INTERVIEWS
>

August

生まれも育ちもトロント。学生の頃から、アルバイトをしてある程度お金が貯まると、すぐ車に飛び乗ってニューヨークへ行っていた。GAPでも働いてたし、サングラス屋でも、映画館だったり、モールにある感じのお店やサービス店のありとあらゆる仕事をした。ニューヨークへ行けるだけの資金が貯まると、親父の車を借りて行く。それがルーティーンになってたんだ。ニューヨークへ行くと、レーベルのオフィスの前に立って、自分に気付いてくれる人を待ったり、デモをA&Rらしき人に渡したり、そこでミーティングの時間をもらえれば、そのずっと前から行って周りに人たち皆に挨拶し回ってみたり。そうやって今のマネージャー、エリック・ニックスと会ったんだ。僕の事を変な奴だと思った人もいたと思うよ。1つのオフィスの前に5時間も、6時間も待ってたりしたんだ。ビルの警備を避けて侵入して、オフィスのドアを1つ1つ叩いて、自分の音楽をプレイして回ったこともある。時間はかかったけど、結局はいい結果をもたらしてくれたよ。 わかるよ。たまに女の子と間違えられることもある(笑)。たぶん、この声のおかげで、ジャスティン・ビーバーに曲を提供できたんだと思うよ。彼の声にちょっと似てるから(笑)。でもどうしてこういう声になったかわからないんだ。確かにさまざまなヴォーカルテクニックを学んだのは事実。パフォーミングアートスクールに通ってたんだけど、ミュージカルからクワイア、オペラ、あらゆるスタイルを勉強して、あらゆるタイプのショーを授業の一環として観に行って、身体で吸収していったんだ。僕は子供の頃からポップスを歌っていたし、ポップシンガーになることだけを夢見て生きてきたけど、音楽、歌の原点を知ることも大切なんじゃないかと思って、その4年間にオペラを勉強したりした。今思うと、最高の選択をしたと思ってる。昔から高めの声ではあったし、歌うと声変わりをしてないような声であったことも事実。でも、少し無理して歌うと完全に喉を痛めてしまうことがしょっちゅうあったんだ。高音も、中途半端な音しか出てなかった。たぶん、僕の声がちゃんとプロとして歌えるようになったのは19歳ぐらいのころかも。オペラを学んで、声の出し方から全ての基本を身につけることができたおかげで、今はどんな高音でも楽に出すことができる。自然に声が出るようになったんだ。 自ら進んで聴いた初めてのアーティストがマイケル・ジャクソンだった。彼の声にとても憧れてたよ。彼のスタイル、彼の全てに。それにスティーヴィー・ワンダー。ジョデシィも。イン・シンクが出てきた時の、あのジャスティン・ティンバーレイクの声には参ったな。他にもたくさんいるけど、シンガーとしては特に彼らだね。ソングライターは、ベイビーフェイス。ビートルズも好きだよ。最近では、ブルーノ・マーズ、クロード・ケリー、リル・エディ、尊敬する素晴らしいソングライターは大勢いる。彼らからたくさん学んで、少しずつでも自分が成長出来たら嬉しいよね。 正直、ソングライターになってる自分は想像したことがなかったんだ。ずっとシンガー、アーティストである自分だけを想像して生きてきた。正直、ソングライターって職業があったことすら長い間しらなかったんだ。アーティストはみんな自分の曲は自分で書くんだろうって思ってたから(笑)。15歳ぐらいの頃から、自分で初めて曲を書いたのは。自分の夢を叶えるには、そこに辿り着くまで必要だと思うことは必ずやるようにしてきた。もちろん、それをサポートするために、バイトしたりしたけど、どんなに辛くても、シンガーになるという夢だけは色褪せなかった。そのために曲を書くことが必要だと思ったからやり始めた、という感じ。 ピアノとギター。それにあまり上手くないけど、ドラム(笑)。 ピアノはまぁまぁだと思う。曲はギターを使って書く。ドラムは趣味でさ。LAにドラムルームがあって、そこで叩きまくるんだ。ヘタでも(笑)。それが今楽しくてしょうがない。実はDJにもなりたいって密かに思っててね。もちろん、全然うまくないんだけど(笑)。ジミ・ヘンドリックスになりたいとか。彼はあまりにも偉大すぎて無理だろ?アハハ。でも本当に、ジミ・ヘンドリックスにはハマりまくってて、DVDを全部観まくったり、スカーフ巻いたりして、彼の真似してみたり。彼だけじゃなくて、マイケル・ジャクソンもそうだけど、彼らのような伝説的アーティストからは学べることがたくさんある。ジミヘンのギター、最高だろ?やっぱり最高なものから吸収してかなきゃ。 マネージャーに出会ったのがブレイクだとは言えるけど、とにかく、1つのことが決まった途端、全てのことがアッと言う間に進んで行った。そして、初めてメジャーで起用された僕の曲はIyazの"Solo"だよ。それがメジャーアーティストに提供した最初の曲。
