INTERVIEWS
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Autechre

そうだね、メディアの反応はいいと思うよ。今アルバムが発売されてからどれくらいだろう。8週間だから大体2ヶ月が経っているけど、その間にたくさんの人が訪ねて来てくれたからね。それに今回のツアーの反応がけっこうよくて、どうやらメディアを含め、お客さんたちが楽しんでくれているようなんだ。ライブではもちろん、音楽制作と一緒で、自分たちがやって意義があり、おもしろいと思えることをするのが大前提としてあるけど、もちろんそれでお客さんが楽しんでくれているようだったら最高だから、今のところメディアやお客さんの反応は素直にうれしいね。

アルバムもそうだけど、ライブも最初は少しストレンジなことをし過ぎてるかもしれないと思っていたんだ。だけど、ライブツアーを始めて蓋をあけてみたら、みんな楽しんでくれているようだからよかったね。自分たちがおもしろいと思っていることを表現し、みんなもそれをおもしろいって言ってくれることはすばらしいことだと思う。音を作っているときもライブセットを組んでいるときも、みんなが何を求めているかはわからないし、気にするべきだとも思わない。ただ常にみんなの期待を超えるものを作りたいとは思っているんだ。みんなの期待していたことを、彼らにとっていい意味で裏切りたいと思っている。「裏切られたけどすごく満足できた」って思ってもらえることを目指しているって言ったらいいかな。だけどそんな感じで作っていくのは結果がまったく見えないだけに、作品を発表するときは緊張するし、タフなことなんだ。 OK。まずライブセットの構築に関していえば、基本的にコンピューターでシークエンスコントロールをしているから、構築の仕方としてはそんなに変わったことはないよ。アルバムに関していえば「Quaristice」はハードウェアを使って、ジャムセッションしたりして作り、コンピューターでエディットしたんだけど、「Oversteps」も同じようにコンピューターを使って作り初め、ハードウェアも使ったけど、ジャムセッションは一切しなかった。ピュアコンポジションだね。

とくにそのアルバムの制作環境が違ったからといって、それが直接ライブセットに反映されている、という意識はないけど、単純にいってしまえば、今回のライブセットは「Quaristice」のライブセットと比べて、より広く自由にアイデアを"瞬時"に反映させられるといった点で、今までのものとはまったく異なったものになるよ。今回はパターン、ビート、音色、今までのセットにないくらい色々なマテリアルをその場で組み替えていくことが可能だからね。ジャムをしながらライブを作っていくというのもいいけど、今はその場の雰囲気に合わせてアイデアを反映させていくことをやりたいと思ってるんだ。今回のツアーでは次の日にやったライブが前日のものとはまったく違うものになっているし、それが今自分たちがやっていて楽しいと思えることだよ。

