Luke:
15歳のころ、ブリストルから車で20分の地元バースで、パンクバンドをやり始めたんだけど、本当ひどくって……。パンテラ、ニルヴァーナ、ビースティ・ボーイズなんかのカバーをやっていて、ザ・ストーン・ローゼズやマイケル・ジャクソンにかなり熱くなって熱心に練習したんだけど、そのうちに思ったんだ。「僕らは決してU2にはなれないんだ」ってね。高校卒業後、バンドは辞めたけど音楽には携わっていたかったから、大学で音楽マネージメントを専攻した。プレイする側からビジネスする側へ。まだ、その学科ができたばかりのころで、ライセンス契約や経営のことなど、実践的ではない授業に正直おもしろくないと思うこともあったけど、自分がレーベルをやるようになってそこで学んだことが結果的にかなり役に立つことになった。
Luke: いや、卒業してからまずロンドンのレコードショップで働き始めた。その後、就職口が見つからなくてブリストルのGalaxyというラジオ局に3年勤めた。とてもコマーシャルなダンスミュージックをかけるラジオ局で、楽しかったけど自分の好みとはまったく違う世界。そのうちに「好きな音楽の近くで仕事したい」という気持ちが募っていた時期に"Hope Recordings"のオーナーの1人、Steveに会った。僕は、ハウスが好きで"Hope Recordings"の音も好きだったから、なんとしてでもHopeで働きたくて、毎日のように言い続けたんだ。「Give Me a Job, Give Me a Job. Give Me a Job ...」ってね(笑)、とにかくしつこく粘った。そのうち、スタッフの1人が辞めるタイミングで僕はついにレーベルアシスタント、マネージャーとして働かせてもらえることになった。Timo MaasとLoco Diceのマネジメントをやることになって、毎週末、イタリアやイビザ、ハンガリー、アイルランドといったツアーを一緒にまわっていた。元々はTimoが"Four:Twenty"をやっていたんだよ。僕はTimoのマネージメントをする傍らレーベルの方も手伝い、Loco DiceやMartin Buttrichといったアーティストの作品を次々とリリースし、とてもうまくいっていた。それから2、3年経ちTimoがレーベルを辞めることになり、僕が「後を継ぎたい」と意思を伝えた。リリースするトラックを自分で選びレーベルを運営する夢があったから。そこから、僕の"Four:Twenty"がスタートしたんだ。
Luke:
むずかしい質問だね、とても抽象的なことだから……。僕個人がとても好きなトラック、音楽を選んでいる。僕は自分の耳を信じているから。「どんなシチュエーションで聴くのがいいか」をイメージしてセレクトしている。同僚に聞かせて「これ、どう思う?」と意見をもらうことももちろんあるよ。今のところそれがうまくいっているから、レーベルが続いてきたんだと思う。
僕は「誰でもレーベルを運営することができる」と思ってるんだ。いい耳さえ持っていれば……、ね。
Luke:
現状では、"Four:Twenty"はブリストルのアーティストとは契約していない。でも、この街には本当にいろいろなジャンルの音楽シーンが根付いてる。ライブシーン、ダブステップシーン……、どれもとても活気がある。ここでは新しい音やアーティストが生まれるのにすごくいい土壌があると感じる。ブリストルは小さいけれど、音楽のメルティングポットだよ。ブリストル・ミュージック・ファウンデーションという機関があって、ブリストルなど南部地方のミュージシャンたちをサポートしている。アーティスト同士を交流しやすくし、音楽ビジネスの講座や、19歳以下の若いミュージシャンをサポートする"Teenage Rampage"というシステムがある。才能あるミュージャン、プロデューサー、シンガーソングライターを育てている。
2年前だと、ブリストルでいいクオリティのテクノのパーティーはなかなか見つからなかったけど、最近はかなり増えた。ダブステップにしてもしかり、数は相当増えたし盛り上がっている。この街では大物アーティストとアンダーグラウンドのニューカマーの競演は珍しくないよ。2007年に"Four:Twenty"のレーベルナイトをやったけど、別のフロアではTembaやAppleblimなどのダブステップナイトが行われていたんだ。そのパーティーではじめてダブステップを聴いたMoon HarberのDaniel Stefanikは「これはすごい!」と衝撃を受けて、そのあとスタジオに戻って作ったのがダブテクノだったんだ。そんなクロスオーバーもたくさんある。AppleblimがWill Saulと一緒にトラックを作るようにね。オーディエンスにとっては、今まで聴いたことのなかった音と出会い、音楽の幅が広がることにもなると思う。
Luke:
その話は同僚のRobにしてもらおう。彼はブリストルのパーティープロモーターだから!
Rob:
まずオススメしたいのが、毎週金曜にかなり大きなドラムンベース、ダブステップのパーティーが開催される"Motion"。スケボーのランプも外にあるんだ。あとは"Thakla"、ここはクルーザーを改造したクラブで、港に浮かんでる。ここも金曜が主にダブステップやドラムンベースで、土曜はエレクトロ。あとは"Basement45"や"Black Swan"、"The Croft"などいくつかある。レコードショップでいうと、"Rooted"はブリストルを代表するレコードショップだと思う。
Luke:
実はほとんど僕がやっているんだ。父がカメラマンで、僕はプロにならなかったけど写真を撮るのがすごく好き。アートワークをアーティストに頼むとかなり高くつくから、自分でやってみようというのが始まりだった。レーベルを引き継いだとき、ロゴやレーベルのトータルイメージを作り直したんだ。「いつか自分でレーベルをやるとしたら……」と以前からイメージは膨らませてあったから。ウェブはすっきりとした感じで、オールドスクールのヒップホップやスケータースタイルのテイストを取り入れた。世界中をカメラと共に旅して収めた写真から選んでジャケットのアートワークを作っている。音楽とアートワークが一体となって1つの作品を完成させることができる。不思議なモノで、アルバムのテーマとかけ離れたシチュエーションで撮ったはずの写真が、ある音楽と妙にマッチすることがある。それが見つかったときにアートワークにしているんだ。なかなか簡単にはマッチしないけどね。
Luke:
そう、2008年にTomoki & nono、2009年と2010年初頭にCherryというアーティストのEPをリリースした。Cherryは、かなりいい。1年半くらい前に彼からプロモが送られてきたとき「これはすごい!」と思った。10曲ともすべてすばらしかった。Adaも彼のトラックをリミックスしてるけど、これもまたいいから、聴いてみてくれ。
Luke: アーティストがハッピーであること。音のクオリティを高く維持すること。できないことを無理にやっていくというより、自分たちにできることをそのままやり続けていこうと思ってるよ。
Thank you.
INTERVIEWS