INTERVIEWS

Air Bureau

Niklas Ehrlin (以下N): 最初は、10年くらい前かな、3人でハードテクノのユニット「Headroom」いうのを作って音楽活動を始めたんだ。 当時、スウェーデンではハードテクノがハヤっていてね。最初のEPは97年にストックホルムの「Loop Records」ってレーベルからリリースしたよ。

Henrik Larsson(以下H): そう、でもスウェーデンのダンスミュージックシーンは当時もそんなに大きくなくて、プロデューサーもDJも少ししかいなかったんだ。だから僕らは、意外というか幸運というか、始めた当時から母国ではすぐにけっこう有名になったんだよ。そのおかげで、今では「old skool」だなんて言われることもあるけどね。

N: 99年から2001年くらいまではヨーロッパとアメリカの各地でプレイしたんだけど、この間にさまざまななダンスミュージック、特にハウスのレコードを良く買って聴いてたんだ。

H: それでちょっとしたジレンマに落ちちゃってね。というのは、仕事としてやってるのはテクノだけど、レコードショップで買ったり、友達の家でプライベートパーティーするときにプレイしたりしてたのは、常にハウスミュージックだったからね。

N: その頃から、ダンスミュージックシーンではプログレッシブハウスがハヤり出していて、自分たちももっとソフトな感じの音楽を作りたいという気持ちで、 2001年にAIR BUREAU名義で初のシングルとなる「Don’t Expect Me (To Forget You)」をリリースしたんだ。これがハウスへの大きな転機だね。実はこれには、ちょっとした裏話があってね、友達がオーガナイズしていたレイブで遊びでライブセットをプレイしていたんだ。そしたら、その友達が」セットが終わった時に「あのヴォーカルの効いたかっこいい曲はなに?!」と聞いてきて、結局、彼らのネットワークを通してシングルをリリースすることになったんだ。それで、このリリースが注目されて、Universal Music Groupのレーベル「Stockholm Records」とのアルバムリリース契約を結んだんだよ。でも、それは2年半前の話で、いまだにアルバムはリリースされていない。というのも、レーベルもUniversalもすごく商業的で、ビジネスやマネーの心配ばかりしていて、僕らとは肌が合わなかったからなんだ。だから、いまは自分たちだけでアルバムに取り掛かっていて、できれば今秋くらいにはリリースしたいと思っているよ。 H: 正直いうとスウェーデンのシーンって、けっこう変なんだよね。プロデューサーはすごいたくさんいるのに、DJはあまりいなかったりね。だから、クラブシーンはそんなに大きくないし、発展も遅い。DJの数が少ないから、僕らがクラブに行ってもそこのDJと会って意見や音楽に関連した情報の交換があまりできないんだ。ネットワーキングがまだあまりできないんだよ。アンダーグラウンドのレベルでは多少あるけど、まだ全然高いレベルには届いていないかんじ。クラブ情報誌とかもないしね。

N: でも、まぁ、徐々に成長し始めているよ。スウェーデンってとにかく地形的に細長いのが問題なんだよね。大都市間はかなり距離が離れてるから、各都市でまったくシーンも違うし。たとえば、首都ストックホルムでは、イギリスの大型クラブとかで人気のハードなパワーハウスが主流で、それに対してデンマークのコペンハーゲンに近い南部、僕らの出身地であるマルメや西海岸のイエテボリでは、もっとソウル、ファンクが効いたニューヨークっぽいハウスが主流なんだ。そして、お互いに影響し合うってことはあまりないんだ。 N: 元々スウェーデンはイギリスやデンマークに強い影響を受けていたから、90年代には野外レイブがさかんに行われていて、そこからダンスミュージックシーンが大きくなろうとしてたんだ。ところが、違法レイブでのドラッグ蔓延を懸念した警察が、「レイブ阻止特別部隊」とでもいうべき、「レイブコミッション」って組織をストックホルムで作って、どんな場所でも、どんな状況でも、とにかくダンスミュージックがかかっていれば、それがクラブでもバーでもおかまないなしにそのパーティーを中止しだしたんだよ。そのせいでスウェーデンのシーンはちょっと停滞しちゃったんだよね。

