INTERVIEWS

Richie Hawtin

そうなんだ。10日間日本に滞在する予定なんだけど、Magdaと3カ所ツアーするのと同時に、両親にも日本を案内して回りたいと思ってるよ。僕たちがいつもツアーするときにしていること、いろいろ食べ歩いたり楽しいことを両親にも味わってもらいたいね。 そうさ。今回は弟も一緒だしね。僕がいつも日本のことを家族に話してるから、彼らはいつも日本に来たいと言っているし、実際僕が言ってることを目で見て体験したいと思ってるんだ。だからみんな今回の来日を、すごく楽しみにしてるよ。 東京、大阪と名古屋さ。そしてクリスマスは京都で過ごす予定なんだ。京都は僕の大好きなところだよ。あまり寒すぎなければいいんだけど‥ そう、初めてだね。まずサラウンドサウンド(※1:surround sound)を実現させたかったってことが大きい。それに前回のDE9とは異なった作品にするっていうのが僕にとっては重要だった。だから、サラウンドサウンドっていうのがDVD にした最初のポイントだね。僕自身がCDを買うとき、たまにがっかりするんだ。だってCDは60分、長くても70分が限度でしょ?でもDVDだともっと長く収録できるよね。今回「DE9」は96分のミックスなんだけど、実際のDJミックスと少しは近づくことが可能になったね。それに、いつもCDリリースだけっていうんじゃなくて、DVDに何か新しい可能性を見いだすことが出来たらいいなと思ってね。見る人にとっても新鮮だし、それは僕にとっても新鮮なことだよ。 そのとおりさ。普通のミックスCDを買ったとき、CDケースの裏にトラックリストがあるから、誰の曲をミックスしてるのかっていうのが分かると思うんだけど、僕のミックスの場合は、例えば聞いた人それぞれに好みのミックスパートがあると思うんだけど、それが誰の曲か判断することは、普通の人にとってほとんど不可能に近いと思うんだ。まあ分からないまま残しておくっていうのも、ミステリアスでいいかもしれないんだけど、僕自身、どこがどうなってミックスがつながっているのか、その過程っていうものを、みんなに見てもらいたかった。そうすることによって、誰が元々のプロデューサーか分かるし、アーティストについての知識も自然と頭に入るだろうしね。エンターテイメントとしてだけじゃなくて、情報を得るという面でもプラスだと思う。 現在、日本語の字幕版の制作が終了したところで、12月末か来年の頭には発売される予定だよ。インタビューやボーナスビデオ部分に字幕が入っているものだね。実は、制作当初から日本語の特別バージョンを作ることを計画していたんだけど、レーベル側と少し誤解があってね。ちょっと遅くなってしまったんだけど、日本のみんなに内容を理解して楽しんでもらうことは、僕にとってすごく重要なことだから、日本語字幕バージョンは絶対に必要なんだ。日本はツアー先として大のお気に入りの場所だし、みんなのサポートにはホントに感謝しているよ。 それは考えてないね。ヨーロッパの国での言語バリアは、日本や中国ほど大きくないんだ。だから日本語のバージョンを出すのはとっても重要なことで、いつか中国語も必要かもしれないけれど、今のところは需要が少ないから考えていないね。 今のところはないけれど、将来的にはあるかもしれないね。僕はいつも新らしい開発やテクノロジーを視野に入れているよ。それらがもっと人々に浸透してきた時点で、何か特別なバージョンのもの発表するかもしれないね。全ての新しいテクノロジーは、人々の目に見て分かるものばかりじゃないけれど、僕の音楽活動にとっては新しいやり方を示してくれるんだ。もっと長く収録できたり、質が良かったり、またはそれ以外の特別なテクノロジーだったりね。新しいHDや Blu-Rayはインターネットとの相性がいいことは分かっているから、それらを取り入れる時がきっと来ると思う。ただそれがいつなのかまだ分からない。どのプロジェクトをどの時期にやるかっていうタイミングが重要だからね。 そういうことは、普段あんまり考えないんだけどね。ただ、今自分がやっていること継続して、新しいアイデアや可能性に発展させることを、考えてるのさ。将来的には、映画やサウンドトラック制作に興味があるのと同時に、テクノロジーがいかに発展していくのか、そしてどのように人々に影響していくのかっていうことにも興味がある。僕の職業はDJでありミュージシャン。クラブでパフォーマンスしながら、人々とともに音楽の旅そして経験を造り出しているんだ。ビデオやアニメーション・サウンドテクノロジーもそれに似ていると思う。人々が持っているアイデアや可能性は無限大でもっともっとリアルになり得ると思う。もし3次元のバーチャルワールドを創造するとしたら、「サウンド」と「イメージ」そして「現実」のコンビネーションだね。人々の経験を造り出すようなアイデアをこれからも生み出していきたいし、それはただ単に音楽をプレイすることではなくて、「経験を造り出すこと」なんだ。 そうできたらいいね。 一番近い木を探して、木の枝を折って、自分の着てる服の布を裂いて、魚を穫る網を作って、何か食べものを見つけにフィッシングに出かけるね(笑)。時々、テクノロジーもなんにもない孤島へ消え去って、そこですごくシンプルに生活したいと思うことがあるよ。人間のつながりや絆はテクノロジーよりももっと大切なことだよね。でも案の定、僕はテクノロジーに関わって生きているので、無人島で住むことが可能かどうかわからないね。もし全てから切り離されるんだったら、仕事はせずにのんびりココナッツでも飲んでいたいよ。 え!?どのTシャツ? 正直言うと、オーストラリアのメルボルンに親しい友人がいるんだけど、彼はとってもクールな洋服のお店をやっているんだ。そこへ行く時はいつでも、たくさんTシャツを買うよ。今年のはじめに行ったときも、20枚くらい色んなTシャツを買ったんだ。僕にとって、彼の洋服屋がTシャツを買うのに世界中でベストプレイスなんじゃないかな。シャツとかスーツを着るのは全然ダメなんだけど、Tシャツとジーンズは得意だよ!だからいつも一番クールなTシャツと一番クールなジーンズを着てるんだ。

※1:臨場感あふれるオーディオ再生を実現するために単純なステレオトラックに追加されるサウンド信号の総称。DVD には、5 または 6 チャネルのサウンドトラックが含まれている。