Iyazのすぐ後に僕の曲が起用されたのがジャスティン・ビーバーさ。どういう経緯でそうなったか詳しく話すと、エリックから連絡があって、LAリードに会いに行くってことを聞かされた。デモの曲を聴かせるだけだと思ったんだけど、その日はエリックから、いつもちゃんとした服装はしてるけど、今回はアーティストに見えるような格好をするように、って言われたんだよね。それで、深くは考えず、レザージャケットにブーツってスタイルで行ったら、デモを聴いてLAリードに、「この曲はジャスティン・ビーバー用に欲しい」って言われたんだ。その直後に、今度は「このデモは誰が歌ってる?」って。自分だと言ったら、「アカペラで歌ってみろ。その服装からしても、アーティストなんだよな。だったら歌ってみてくれ」って。そして歌い始めたら、ちょうど真ん中あたりで、LAが僕を止めたんだ。「マジソンスクエアガーデンで歌ってるかのように歌ってみろ。俺を感動させてくれ。そうだ、いい考えがある」と言って、彼のスタッフ全員を部屋に呼んだんだ。そして僕は全員の前で歌ったんだ。その場で契約とはならなかったけど、僕はLAリードと会って、彼が僕の曲を気に入ってくれて、彼とスタッフの前で歌えたってことだけで満足してたんだ。僕はロサンゼルスへ行って、曲を書いたりしてた中で、結局はソングライターとして正式にジャスティンに曲を提供することになった。そしてニューヨークへ帰ってから、またLAリードとジャスティンの作品についてミーティングをしてて、話が終わったから帰ろうとしたんだ。そしたら、彼が、「どこに行くんだい?誰も何も言ってなかった?キミと契約したいんだ。Def Jamに来てくれるかい?」って。僕は泣きそうになったよ。その時、マネージャーが僕の耳元で「今泣いたら、後で俺がもっと泣かしてやるからな」って(笑)。 そう、ミックステープからも数曲収録したし、このアルバムは日本独占だよ。Def Jamから発売するアルバムは「Planes, Trains and Automobiles」ってタイトルになるんだけど、まだいつ発売するかは決定していない。これから本格的に制作にかかるような感じだね。メジャーと契約してて、どうして日本独占で作品を発表したいと思ったかというと、やっぱりメジャーレーベルは彼らのタイミングでしか動かないし、マンハッタンレコードは、僕が音楽をやっている意味や理由を本当に理解してくれた。自分が音楽的にどんな方向性でやっていきたいかも含め、全て理解して、サポートしてくれたんだ。僕はやっぱり多くの人たちに自分の音楽を楽しんでもらいたいし、求められてるのに無視なんてできないよ。こういう形で、今の僕の集大成を発表するにはタイミング的にも完璧だった。マンハッタンから作品を発表したリル・エディとも僕は仲がいいから、マンハッタンの人たちがどれだけ音楽を愛して、いつもポジティヴなことをやってるのをよく知ってたから、安心して任せてみようって思えたんだ。アーティストとして、毎日、曲を書いて、プロデュースして、歌って、自分のペースでやり続けていきたいと思ってる。最近では歌うことより、ソングライター、プロデューサーとしての仕事が多くて、自分がアーティストとして歌うことが恋しくなってたんだ(笑)。だから、今回のプロジェクトは、そんな僕の想いと周りの状況、あらゆることがタイミング的にピッタリ一致した結果なんだよ。 ジャンルとして、これだと名指しするのは難しいかもしれない。僕はアーバンミュージックを聴いて育ってきた。アーバンコミュニティで育って、アーバンR&B、ヒップホップ、それ以外にも、ポップス、ロック、レゲエを聴いてきた、シカゴとかジャーニーも聴いた。レゲエに関しては、みんながビックリするくらいのレゲエ好き。自分があらゆる音楽を好きだから、自分はこういうタイプの音楽だけするんだ、ってことはやっぱり言えないんだよね。ぶっちゃけて言えば、僕は音楽だけやっていければいい、ってタイプでもない。音楽は大好きだし、自分の仕事。でも、音楽以外にも、ファッションやアート、クリエイティヴなこと全てに興味もあって、音楽にもそういう面が反映されてしまう。