- 久々ですね、10年ほど前は日本に長いこと滞在して、クラブやレコード店でよく会いましたよね。あれからだいぶ時間が経ちましたが、2005年でレーベル<IBADAN RECORDS>設立10年だったと記憶してるので、今年で17年目ですか?間もなく20年を迎える名門レーベルですね。20年近くもレーベルを運営し、しかもトップレーベルとして世界に認められているというのは、自分なりにどのあたりに理由がありそうですか?まず、そのあたりから伺ってみたいと思います
そうだね、あれからいろいろシーンも変わったけど、僕は愛と情熱、献身的で熱心な気持ちでレーベルを運営しているよ。それは自分にとって仕事ではなく、心から大切なライフスタイルなんだ。息がある限り続けるつもりだよ。
- かつての<IBADAN>のイメージは、アフロやラテンなどスピリチャルなディープハウストラックが多く、当時のNYハウスの基盤を支えたのはもちろん、いまだ伝説、かつカッコいいと思えるトラックが多いのですが、明確に現在のレーベルイメージとはちょっと違いますよね?どういったターニングポイントがあったのでしょうか?
僕は成長を信じているんだ。新鮮なアイデアが無いと、ある特定の音楽スタイルは繰り返しになると思うんだ。個人的には自分の成長は自然だったと思うよ。転換があったのは後の"Sandcastles"、" Timbuktu"などにも系譜としてつながった、2002年頃にリリースした"Deep Penetration"あたりからかな。
- しかも、現在はベルリンを活動拠点としてますが、なぜベルリンに?今となっては、クラブミュージック発信拠点のようになっていて、あらゆるアーティストがベルリンで活動してますが、そのブームの前にいち早く拠点を移しましたよね?
うん、ブームの前にこっちに来たね。ベルリンのシンプルさが良いと感じたことが理由だよ。芸術的にある種の自由を与えてくれるし、とりわけ素晴らしいナイトライフがある。もちろんNYも恋しいけど、今はベルリンがホームだよ。
- ベルリンでのレーベル運営や、制作活動は当時のNYの環境と全く違いますか?いい部分はどんなところでしょうか?制作環境としてはベルリンの方がいい?
そうだね。クリエイティブな意味ではベルリンの方が自分にとってベターだと思う。いくぶん静かだけれど、NYに居た頃よりもっといろいろなことを考えられるよ。混雑していないし、予期しないところからインスピレーションがやってくる、良い24時間の都市だ。
- そんな中で、今回のニューアルバムリリースというかたちになりましたが、ソロアルバムというのは実に久しぶりですよね?前回のアルバムはいつでしたか?
最後のアルバムは2001年のKerri Chandlerとのアルバム『Saturday』で、これは今でも誇りに思うプロジェクトだね。
- なるほど、そんなに久々なんですね。今回のアルバムを聴くと、あなたがやっている最近のミニマルやテクノといった路線というよりも、むしろディープ/エレクトリック・ハウスだなという印象を持ちましたが、今回のコンセプトは何でしょう?
コンセプトは感情、雰囲気、正直で前向きな気持ちと共に快適にいろいろな世界への架け橋となる瞬間の断片を表しているんだ。深く、ビジョンに囚われることがない場所、シンプルな美の領域。これが僕が行きたい場所....みたいなところかな。
- しかもフィーチャリング・アーティストの色がそれぞれに出てる気がします。とりわけ日本のベテランDJ、KATSUYA SANO氏と4曲ほど一緒にトラック作ってますよね?なぜ、KATSUYA氏と一緒にトラックを作る経緯になったのでしょう?彼との交流は古いのでしょうか?
KATSUYAは母親が違う兄弟なんだ(笑)。お互い古くからの知り合いで、彼がNature Soulだった時に一緒に仕事したんだ。この時はKATSUYAがベルリンに来て一緒に楽しみながらクールな曲を作ったよ!
- えっ!一瞬聞いていけなかった事かと・・(笑)。では、もう気心知れた同士でのコラボトラックはどういった作業で作られたのでしょう?イメージはどちらから?
