして、真っ暗な時間もあればヨーロッパの大型フェスで見られる派手な一コマもあり、まさにSPECTACLEな一夜。大忘年会ですしね、オーディエンスの皆様も当然本気だと思いますし、「最初から最後までARENAから離れられなかった」これが本望ですね(笑)

BOXのサウンドデザインは、解像度の高いサウンドに定評のあるOtOdashiがTW Audioをインストール。VJはモノクロワールドのパイオニア100LDKに美しくも漆黒の演出をお願いしました。

また、ISLANDに空間デザイナー LOYALTY FLOWERSを招聘です。生花や植物、流木を中心に柔らかいながらもシックな異空間と多様性テクノのハーモニーを堪能ください。



――ageHaは1月30日をもって閉店されることが発表されました。多くのダンスミュージックファンにとって思い出深いクラブだと思いますが、印象的な思い出などありますか?

YUTAの活動遍歴を語る上でageHaは欠かせません。ageHaで初めてDJをさせてもらえたのは24歳でした。青春時代からとてもお世話になっていて、2000人規模のフェスティバルを何度か主催させていただきました。僕にとっては「サイケデリック遊園地」のような場所なんです(笑)ARENAのダンスフロアの真ん中にセンターブースを設置、360度オーディエンスに囲まれた特設ステージを作った事も。2016年には、前代未聞の昼と夜の17時間ぶっ通し公演を企画、完全にお祭り状態でトランス神輿と称して御神輿や法被(はっぴ)を特注で制作したりと、色々と喰らいました。ageHaで恋の思い出もあったかもしれませんね(笑)

あの巨大なオクタゴンスピーカーの轟音と重低音を体感できるのはageHaのみ、唯一無二です。ダンスフロアも踊りやすい設計になっております。最後の花道がSPECTACLEで僕は光栄です!テクノでまたARENAに立てるのが素直に嬉しいですし、ageHaを見送る気持ちで当日は現場入りする心意気ですよ!
Matsuri Digital presents - Timeless 2015 Photo by Jiroken
 
MATSURI TRIBE FESTIVAL 2016 Photo by Kotaroo , Jiroken
Dance On The Planet “Paradise” 2017 Photo by Chihiro Tanno
 
"WE ALL CONNECTED" 2021年 ARENAステージ  Photo by Chihiro Tanno 


――本当ですね!ageHaは何度行ってもワクワクします。

それに、ホスピタリティが厚い会場でもあるんです。ageHaは新木場にあるため、アクセスが良いとは言えません。そこで!渋谷から無料送迎バスを運行しておりますので、終電を逃しても渋谷にまで辿り着いて頂けましたらageHaに行けます!



――最後に一言!

押しては引く波のように先行きが見えないパンデミックが続いていますが、パーティカルチャーを絶やさぬよう今後も僕らは新たな提案を続けていく所存です。日本のクオリティやホスピタリティは世界的に見てもハイレベルでハイクオリティですので、あとは新しい文化や考え方に於ける多様性を受け入れて共存、または僕らがアップデートすることが重要と考えています。ラインナップやプロモーションなど、僕たちSPECTACLEは多角的に人々を魅了できるパーティ作りを心掛けています、次回の構想もすでにあるので今後の一手にもご期待くださいませ。フォロー&サポート、宜しくお願いします!

Nobuさんと僕YUTAのNTS Setも是非チェックお願いします、相当良い感じですので(笑)では、12/30にageHaでお待ちしておりますね!
 

<DJ Nobuへのインタビュー>

――NobuさんのageHaでの思い出をお聞かせいただけますか?


  今思えば懐かしい思い出なのですが、私がヨーロッパの主戦場のひとつにしている「Berghain」で初めてDJをお誘いされたMarcel Dettmann、そして「Sonar Festival」でB2BをしたBen Klock。私のDJ人生のターニングポイントになった2人と私を入れたシンプルなラインナップのアリーナを中心に人気ゲイパーティー「Homopatik」のMR Tiesや Masda、Ioriなどの国内DJをMIXしていき夢のある企画を作ろうと、当時Ageha に在籍していた高田こうすけ氏、RDCのMasa氏と3人で2015年に開催しました。

Photo by STRO!ROBO
 
Photo by STRO!ROBO
 
Photo by STRO!ROBO
 
自分がパーティーの振り幅を許容したのもこの時がキッカケかも。とても身になる経験でした。初めてのメガクラブでの企画は慣れず苦労もありましたが蓋を開けてみたら胸のすくような内容になり充実したものになりました。最後にPark floorでアンビエント作家のhakobune氏の気持ちのいい演奏が朝焼けに映え、遊びに来ていたNeel達とうっとり楽しんだ時間はフィナーレに向かうパーティーの最後の贅沢なご褒美の時間でした。今でも忘れられない一夜限りの夢を見ました。
 
Photo by STRO!ROBO
 
Photo by STRO!ROBO
 


 
――今回の「SPECTACLE」が立ち上がるまでのプロセス、Nobuさんから見える景色を教えてください。

2020年夏にYUTAと出会い、それまで自粛していたDJを再開するにあたり初めてお誘いされた勝浦・そして沖縄・千葉いすみ市で行われたLDGのパーティーに参加しました。

去年の彼の頑張りを見ていて、今年の初旬のある日にYutaからageHaがクローズするタイミングなので一緒にパーティやりたいと熱意のあるお誘いを受けて普段私が手をつけない大規模なパーティーですが承諾して共同開催する事になりました。今年も沢山のパーティーを経て最後に辿り着いたageHaで来年も良いスタートがきれるようにナイスパーティーを皆さんと作り上げれたら幸せです。