INTERVIEWS

TAAR

元々、ポストロックのバンドをやっていて、作曲はそれまでギターとレコーダーでやってたんですけど、パソコンでも「曲作れるよ」ってDTMの存在を教えてくれたのが兄です。作り方とかまでは、教えてくれなかったんですけどね(笑)。 もちろん少なからずあると思います。ジャンルとか関係なく純粋に音楽を聴いて「何がカッコ良くて、何がカッコ悪いか」哲学みたいなものは、今になって考えると共通の部分が大きいかもしれないですね。 TAARとして活動し始めたのは、19~20才にかけてなので今から3年ぐらい前です。高校の頃からイギリス行くまで4年ぐらいプロ目指してバンドをやってました。 最初はロックばっかり聴いてました。UKだとOasis、The Verve、Feeder、Kasabianとか、USだとFOO FIGHTERS、Blink-182のトムがやってるAngels&Airwavesとかよく聴いてました。最近は、あんまり音楽聴かないです。本は、よく読みますけど。 曲の鮮度とか気にせず純粋に音楽として受け取ってもらいたかったから、賞味期限の長いアルバムっていうフォーマットを選びました。データだとネット上を無限に拡散されてくじゃないですか?あとネットで騒いでるだけみたいなのも好きじゃないし。CDなら自分のギリギリ手の届く範囲で留まってくれるし、そういう人達から実際どんなフィードバックが得られるかみたかったんです。 このアルバムには特にコンセプトはないです。逆に、アルバムとしてまとめた時に何か見えてくるかな?って思いながら作りました。でも大きく2つに分けられると思います。閃いて作ったプリミティブな曲、頭で作ったロジカルな曲。どっちもTAARなんだけど自分で聴くと全く別人が作った曲に聞こえるんですよね。でも、お互いが競い合って、補完しあってアルバムになってる。そういう聴き方をしてくれるとまた聴こえ方が変わってくるかも。
コンセプトですけど、TAARとして曲を作る上でのコンセプトならありますよ。純粋に体が動く置き方と全体に違和感が残る作り方をしてます。全曲共通して漂う違和感がアルバムに一貫性をもたらしてるなって後々思いました。でも、聴いた人が耳から緑色の血が出て泡吹い倒れりゃ良いって思いながら作りました(笑) 1. Wander Day
Oil moneyとかで使った手法で、ボーカルサンプルをループさせてゲットー感のあるグルーブに乗っけた曲です。ボーカルのループはLRで出してるんだけど微妙にチューニングかえて独特のコーラス効果を持たせました。あとは、キックとベースのアタックを近い帯域に置いてローエンドでのダイナミクスが生まれるように意識して作りました。

2. Sleeper Train
この曲は、UKって感じの曲ですね。ちゃんとしたシステムで聴くと結構ヤバいです。キックのスドン!!って感じと、上のリズムトラックの音の分離感とか、それでいて、ハイファイになりすぎないように、レコードノイズにビンテージっぽいオーバードライブ噛ましてあります。ビートの打ち方も途中変拍子とかにしたり、アルバム通して一番アバンギャルドな曲です。

3. Deep Inside
一言で言えば、ハウスです。ビートのスイング感とか、声ネタとか、そう思って聴いてくれると嬉しいです。

4. Got Into
これは、JAZZSTEPっていう洒落で作ってみました。古いレコードからリッピングしたような、暴れてる出音にしたくてマスタリングの直しを1番注文して何回も直させました(笑)。ベースは、TB-303と生ベースを互い違いに鳴るように、お互いが支え合うような音の置き方してます。

5. Acid Man
リズムを半分で乗るってダブステップの3拍目に強拍を置く方法以外にもあるよね。って事でキックだけ半分で乗れるビートから作りました。普通にキックをオンタイムで置くと平凡なビートになりがちなんですが1拍目のキック以外は、微妙にズラしてしてハネるように意識して作りました。アシッドって呼ばれる曲って大体TB-303がビキビキ鳴ってるんですが、脱303でアシッド感のある曲を作ってみました。