H: しかも、そのせいでダンスミュージックをドラッグと簡単につなげて考える人や「ダンスミュージックなんてどれも一緒」と思う人が多くなってしまった。多くの人がテクノとハウスの違いがわからないんだよ。

N: 最近になってようやくハウスを味わう新世代の人が増えてきた感じだね。90年代にレイブに没頭していた人たちの中で、もうハードな音には飽きたという少数人と最近のラジオ局や質のイイDJとイベントの影響により、しっかりとしたハウスミュージックのよさを理解する人たちが増えてきたよ。これは去年僕らが夏に行なったパーティーでも実感したね。去年はスウェーデンダンスミュージックシーンが大きく成長した年と言えるかもね。 N: とにかく何から何まですごいと思ったよ!

H: それもそのはずだよね。日本は僕らが初めて訪れたアジアの国だし。でも、意外にも日本人とスウェーデン人って似てるところが多いなってことも感じたよ。どちらも、同じように周りの人との社会的なつながりを重視する部分があるんだよね。

N: そうだね。たとえば、僕らがドイツやスペインに行くと「自分は違うな」と感じる部分が多いけど、日本ではそんなことはまったくない。日本に来るほうが気楽に来れるくらいだよ。お互いに同じような道徳とか人への思いやり、もてなしの心を持っていると思うんだよね。

H: 前回プレイした時は本当にうれしかったよ。みんな手前まで来て、僕らがやることをしっかり観てくれるし、有名なトラックとかをかけた時は拍手してくれるし。こんなことってヨーロッパのどこに行ってもないことなんだよね。

N: あと、すべてがきっちりと準備されていることには本当に驚いたよ。

H: そうそう、表参道のThe Orbientだったんだけど、プレイする前にクラブのオーナーからスタッフまで紹介され、サウンドエンジニアとしっかりとサウンドチェックをさせてもらったし。

N: 本当にわれわれDJやアーティストへのリスペクトを感じたね。

H: これは来るお客さんに対するリスペクトの表れでもあると思うね。お客さんがしっかりと満足してくれるように最善を尽くすってことだよね。

N: 東京は本当にすばらしい街だよ。大都会と小さな街が持ついいところを両方持っているから。アメリカでは大都会ばかりでプレイしたんだけど、それはそれで楽しかったんだけど、やっぱりアメリカの都会を夜1人で歩くのはちょっと怖かったよ。東京は全然そんなのないよね。大きい街だけど、けっこう人はやさしいし、すばらしいよ。 N: とにかく今回も「ライブ」にこだわった音にしたいんだ。

H: そのライブの中には僕らのスタイルを全面的に出すつもり。僕らのスタイルというのは、簡単に言うとBasement JaxxやN.E.R.D.にChemical Brothersを融合させたような感じかな? シカゴハウスの特徴であるhard jackin’beatsだよ!

N: Headroom時代にシカゴにはけっこう長く滞在したことがあるから、その時経験したシカゴハウスの特徴である「生」の感じのドラム、ベース、ダーティーな感じに強く影響されたんだ。僕らのリスペクトするヒーローの1人はあの伝説的ファンクアーティスト、ジョージ・クリントンだからね。とにかく、どれだけライブ的な面を出せるかが今回の挑戦でもあるんだ。でも、同時に僕らはバンドではないので、しっかりとDJ的な面も出さなければいけないとも思っている。DJ、プロデューサー、そしてライブの3つのバランスをしっかり取れるようなプレイを心がけるつもり。ハウスミュージックでありながら、ライブの音を盛り込んだ音。ほら、DJって基本的にはあくまでも他人のレコードを流すことでしょ? でも、僕らはそれに加えて、コンピュータなども使って、ライブでその場で作る自分たち自身の音で、クラウドとの一体感を作ろうとしているんだ。それによって単なる「僕らがやっているショー」ではなく、「観客と一緒に作るショー」にしたいと思ってるんだよね。 H: 僕らのサウンドは、ジョージ・クリントンの言葉を借りるなら「Your ass will follow」(音を聞けば、おのずとケツも動いてしまうってこと)! ぜひ、一度体験しに来てください!!


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