INTERVIEWS

Hidetake Takayama

大学で映画学科を専攻していたこともあって、卒業後は映画音楽やCM音楽の制作をしていましたが、当時からオリジナルの音源は制作していましたね。 仕事としてはクラシカルな要素の強いものもやっていましたが、HIDETAKE TAKAYAMA名義の曲にかんしては、現在のサウンドに近かったですね。今思うと恥ずかしいできの曲もありますけど(笑)。クラシックピアノをやっていたっていうと、どうしても堅いイメージを持たれてしまうみたいなんですけど、基本的に昔からどんなジャンルでも聴くんですよ。J-POP~民俗音楽~ダンスミュージックまで。その中でも、The Cinematic Orchestraや、「OK Computer」以降のRadioheadが作る、映像的な匂いのある曲に1番惹かれています。 曲作りに関しては、いまでもまずはピアノを触りますね。PCを1時間ぐらいレコーディング状態にして、今日、もしくは特定の日のできごとを頭でめぐらせて、それをスケッチするようにピアノを鳴らしていきます。いいスケッチが描けるまで録り続ける感じです。そのあと聴きなおして、いい部分をピックアップして、音の構成を考えて、新しく物語を創っていく感じです。 「公園、森、動物、人、海、川、電車、車、トンネル、月、夜のビル……。」特別な状況じゃなくても、目の前の状況にすぐ感動してしまうことが多いんで、自分の日常すべてからインスピレーションを受けています。部屋にこもっての、無の状態からの曲作りは本当に苦手なんです。反対に、家から半径100mでも、いろいろなインスピレーションを受ける十分な素材を見つける自信がありますよ。 一言でいえば、色ですね。ラップがうまい、歌がうまい、というよりは、1つの楽器として、その曲に表情やエネルギーが合うアーティストにお願いしました。歌やラップが入ったトラックは、どの曲もいい意味で、自分の思っていたイメージと違う方向に転ぶことも多くて、それが本当におもしろかったし、刺激を受けましたね。その刺激を元に、曲を再構成したり、歌を少し変えてもらったり、そういう工程って初めてだったし、自分の曲がいろんな色に変わっていく様子に自身が興奮しました。 今回のアルバムの曲は、メッセージ性や感情表現より、目の前の景色や頭の中の情景をスケッチするのをとことん繰り返しました。同じ曲を聴いていても、場所によってガラッと曲の聴こえ方が違ったり、逆に曲の影響で、その場所の印象が変わるように、この音楽を聞いてくれる人が、僕の音楽をききながら、なにか情景を思い出したり、新しいアイディアを得たり、その人の環境をいつもより少し豊かにするBGMになれたらって想いが一番強いです。Right time + Right music―いろいろな場所で、いろいろな思いのときに、このアルバムをぜひ鳴らしてみてください。 もっとも思い入れのある曲を選ぶのはむずかしいですが、しいて言えば、もっとも製作日時が古い「PUKE」ですかね。この曲を創ったのはもうも4、5年も前で。そこから始まって今があるので、聞くたびに過去の自分から「しっかりしろっ」と自分に向けた戒めのメッセージのようなものも感じてしまいます。 今は何よりもライブがやりたいです。編成はいろいろ考えていますが、ラップトップとピアノから、オーケストラまで、環境に合わせて、変幻自在にいろいろなチームを組めたらいいなぁと思います。製作に関しては、次の作品では今回のようにいろいろなジャンルが混ざっているものではなく、もう少しひとつの色に絞ったアウトプットを構想しているので、楽しみしていてください。あ!あと、8月20日にタワーレコード新宿店でインストアイベントをやるので、ぜひ遊びにきてください。