INTERVIEWS

Free TEMPO

ええ、端的に言ってしまうと、今回のものは『作品集』なんですよね。前作のようなオリジナルアルバムではなく。ここ数年、いわゆる『外』でやってきたリミックスなり、プロデュース、あるいはコラボレーション業をまとめたんですけど、自分としては散らばっていた写真をいったん集めて再構成していった感じなのかなと。一冊の画集とでも言ったらいいのかもしれません。 確かにそうですね。ただ、バラバラだった『画』を1つのものとして見せていくうえで、抜け落ちた部分っていうのかな。かなり抽象的なんですけど、そこを新曲で補ったつもりなんです。11曲中、ニューミックスも含めて4曲ですか。自分の場合、割と一貫している部分ではあるんですが、『悲しい』とか『楽しい』とか、言い切らない部分でのメッセージ性ですよね。そういうものを今回も1枚を通してやってみたかったんです。インストも多いし、別々の時期に作られたものではあるんだけど、新曲も交えつつ、パズルを組み直すような感じで、アルバムと変わらない一貫した軸みたいなものは伝えてみたつもりです。 この曲はもう、ヴォーカルの方ありきみたいな部分で作ったみたいな曲です。普段はBophna というブラジリアン・バンドで歌ってらっしゃるリカ・ヤマダさんですね。とある機会にヤマダさんのヴォーカルを聴いて、『ぜひ!』という感じでご一緒いただいて。透明感があって素晴らしい声なんで、なるべくそれを活かすようなシンプルでアコースティックなプロデュースになりましたね。 そう。これは、僕にとってちょっとした意欲作なんですよ。体裁だけを見ればLoliさんをフィーチャリングしたヴォーカルものなんですが、実際は2人でゼロから作り上げた共作なんです。発想の段階からあれこれ試行錯誤できて、コラボレーション作業としてはかなり刺激的でしたね。 コラボレーションとしてこういうやり方自体が初めてだったもんで、新鮮でした。力の入った新曲になりました。 そうなんです。レゲエ的なリズムに変えてみた、ニューミックスですね。これも自分にとっては新しいトライというか、こういうリズムを組んでみたこと自体初めてでした。この曲自体は思い入れのある曲だったので、ちょっと出し方をガラリと変えてみてもいいかなと。 去年、韓国にDJで行って来たんです。田中知之(FPM)さんなんかと一緒だったのですが、韓国ダンスシーンには驚きました。カルチャーとしての長さは日本よりも短いんですが、一年一年の伸び率ですよね。予想以上の現地DJたちの選曲とかお客さんたちの洗練具合。結構、日本で僕らがやってきたことに影響を受けているのかなとは思うんですが、それにしても現地DJたちの選曲とか、お客さんたちの洗練具合には目を見張るものがありました。パーティーのスケールもダイナミックなんですよ。僕がDJをした会場は4000人も動員があったホールだったんです。 それはあるでしょうね。みんな、耳が早いですし。で、今後の展望としてはアルバム単位に縛られない作品展開をしていければいいなと考えているんです。