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THE Penelope[s]

AXEL:the Penelope[s]は僕とVincent Tremelのふたりでやっているユニットだ。Vincentとは子供の頃からの知り合いだった。お互いどんな音楽が好きでどんな本を読んでとか、たいがいのことは知っているような仲良しだったんだ。だから自然とふたりでツルむようになって、一緒にバンド活動をするようになった。本格的に音楽1本でやっていこう、っていうことにしたには20歳のときかな。当時はふたりとも学生だったんだけど、そのまま普通に就職するのはイヤだって互いに漠然と思ってたから。それで、Penelope[s]として本格的に活動をはじめたのさ。最初は逃げ道だったってワケ。 AXEL:元々は最初は単なるジョークだったんだ。Penelopeっていうのはギリシャ神話に出てくるオデュッセウスという王の妻の名前で、この名前を聞いただけだったら、オーディエンスは綺麗な女性のアーティストが出てくるんじゃないかとか、普通は想像すると思うんだけど、実際はステージに現れて(こんなヤツらで)ゴメン、みたいな。ま、響きもセンシティヴだし、そういう意味では僕たちがやっている音楽をひと言で言い表しているとも思うし、よかったんじゃないかな。 AXEL:まずいちばん最初はパリの小さなインディ・レーベルでほとんど自主制作みたいな感じで1枚EPを作ったんだ。そのレーベル・オーナーが僕らの可能性を高く評価してくれて、ジゴロの元にデモを送ったんだ。それがキッカケで、ジゴロでシングルをリリースすることができた。そのままジゴロからアルバム、っていう流れもなくはなかったんだけど、僕らとしてはエレクトロクラシュ的なところにドップリ、というスタイルでもなかったから、どこか他に、もう少し僕らのスタイルに合うようなレーベルがいいんじゃないかと思って、新しいレーベルを探していた。ちょうどヴィタリックもジゴロからリリースしていて、ヘルと共演したり同じフェスに出ていたりして、そこでヴィタリックとつながりができて、シチズンに辿り着いたというわけだった。 VINCENT:ロック、クラブ系の両方だと思うよ。実際、クラブでオールナイトのイベントにブッキングされることもあれば野外のロック・フェスティバルに呼ばれて演奏することもある。ソニック・ユースと一緒にやったこともあったよ。ロックのイベントに出るときはクラブ・ミュージック的な部分を強調して、クラブではロッキンな感じをアピールして、両方に訴求できるという自分たちの強みを最大限活かしながらやってるつもりだ。 VINCENT:アーケード・ファイアはこの10年で1番のバンドだと思う。本当に大好きで、影響も受けた。そんなバンドのカバーを、今やることが大事だと思ったんだ。クラシックスになっているような昔の曲のカバーではなく、現在進行形のアーティストを、今カバーするっていう。これはそんなに簡単にできることじゃないというか、ある意味チャレンジだよね。昔グレイス・ジョーンズがジョイ・ディヴィジョンの「She’s Lost Control」をカバーしていたことがあったと思うんだけど、感覚的にはあんな感じかなぁ。

AXEL:ディーヴォは僕らの中でのベスト・パンク・アクト。シンプルに聞こえる曲でも複雑な構成をもっていたり、クレバーでありながら同時にバカっぽかったり、あらゆる面がリスペクトできる。 AXEL:元々知り合いではあったけど、仲良くなったのはここ最近のことだった。実は使っているスタジオが同じだったりして、帰り道が一緒になることがあって、何度か話をするうちに仲良くなっていったんだ。

VINCENT:で、僕は何故か今ではブラックストロボのツアーに同行してエンジニアとしてサウンドのケアをするような仲になってしまったんだ。 AXEL:ラフなデモは8割ほど出来上がってるんだ。6月からレコーディングを開始して、8月にはミックスを仕上げてしまいたいと思ってる。サウンド的には、やはりブラックストロボのプロデュースということで、彼(アルノー)の影響は如実に反映されることになると思う。ソウルワックスだったりラプチャーだったり、ああいう方向性も出てくると思うんだ。そんな中に、僕らのルーツでおあるキュアーだったりジョイ・ディヴィジョンだったりみたいなフィーリングをうまく融合して表現できたらいいと思ってる。ファースト・アルバムよりラフでライヴ感があって、そしてホワイトファンクみたいなグルーヴを出したいな。
AXEL:香港での反応はとてもクレイジーだった。実は5か月前にもライヴをやったばかりだったんだけど、今回は、前回にも増して素晴らしいリアクションだったんだ。ヨーロッパや日本と比べるとシーン自体はまだまだ発展途上だと思うし、マーケットに入ってくる海外の音楽の種類も限られているとは思う。でも逆に、だからこそ僕らがやっているようなサウンドを、新鮮味を持って受け入れてくれているんじゃないかとも、思うよ。 AXEL & VINCENT:このリリースを日本で実現できたことを誇りに思うよ。準備にもとても時間をかけて、自分たちで聞いても本当にエキサイティングなものに仕上がったと思うし、ファンのみんなもきっとそう思ってくれるだろうと、確信しているよ。今度はもっと多くのファンの前でライヴしたいなぁ。