INTERVIEWS

Satoshi Tomiie

今回のアルバムに含まれる3枚のうち、まず「CLUB」は呼んで字のごとく、最近のDJプレイでよくかけている曲を中心に構成しています。去年の夏にリリースした僕のミックスCD「ES-B」からつながるような流れで、さらにピークへ持っていくような感じです。

「STUDIO」は現在やっている ChabやSlokのリミックスのような、最近の作品からこれまでにやってきた音楽、たとえばTears, Love In Trafficのようなものまで含めた中から厳選した曲を再リミックス、再エディット、再構築して1つのMix CDにまとめたものです。それぞれの楽曲に手を加えるなど、時間と手間をかけられるだけたっぷりとかけたスペシャルな1枚です。

「HOME」には僕の「ルーツ」になるような音を集めました。これまでに聴いてきた音楽や影響を受けて来た音楽、たとえば、マイルス・デイビスの一連の作品やフランキー・ナックルズのDJを初めて聴いたとき、YMO、ロニー・リストン・スミスなどなど、僕に衝撃を与えた音楽はたくさんありますが、そうしたあたりを凝縮しつつ、家でリラックスしている時にも聴けるようなものに仕上げてあります。

「Renaissance」とは、特にイベントのほうでのつきあいがけっこう長くて、僕が初めてイビザでDJしたパーティーもRenaissanceだったし、今回、彼らが初めて作るこうしたシリーズに絡めるのはなかなか感慨深いものがありますね。 自分が音楽をやっていこうと決めたのは17歳ぐらいの時だから、オタクの時期も入れるとかれこれ20年ぐらいDJをやっています。最近ではツアーでプロデューサー的な作業の比重は以前ほどではないですが気持ち的には半々って感じですね。物理的にどっちにどれだけ時間をかけてるかっていうのは、タイミングによりけりですけどね。

DJをしているときは、いま自分がかけている音楽をお客さんは楽しんでいるかな、とか、このあとどういう流れに持っていこうかな、とか、次の次の次に何をかけようか、なんてことを考えていたりしていることが多いですが、お客さんとの一体感みたいなもの、「この曲がこの流れで、こうかかったら気持ちいいだろうな」といった予想が当たって、お客さんも楽しんでくれているのを感じたときは、やはりうれしいですよね。一方、プロデューサーとして喜びは、作っている時の興奮をほかの人と共有できるという喜びじゃないでしょうか。 実際に僕はいまほとんどの場合、CDでプレイしているし、世の中の流れとしてもそういう感じですよね。CDでプレイができるようになってから、旅のストレスが減ったのはうれしいですよ。ラップトップを使ったプレイに関しては、かなり興味はありますが、物理的にプレイ前のセッティングや終わったあとのバラシが難しいので、僕はまだ使っていません。プレイが終わって、すぐに移動しなくちゃいけない時などもあるので、、、 ただ、時代の流れとはいえ、アナログ盤が消えいく宿命にあるのは、ちょっと悲しいですね。

機械的な進化もそうですが、「音楽自体の進化(深化)」という意味では、いろいろな場所でプレイしていると世界中ではなくても、日々刻々と変わっていっているのは感じますよ。新しい音楽が出て来て、それが受け入れられ、それに影響された、また新しいものが出てきて……というような、いくつもの進化がさまざまな場所でおこっているのを感じます。 さまざまな国でプレイしていますが、ここ数年、中南米、東欧など比較的新しいマーケットがおもしろいですね。世界的に見てもクラブシーン全体が広がりを見せていると思います。特にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われた「MOON PARK」というパーティーでのプレイは、今までの中でも一番感動した経験の1つです。1つの場所に7000人という数の人たちと味わう一体感はもの凄かった! 大きな会場だと若干不本意に上げなくてはいけないことが多いけど、そういうプレッシャーもなく、 BPM127くらいをキープしたまま、自分がやりたい流れが作れて、いいプレイができたのがうれしかった。お客さんの音楽に対する姿勢も素晴らしかったです。

一方、自分で遊びに行った中で一番印象に残っているってことでいうと、まあ、いろいろあるんですが、CHOICEとか、WORLDとか初めてニューヨークへ行ったときに遊びに行ったクラブとかでしょうかね。 日本のクラブシーンって、雑食性というか、いろんなものが入ってきていて、それが日本独自の切り口で紹介されていたり、人気があったりするのがおもしろいですよね。今後のクラブシーンに期待するものとしては、さらなる拡大、といってもコマーシャル(商業的)になることではなくて、この音楽シーンが1つの文化として昇華していってほしいな、と思います。特に日本について、それを強く感じますね。

だからというわけではないんですが、僕の「SAW.RECORDINGS」でも、「本当にいいダンス/エレクトロニックミュージックだけをジャンルやスタイルに関係なくチョイスして紹介していく」というコンセプトでやっています。ちなみにSAW.RECORDINGSでは、3月にマイアミで開催される「WMC2006」の時期に合わせて、3月24日(金)に「SHINE」というクラブでSAWの5周年を記念したパーティーを開催します。今回はゲストにLexicon Avenue, Chab, Audiofly, Bush II Bush, Cass & Mangan, Guy Gerberなどが登場するので、マイアミに行く人はぜひ遊びに来てください。 自分のやりたいことを、人と違ったやり方でやること。 今家なき子で旅を続けながらホテルを点々としていますが、この状態を何か月まで続けられるのか、という挑戦(笑)。 Audiofly, Sprit Catcher, Dan Berkson, Jim Riversなどなど……たくさんいます! まだまだ突っ走ります!これからもサポートを宜しくお願いします!