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RUSS GABRIEL

Mobileeからのリリースは本当に驚きだったよ。Mobileeから出している他のアーティストと僕のサウンドは全く違うものだし。だから彼らにEPを頼まれることなんて全く予測してなかったけれど、実際に掛け合ってくれたときはうれしかったよ。MobileeからはDan Curtinもリリースしていて、二人の年配テクノガイが所属していることになるね。(笑) Feroxはもともと純粋なテクノレーベルとしてスタートしたけれど、年を重ねるにつれて確かに段々とジャズ色が強くなってるね。僕は、レーベルは極端に特別なことをするんじゃなくて、良質な音楽をリリースすることで評価を得ていくべきだと強く信じているんだよ。配給会社がすべてリリースされる音が似通っているレーベルを求めているように思える中それはなかなか難しいことだけれど。

レーベルを経営していく上で過去にこだわったり、頑固に自分の信念を保つことは間違っていると僕は思う。Feroxはエレクトロニックミュージックのレーベルだけれど、僕は何かひとつのサウンドに凝り固まるようにはしたくないんだ。音楽は動物みたいなもので、あるジャンルが他のジャンルを取り込むことによって発展するんだ。僕はこういったことを肝に銘じて活動しているよ。 僕は長い間レコーディングを続けてきたから、親しい間柄の人は何人もいるよ。RT-TransmissionsのThalとは特に仲がよくて、音楽やDJについて互いにアドバイスしたり、一緒にプレイしたりもするんだ。Move Dは僕のところから一時間くらいのところにすんでいて、もう結構長い付き合いだよ。彼とは近いうちにプロジェクトを立ち上げようと思ってる。バルセロナ出身でともにDoideとして活動しているTony Bluntとも親しくしているよ。今年は難しそうだけれど、去年バルセロナで彼と少しの間一緒に過ごしていたんだ。Tonyと僕は音楽について互いに理解しあえることがいっぱいあって、いい友人だね。 実は今RT-TransmissionsもFeroxも活動が停滞気味なんだ(笑)Thalと僕はDJや制作、リミックスの仕事で忙しくて他のことに手がまわってない状態だよ。2009年までにはスタッフを増やそうと思ってる。その後はいい活動ができると思っているよ。期待していてもらえたら嬉しいよ。 過去20年間僕は様々なアーティスト名義を使ってきたけれど、今は常に本名でリリースをしたいと思っているよ。もし誰かと一緒に仕事をすることがあれば、RT-transmissionsやDoideのように別の名義を使うけどね。最近は昔ほどあんまり深く考えてはいないかな(笑) 前回東京に訪れ、一週間をすごしたことは本当にすばらしい経験だったよ。初めて地震を経験したんだけど、この先もうそんなことはないんじゃないかな(笑)日本人にとっては普通みたいだけど、イギリス人の僕にとってはとんでもなくファンタスティックな体験だったよ。東京でのプレイもとても楽しめたし、オーディエンスの新しい音に対する反応もオープンでよかったよ。僕のスタイルは僕のレーベルと似ていて、いろいろなジャンルのエレクトロニックミュージックをかけるんだ。日本のクラウドはそういった音にとても親しんでくれて、ギグをしているときはクラウドに引っ張られながら行うことができたかなと思う。 えーと、まず日本は本当に楽しめるところだったよ。これは冗談抜きに他のアーティストもそうだと思う。他にはバルセロナでプレイするのが大好きだね。バルセロナにはMacarenaっていう50人くらいしか収容できない小さなクラブがあるんだけど、そこの雰囲気がもうすばらしくって、夜が明けるころにはお客さん同士がみんな仲良くなってしまうようなところなんだ。スペインにいく時はそんな感じで楽しく過ごしているね(笑) ここ10年で色々なものが変化したよね。もちろんデジタル市場はその代表的な例で、レコードショップとそのコミュニティを育んできたヴァイナル文化を衰退させてしまった。大きな都市にでも住んでいなければ、いいレコードショップにも通えないような状況だよね。それはとても悲しい。だけれど、デジタル市場にもポジティブな側面があって、以前よりもすばやく音楽をリリースできるようになったのはいいことだと思う。完成したトラックが7~8ヶ月もたって日の目を浴びるなんて嫌だよね。デジタル化によって即時にリリースできるようなったし、音楽はより新鮮なものになったと思うね。 他に大きな変化といえば、音楽のジャンルが細分化したこと。ハウス、テクノ、ドラムンベースからスタートしたものがどんどんジャンル分けされていって、もう数え切れないくらいだ。それで市場は混沌としているね。さっきも言ったけど何かに凝り固まらずに良いものを良い、と判断して続けていくのが、何よりエキサイティングだし楽しいと思う。今回のギグではそういう音楽を体感してほしいね。 東京にいる間、いろいろなことを学ぶのを楽しみにしてる。僕は語学が好きなんだけど、日本語の構造はヨーロッパのそれとは全く違うものだから、まさに挑戦だね。滞在中に僕の日本語の先生になってくれるような人がいてくれたらうれしいよ(笑)最後に今回の旅で、ギグで、素晴らしいクラウドに出会う事を楽しみにしてるよ。moduleで会いましょう。