自分たちのライブセットにルールがあるとすれば、"Loud & Fast"ということ。それは「Quaristice」のライブセットだろうが「Oversteps」だろうが変わらないよ。でも"Loud & Fast"といった点では「Move Of Ten」にはそれが少しだけ反映されていると思っている。自分たちの出番の後、もしくは前に出演するDJが「Move Of Ten」をプレイすることが想像できる。今回のライブセットの世界観に合っていると思う。だけど今回のライブセットはあくまでも「Oversteps」のライブセットであって「Move Of Ten」と直接的に繋がっているかといわれたら、答えはノーだよ。共通点はもちろんあるけどね。
  そうだね。今回のライブのアイディアは複雑で。といっても、すごくシンプルなものにもなり得るのは説明したとおりだけど、「Move Of Ten」との共通点はさっき説明したとおりだよ。「Move Of Ten」はまだ発売されてないから、まだみんな聴けていないと思うけど(*オウテカのオフィシャルサイトで1曲試聴可能 http://autechre.ws/move-of-ten/)「Move Of Ten」の発売後に今回のライブを経験した人は、ライブセットが「Move Of Ten」に直結されていると思うこともあるだろうね。自分たちとしては今回のライブセットは「Oversteps」仕様のもので、「Move Of Ten」はセットに組み込んでいるわけじゃないからね。ちなみに誤解を避けるために説明したいんだけど、「Oversteps」のライブセットといっても「Overstepa」に収録されているトラックをそのまま使うわけじゃないよ。今回のライブセットの目的は、まだ自分たちが達していない次のレベルに行くことなんだ。 簡単に言うと「Oversteps」とライブはまったく異なったものになるといえるね。「Oversteps」は意図的にシンプルに、ビートを少なくしたけど、ライブはすごく複雑にも、反対にすごくシンプルにもなり得たり、"Loud & Fast"だしね。ライブでは最高のサウンドシステム(6/4のディファ有明では、今回のステージのためにFunction-Oneが導入される)でヒートアップさせて、ハイになったオーディエンスに自分たちも対向したいんだ。何より重要であり、こだわっていることは、自分たちがライブをしながら楽しむこと。それでお客さんが楽しんでくれれば最高なんだ。反応を見ていると今回のツアーではそれがすごくうまくいっているようでうれしく思ってるよ。 Claudeには何回か会ったことがあって、彼は本当にすごいと思ったんだ。Juan Atkinsに関しては彼はデトロイトテクノのオリジネイターでありながら、エレクトロのオリジネイターでもあるよね。会ったことはないんだけど、多分みんなの理解もそうだと思うけど、僕は彼のことをいろいろな新しいことを始め、異なった世代を繋げてくれた人だと思っているんだ。最初彼の音楽を初めて聴いたときは彼がそんなに年上だとは思いもしなかった。新しいサウンドだったし、本当にかっこよかったから、自分と同じ世代のアーティストだと勝手に思い込んでいたんだよ。彼はジャンルにおいても、テクノ、エレクトロのリスナーのみじゃなく、ディスコやほかのジャンルのリスナーもコネクトさせた人物だと思う。すごく尊敬しているよ。僕は彼の作品に感化され、行動する理由をもらったと思っているから、彼にはすごい借りを作っているといってもいいかもしれないね。残念なことに最近はそういったレジェンドに対してより、見たことがあるDJに対しての注目のほうがすごかったり、実際にパーティーでは人が集まったりするよね。でもJuanのプレイを体験して興味を持ち、家に帰ってJuanのことを調べ、たとえば「Cosmic Cars」とか、彼の音楽を何曲か聴いたりしたら、彼の音楽のスペシャルさが今の人たちにも届くと僕は思っているよ。 ライブ中に自由が利くから、抑えるところは抑えたりしてライブセットを今まで以上に美しいものにしたいとは思っているよ。今までどおり緊張感を保ちながらね。今回は今までよりメロディーがあったりするという意味で、音楽的といえるかもしれないけど、やっぱり今回のライブセットは会場、サウンドシステム、クラウドのリアクション、僕らの調子、僕らのひとつ前のライブ、さまざまな要因でまったく異なったものになるからね。はっきりとこんな感じのライブになるとはいいにくい。今回のライブセットアップは本当にフレキシブルなものだから、言ってしまえば大体何でもできてしまうんだ。だから実際最初の音を出す数分前に新しいアイデアが思いつけば、それを入れたりする場合もあるんだよ。 いつもは大体ビートから始めるんだ。だけどまだわからないな。日本はテクノが好きでしょ。そういったことも含めて、自分たちがやっておもしろいと思える実験的なことはもちろん今回もやりたいと思うよ。でも今回のライブツアーに関しては毎回毎回実験的なところがあるからね(笑) 暗闇でのライブは音に集中するのにいいと思う。ビジュアルってけっこう強烈なものだから、注意がそっちに持っていかれてしまうしね。それに変なことだとは思うけど、僕達のような音楽は暗闇で聴くことによって、僕のような人間には逆にシネマティックに感じられたりするからね。何も見るものもないし言葉はもちろんないけどね。ビジュアルに取り組もうと思ったことはもちろんあるけど、やっぱりすごくエネルギーが必要だから、今のところはすべてのエネルギーを音だけに注ぎたいと思ってるよ。