INTERVIEWS

DJ GOMI

以前は1ヵ月に1回くらいは日本でのイベントのために来ていたんですが、今は年に2~3回くらいですね。頻繁に来ていたときは「お前、日本に住んでいるんじゃないの?」って言われてました(笑)。 最初アメリカへ来たきっかけは、ニューヨークから飛行機で1時間ほど北にあるボストンという都市があるんですけど、そこのバークリー音楽院に奨学金をいただいて入学できることになって、渡米したことですね。その頃から“卒業後はニューヨークに住みたい”と思っていて、大学に通学しつつも、週末はニューヨークへ行くという生活だったんです。で、卒業後、幸運なことに永住権を得ることができまして、ニューヨークへ移り住みました。もともとニューヨークから生まれる音楽やアーティストが大好きでしたし、やはり目指している音楽がここニューヨークにはあります。それとここで制作したものは世界に発信できる点が大きいですね。 よかった点は音楽制作に対する考え方を広げてくれたこと。彼は音楽の勉強はしていないんだけど、クラブでの効果的な音の使い方やアレンジをよく知っている、いわばDJとしての耳を持った人でした。そういう点は僕には不足していたから、ためになりましたよ。
一緒に仕事をしていた時期は毎週プレイしているクラブで完成前の作品を試しにかけてみるのですが、それを聴いたお客さんの反応を見て、僕がスタジオで手直しする、なんてことを頻繁に行っていました。  
ひと晩のうちに最初のほうの時間にクラブでかけてテストしてから、スタジオに戻って修正して、それをまたクラブへ持ち帰ってプレイするなんてこともありましたよ。 最近手がけた作品は以下のとおりです。

Carl Bean
"Born This Way -Gomi's Remix-" (West End Records Limited Promo)
ダンスクラシックスでラリー・レヴァンも当時ヘビープレイしていた曲のリミックスです。

Chaka Khan
"I Believe -Tracy & Gomi Remix-"
チャカ・カーンのニューアルバムからの新曲です。オリジナルは彼女とピアノ、パーカッションだけというシンプルな構成で、ダンスリミックスにするのが難しかったのですが、知恵をしぼってやりました。このレコード会社の社長さんはビヨンセのお父さん。他にもアース・ウインド&ファイヤーと契約したそうです。

DJ Skribble
"Don't Stop" for his up coming album "Spring Break 2005" (Perfecto Records)
ニューヨークの昔からのクラブ仲間であるDJ Skribbleがコンピレーションアルバムを作るということで、そのコンピ用に新曲を共作しました。

Ru Paul
"Work Out -Gomi's Lair Remix-"
この曲はル・ポールのニューアルバムからの2枚目のシングルです。1曲目のほうもリミックスさせてもらい、おかげさまでチャートも上位までいきましたよ。

Tony Moran with Deborah Cooper
"Live You All Over -Gomi & Escape Remix-" (Tommy Boy)
デボラはニューヨークのダンス業界では有名なシンガーで、かつて歌った名曲が多数ある人です。トニー・モランという、やはりベテランDJ/プロデューサーの新曲ですが、それをリミックスしました。

Love Storm featuring Lisa Fischer
"Come Closer" (Vibal)
友人、DJ/プロデューサーであるTedd Petersonとぜひ何か作ろう! ということで以前、僕がスタートさせたボーカル素材があったので、それを元に曲を作りました。ボーカルのリサはかつてソロアーティストとしてもアルバムを出した実力派シンガーで、現在はティナ・ターナーやローリング・ストーンズのツアーでバッキングボーカルをやっている親友です。5月にはこちら(ニューヨーク)で発売されて、その後著名な人たちのリミックスが発売される予定です。

DJの方では、毎週土曜日ニューヨークのXLという場所でレギュラーとしてプレイしているほか、アメリカ国内の都市や海外でもプレイする機会が多くなりましたよ。 新しいテクノロジーや便利なものはどんどん使っていったらいいじゃないですか。そうやって今までの音楽も発展してきたわけですし、僕も今後積極的に使っていきたいと思います。それで独自のスタイルを生み出せたら素晴らしいですよね。最近凝っているのが市販されていないフリーシェアのソフトウェアで音を加工するプログラムがあるんだけど、それで音を作ること。大学時代に習っていたものが、今のコンピュータのスピードやOSの変化にともなって、とても使いやすくなっているんですよね。これを熟知して、創作の範囲を広げてダンスミュージックにも多用していきたいと思ってます。 リミックスの場合はオリジナルの素材があるので、歌モノだったら歌詞の内容を聞いてどういう方向性でいったらいいかを決めていきます。どういうお客さんが聴くのか、どんなDJやクラブがかけてくれるのか、といったことも考えます。それでテンポやスタイルなどを決めていきます。何が最初ということではなく、思いついた所からやっていきます。アイデアは道を歩いていたり、運動をしてたら出ることもあるし、スタジオ以外で浮かぶこともあるから、忘れないように外出先から自宅の留守電にメッセージを残しておくこともありますね。 ニューヨークの新進気鋭レーベル「Tweek'd Records」が注目です。若手のクリエーターたちの作品はどれもクオリティーが高くて、クラブばえする曲ばかり。僕の作品も発売予定がありますよ。 “トライバル・ハウス”というパーカッションを多用したスタイルのハウスが人気です。パーカッションが入ることで音楽も有機的になるし、グルーブ感も強くなりますよね。僕が今一番ハマっている音です。 よく外国から来るDJは日本のお客さんのために日本人の好みに合わせた“営業”をするのですが、僕は今ニューヨークで実際にプレイしている音をそのまま伝えたいと思っています。最新作もたくさんプレイしますよ。 僕が毎週土曜日プレイしている「XL」は今ニューヨークで一番のトレンディースポットであるミートマーケットのすぐそばにあって、毎週土曜日は大入り満員大盛況です。この場所は、クラブと違ってダンスフロアがなく、音楽もそんなに大きく鳴っていません。会話を楽しみたければ話をして、踊りたくなったら体を動かすというように、来たお客さんの楽しみ方がそれぞれ選べる場所なんです。たまにドラァグクイーンの人たちが突然乱入して、パフォーマンスを始めてしまったり、盛り上がったバーテンダーがショーをし始めちゃったりとお客さんとの距離が近くて、とても来ている人がみんなフレンドリーなんです。新しい夜遊びの空間だと思いますよ。ニューヨークに来られた時はぜひ遊びにいらしてください。
先週はナオミ・キャンベルも来てくれましたよ。帰り際わざわざDJブースまであいさつに来てくれました。噂では高ビーな人だって聞いていたけど、会ってみると実際はとても腰の低くていい人でしたよ。 今後のDJスケジュール
4/30(土)The Ring @ Warehouse(東京麻布十番)
5/1(日)CircuitAsia @ World Trade Center(Manila, Philippines)
5/4(水)International DJ tour GOMI @ Club Spin(Seoul, Korea)
5/8(日)BED @ SUPPERCLUB(Bangkok, Thailand)
5/10(火) @ SANTIKA(Bangkok, Thailand)
6/24(金) @ HYDRATE(CHICAGO, U.S.A.)