カントリーミュージックだってやってみたいと思うんだ。カントリーは大好きだよ。だから、そういう要素も含まれている。今回のアルバムにも、タイプの違う曲が収録されているけど、実は、それぞれどこかでつながっていて、1つの作品として輪を作ってる気がするんだ。僕の歌い方だったり、曲の書き方なのかもしれないけどね。それぞれの曲に個性がありながら、まとまってる。みんなもそう感じてもらえたら嬉しいな。愛を込めて作った作品だし。 そうだね。詳細部分は変えたとしても、自分が経験で感じたことはそのまま表現するようにはしてるし、もちろん、イマジネーションを使わなきゃいけないこともある。大胆に映画を作っていくような感じでね。友達が何か話してたこと、感じてたことからインスピレーションを受けたりね。例えば、"You're With Me"って曲は、ソニーパブリッシングの社長夫婦とディナーに行く機会があってね。奥さんが、2人の初デートの時の話をしてくれたんだよ。デートで食事の後、彼女が去ろうとしたら、彼が「どこへ行くんだよ?」って聞いたらしいんだ。そこで彼女は「電車に乗って帰るのよ。そのほうが早いし安いから。」って答えたんだ。そしたら、「キミはもう二度と電車に乗らなくていいんだ。僕といるんだから(You're With Me)。僕が守ってあげるから」って。その話を聞いて、あの曲が生まれた。何か恋愛ストーリーがあったら教えてよ。そしたらそこから曲作ってあげるから(笑)。いつでもインスピレーションは歓迎だよ。 秘訣があるかどうかわからないけど、キャッチーなメロディは大切だと思う。それと、最小限の言葉で表現すること。物語を語る時、ダラダラと話をするより、簡潔でわかりやすいほうがいいよね。曲も同じなんだ。最小限の言葉で最大限のメッセージを伝える。今は、全てが便利な時代になったよね。何か欲しければすぐ買える。車の中からだろうが、ジョギング中だろうが、興味を持ったらそれをすぐに調べたり購入したり、観たり、あらゆることが瞬時にできるようになった。ということは、人の興味を一瞬で引くことがこの時代には大切なんだってことだと思う。シンプルなほうが興味を持ってもらえることがある。それに、いい曲はいい曲だし、タイミングがよかったからヒットになるってこともある。だけど、大切だと思うのは、安定したメロディ、万人の人が理解できて、たくさんの人が共感できるようなシンプルで良いストーリー。その2つは最低限かな。 実はその"SayIDo"が僕が彼に最初に提供した曲なんだよ。僕も大好きな曲だよ。"Silver&Gold"も好きだけど、"SayIDo"は、彼に起用されるかを決める曲だったから、ドキドキしながら書いた思い出深い曲でもあるんだ。 そうなんだ!すごく良いラインナップだろ?本当にラッキーだと思ってる。彼らと一緒に曲を書くことができて、クリエイティヴな関係になれたのは本当に嬉しいことだった。ステレオタイプス、ボイ・ワンダ、ザ・ラナーズ、ダ・インターンズ、もう素晴らしい人たちが一緒に作品を作ってくれたことに感謝してる。今まで地道にさまざまなところで曲を書いて来て、そこから才能豊かなクリエイターたちと繋がって、今に至ってる。幸せなことだよ。 フィリピンだよ。フィリピン系カナダ人。 僕も音楽業界に入るまで、自分はこういうタイプの音楽をやって、こういう歌い方をするのは自分だからで、人種なんて問題にならないと思ってた。でも入ってすぐに気付かされたよ。肌の色がどれだけ音楽業界の中で重要視されるかということを。普通は、ラジオでいい曲が流れてきたら、これは白人?黒人?アジア人?なんて考えないで、いい曲だから買いに行こうって思うよね。音楽業界にいる人は、肌の色は関係ないって口では言うけど、実際に、もっとも重要視される要素の1つだってことは痛い思いをして教えられた。すごく矛盾してるけどね。僕がアジア人だから、僕に対する期待が低かったのも事実だよね。R&B、ポップスをやるとは思ってない。何人か今までもやってきたけどね。ただそんな状況と戦わずに、ただ自分がやれることをやって、彼らが間違っていることを実際に証明していくしかもうないと思ってる。自分の才能で理解してもらうしかない。同時に、みんな僕がここまでできると思ってないから、何倍もの衝撃を与えられるのも事実で、それは逆にありがたいと思う。僕は僕だと証明していくしかない。