INTERVIEWS

Liquid Liquid

実は約10年前の1997年にもMo'Wax(アメリカではビースティー・ボーイズが運営していたGrand Royal)から一度再発盤がリリースされたことがあったんだが、そのときは全くライブをやらなかった。でも、2003年にひょんなことからニューヨークでライブをやったことがあった。あるクラブから突然、「今はどうしているか存じませんが、機会があればいつでもうちの店でやって下さい」という連絡が来たんだ。メンバーとはちょくちょく会っていたので、面白そうだということで1回だけライブをやってみた。そしたら、他からもオファーが殺到した。結局6カ所でやり、そしてまた活動を休止していたんだ。でも、昨年の再発盤が出たときに同じことが起こり、オファーをたくさんもらったので、ロンドンのBarbicanというところで一度ライブをやった。それが終わったときに、レーベルの担当者が
「次はどこでやりたいですか?」と聞いて来たので、「日本かな」と答えた。そしたら実現したというわけだ。 確かに不思議な気分ではあるね。でも、他のメンバーはずっと演奏したり、DJしたり、プロデュースしたりと音楽活動を続けていたからそんなことはない。僕だけだ(笑)。でも、実際のところ、バンドとしては今までで一番調子がいい状態だと思う。レコードよりもライブはずっとパワフルなものになるよ。
ベースは常に近くに置いてあって、気が向いたときに弾いていた。他のバンドからベース・プレイヤーとして参加しないか何度も誘われたんだが、それはあまり気が進まなかった。僕にとってリキッド・リキッドはとてもパーソナルなもので、他のバンドに参加することは想像できないんだ。僕は常にリキッド・リキッドは「僕のバンド」という意識があって、もちろん他のメンバーと一緒に曲は書くけれど、僕が音楽ディレクター的な立場で、グラフィックのデザインも手がけているからね。それだけ思い入れも強い。僕たちは他のどんなバンドとも違う音楽をやっているという自負もあるしね(笑)。 ああ。共に音楽活動をしていなかった間も、リキッド・リキッドに関する連絡事項が色々あったからね。僕たちの音楽を使いたいという連絡がしょっちゅう来ていた。それに元々彼らとはいい友達だから。 いや、2003年にライブをやる以前に、最後にやったのは多分1984年とかだから、その間は解散していたんだよ。僕たちも終わったものだと思っていた。でも音楽というのは不思議なもので、それ自体が命を持つんだ。何度も目の前に現れて来る。僕たちは一度目の再発にも驚いたけれど、10年後にまた再発されるなんて本当に不思議なことだ。しかも、その間に無数のブートレグも出ている。オリジナルのレコードは本当にレアだったからね。 新しいライブでは、新しいものに挑戦してみているよ。デモを作ってみようかという話も出ているけど、まだ分からないな。僕たちはDFAの人たちと仲がいいんだが、実は2003年に彼らとこれまで録音していなかった(リキッド・リキッド既存の)曲を録音したことがあった。でも、結局リリースには至らなかったんだ。リリースに値するほど強力な曲ではないと思ったから。唯一「Bellhead」という曲だけ、スタジオ録音バージョンとしてDFAのコンピレーションに提供した。でも、最近はEPにまとめて出してもいいかな、と思える曲が数曲あるから、出すこともあるかもしれないよ。少なくともライブでは演奏するから、楽しみにしていて。
ああ、それは間違いない。僕たちが活動を始めた頃、自分たちの音楽を「ボディ・ミュージック」と呼んでいた。「パンク・ファンク」と呼ばれたこともあったね。パンクのようなアグレッシヴさと、ファンクのようなグルーヴがあるという意味だ。でも、僕たちのやっていることはパンクでもなかったし、ファンクでもなかった。他に呼びようがなかったから「ボディ・ミュージック」と呼んでいたんだよ(笑)。確かに身体的な音楽ではあったが、典型的なダンス・ミュージックとも異なっていた。
結成したばかりのときは、より即興性の高いバンドだった。もともとはスコットと僕が始めて、そこにサル(サルヴァトーレ)が加入したんだ。曲をやる中でやはり一番重視していたのはグルーヴだね。何かしらのグルーヴが感じられるか否かを最初の基準にしていた。私たちの作っていた音楽はとてもプリミティヴな音楽だけれど、かといって僕らがアフリカ音楽を聴いてその真似をしようとしたわけじゃない。レゲエ、ファンク、初期のヒップホップなど、実に様々な音楽を聴いていたんだ。でも、僕たちは何よりも自分たちだけの音楽を作りたかった。誰にも似ていない音楽、それを目指していたね。 そうだな、僕たちが止めてしまってからも、これだけリキッド・リキッドの曲がプレイされてきたことが、自然と僕たちを再結成に導いた。僕もまた演奏すること、音楽を作ることをとても楽しめているから、このまま自然の流れに任せてみようと思っているよ。僕は、多くのバンドの再結成は好きじゃない。間違った理由が元になっていることがほとんどだから。でも、僕たちは2度の再発というチャンスを与えてもらえたから、また10年後にそういう機会があるかもしれないからね(笑)。とにかく今は、とてもリラックスした状態で自然に音楽活動が出来ているから、このまま様子を見てみたいと思っている。ゆっくりと、焦らずにね。