6. Let Me Feel
初めてボーカルを迎えて曲を作りました。恥ずかしかったんですが、家のピアノで弾き語りしてラフ録りしました。それに肉付けした感じです。メロディーを考える上で、よりネイティブっぽいメロディーを作るためには、自分で作詞する事が必要でした。拍を食って入ったり、言葉を詰めて発音する感じとか意識しました。ちなみに、日本人の女性ボーカルが歌っています。チューニングをあえてガッツリ変えて中性的な声に変えてあります。

7. MOP OF HEAD///Istanbul - TAAR Ressentiment Mix
MOP OF HEAD のTAAR REMIX 原曲の要素は、ギターのズチャ!だけ。でもそのズチャがすごく良い空気感出してます。家のPCの卓上スピーカーとかで聴くと、きっとほとんど聞こえないローで鳴らしてます。808クローンの音源モジュールから鳴らしてるので薄く乗ってるノイズがまた良い味を出してます。Ressentimentってのは、ニーチェの言葉から、嫉妬の繰り返す根源って意味です。MOP OF HEADがかっこ良くて嫉妬してるので、逆に嫉妬させようってのが裏テーマなんです。

8. 5kinAndbone5///Pop.PainKillaz - TAAR Remix
SINDENのレーベルの"Grizzly"からリリースされてる"5kinandbone5"のTAAR REMIX。原曲は、緩いヒップホップなんだけどフロアで機能するように作りました。後半の2拍3連のリズムとか我ながら良いアイディアだなと思います。相当気合い入ってましたからね(笑)。クラップ音は、家のマイクの位置を変えながら実際に僕が叩いた音です。あと、コインが永遠に回り続ける音は、ちょっと前の夢を題材にした、映画で主人公が駒を廻すシーンからインスパイアされました。 個人的に言えば本当に全部!だけど特に、3曲目の"Deep Inside"は、プリミティブな部分とロジカルな部分がちょうど50:50で作れた曲。後半に向けて曲が成長していく感じを味わってほしいです。 自分の満足できる沸点みたいなものを制作に入る前の段階でどこに置くかを決めるのに苦労しました。でも、制作に入ったらサクサクです。あっ、嘘。6曲目の"LET ME FEEL"の歌詞は、スタバで半日以上掛けて作りました。翌日、おなか下しました(笑)。 実際、納得できる理由があって、ジャンルで括られるんだったら、別に嫌じゃないですよ。むしろ「お前!〇〇〇だから、このジャンル!!」って言ってもらいたいです。だから、ジャンルで括るのっても聴き手の楽しみの1つだと思うから僕からは、言わないでおきますよ。 僕は、音楽性よりもその成り立ちの方に興味がありました。「得体の知れない何か!」がそこにあって手の届く範囲でドンドンいろんなものを吸収してカッコいいものだけ残って。でも、メジャーなムーブメントになってからドンドンお金がつぎ込まれて拡大解釈されて、実際のクラブシーンの成長速度を超えてマーケットが拡大されて、中核がしぼんでしまったような印象を受けます。だから、おもしろいことやろうとする体力が無くなってしまっているような気がします。体ばかり大きくしてしまって絶滅した恐竜状態だと思います。
「次は」その部分から学ばなきゃいけないんですけどね。そんな訳で個人的な希望は、ジャズがきてくれたら嬉しいです。ヒップホップでなく、ジャズっぽいブラックな解釈が流行りそうな気がしてます。飽くまで、希望的観測です! 国内は、YOSA、Fragment。海外なら、MALA、Nocturnal Sunshine、BEN UFO、Teengirl Fantasy 「Abstrkt」のリリースパーティーの予定は現状ありません。近いところのDJですと、9/24"AIR"、9/29"WOMB"、10/6"VISON"です。リリースに関しては、シングルに関していろいろ準備中なので、またお知らせできたと思います。