今はそういう人種の偏見に耐えながら頑張ってる仲間もいるしね。ブルーノだってそう。ファーイースト・ムーヴメントもそう。辛い思いをしたことがないとは言わない。でも、自分は自分だと信じてやっていくしかないと思ってるんだ。他の人の考えや信念は変えられないから。でも、僕は自分の才能を100%出して、成長し続けていくことだけを考えてやっていくしかないよね。 絶対に訊かれると思った(笑)。参ったな。でも、僕がどの曲を1番お勧めするかってことをファンの人たちに知ってもらうためだろ?だったら、頑張って選ぶよ。そうだな、"You're With Me"だね。今はロマンティックな気分で、自分の愛する彼女を大切にしたいって気持ちに溢れてるから。あとは、"Music Of My Life"だな。僕と音楽の関係は、愛する人に匹敵するから。だからアルバムのタイトルにもなってる。(註:「僕の人生の音楽」という訳もできますが、人生で最愛の人という表現「Love of my life」をもじったものがタイトルの意)。僕にとっての全てさ。それと、"Songs About You"も好きだよ。恋をしたら、その子が恋しくても、大好きでも、ケンカしていらついてても、大嫌いになっても、曲を書く。それが僕だから。好きな人ができると、必ずその子の曲ができるからね。曲を書くことができるのって、本当に楽しいよ!何もないところから、1曲完成してしまうなんて、自分でもすごいと思うよ。可能ならば、1曲を作り上げるプロセスで僕の脳がどうなってるか写真を撮ってみたいくらいさ。絵描きの人や彫刻家は想像の中だろうがヴィジュアルで見えるものを形にしていくだろ?でも音楽は、そうやってヴィジュアルで見えるのではなく、聞えてくるもので、それを形にするプロセスって本当に不思議だよね。 この音楽業界に強烈なインパクトを与えたいと思う。オーガストという名前が最高の音楽を提供するソングライターでアーティストだと知られたい。数年以内には、世界をツアーして回りたいし、アルバムもコンスタントに出し続けていきたいよね。3年後に3枚目の作品を出せる状況になってたたら、成功したと言えるし、そうなっていたい。 もちろん!さっきも話したように、ソングライターになろうとは思ってなかったけど、それが切っ掛けでこの業界に入って、それがキッカケで自分の声を知ってもらえるようになって、歌うことができている。アメリカで契約してレコードが出せればと思っていたけど、日本でこうしてアルバムを出すことができるなんて夢にも思ってなかった。だから、何でも可能だということだよね。実感してるよ。自分が大好きなことをやって、それで家族を養えるだけでなく、今まで行ったこともない場所に行けるかもしれないって想像することができだけでも幸せだよ。昔は自分でお金を払って歌わせてもらってたんだから!ショーをするにも、300ドルしかなくても、自分でサウンドエンジニア雇って、ギタリストやピアニストを雇って、残りのお金をショーに来てくれた友達にご馳走しながら歌ってた。それが今、僕はこうして日本の人たちに自分の音楽を届けることができるなんて最高だよ!本当に僕は幸せ者だと思う。どんなに才能があってもチャンスを与えられない人だっているわけだから。日本でみんなの前で歌うのを楽しみにしてる! 発売日:iTunes Japan先行/9月26日 一般発売/10月3日
レーベル:Manhattan Recordings
品番:LEXCD12019
フォーマット:データ、CD
価格:価格:データ/1,500円 CD/2,310円

●トラックリスト
01. You're with Me
02. After the Rain
03. Wreckless
04. Kill Me
05. High
06. Music of My Life
07. Be Mine
08. Right Back
09. Better Than Me
10. Here Comes Trouble (feat. Busta Rhymes)
11. Open
12. Geronimo
13. Songs about You
14. Unconditional (Bonus Track)
15. One to Love (Bonus Track)

■iTunes
http://itunes.apple.com/jp/preorder/music-my-life-bonus-track/id557512612