どちらのイメージと言うよりも、KATSUYAと僕は色々違った方法で曲に貢献したんだ。僕らが一緒の時はいつも良いグルーヴがあるし、やはり曲を作っている時に楽しんだってことが1番だね。
- KATSUYA氏とのトラックは、アーリー90sのフレーバも感じますが、このあたりはどうでしょう?
自分の人生経験の様々なポイントから影響を受けていると思う。Yes!90sもどこかに入っているね。
- <IBADAN>からシングルをリリースしているギリシャのQUELLや、ベルリンの女性アーティストASCHKA、そしてイタリアのALESSIO PAGLIAROLIなども参加してますが、彼らを抜擢した理由はどういったところでしょうか?(ALESSIO PARAGLIAROLIはフィーチャリングでなく自身名義楽曲JEROME REMIX収録)
なにより、彼らは才能ある未来のアーティスト達だと思っているんだ。誰かの成功の発展に関与するのは常に特権であり、僕にとっての喜びだよ。
- 先程も触れましたが、それぞれのアーティストの持ち味も出てますよね。トラック制作時には、フィーチャリングのアーティストの独自の色もある程度濃くみたいな意識はアルバムを総括するあなたの中であったのでしょうか?
というよりも、それはむしろ、それぞれのアーティストに具体的なアイデアがあって、彼らから何か新しい物を引き出そうとしつつ、コンセプト全体の雰囲気にとどまるようにした結果だと思うよ。
- ところで、HIDEO KOBAYASHI氏とのユニットNAGANO KITCHENも同レーベルからですが、今回のアルバムを<Apt. International>から出すことになった経緯は何だったのでしょう?
ニューワールドレコーズの素晴らしいスタッフが好きなんだ。みんなのチャンスにつながる、良い芸術的コミュニケーションがあるよね。
- NAGANO KITCHENも現在アルバムなどを進行中と聞きましたが?
新しいNAGANO KITCHENのアルバムは完成して、今はMix downをしている。リリースは2013年2月か3月を予定しているよ。
- どんなイメージのアルバムになるでしょう?
粋な Deep Cho-Yabai Techno!
- HIDEO KOBAYASHI氏はじめ、他アーティストとのユニットやショットでの共演も多いですが、ソロプロジェクトも含め、現在進めているプロジェクトなどはありますか?あと、レーベル<IBADAN>としての今後のリリース予定や、傘下の<UK PROMOTIONS>、<AVOCADO>などのリリース予定などもお願いします。
Computer Madness- Steve Poindexter(Thema), Smoke and Mirrors by-Ben Simms (Drumcode)とか、いくつかエキサイティングなJerome Sydenhamリミックスがある。 AVOCADOは2月、UKPは1月末に準備ができているし。自分でもすごくワクワクしてるよ。
-今後、共演してみたいアーティストやこのアーティストは聴いて欲しいみたいな人はいますか?
テクノDJならR?dHead、ハウスDJならEvan Baggsを推薦するね。僕はこういうことに関してはいつも正しい(笑)。本当だよ!
- リリースパーティーなど。日本での公演の予定はありますか?
まだ、わかないけど行きたいね。
- また日本のオーディエンスを熱狂させて下さい。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
久しぶり。そして会えなくて寂しいけど、近いうちに会えることを願ってるよ。ポジティブに、そして楽しむ事を忘れないで。人生は短いのだから! 愛をこめて Jerome Sydenham(original party boy)
- Release Info
アーティスト: Jerome Sydenham
タイトル: Animal Social Club
発売日: 2012年12月19日
フォーマット: 12cm CD, Digital
品番: APTI-4019
レーベル: Apt. International
価格: 2,145円(税抜)
●Track List
01. Encore/ Jerome Sydenham & Katsuya Sano feat. Argy
02. Free Love/ Jerome Sydenham & Katsuya Sano
03. Bozak/ Jerome Sydenham feat. Quell
04. Time Wave Zero/ Jerome Sydenham feat. Aschka
05. Seed/ Jerome Sydenham & Katsuya Sano
06. Depper Love (Jerome Sydenham Remix)/ Alessio Pagliaroli
07. Mud Sweat/ Jerome Sydenham & Katsuya Sano
08. War of Attrition/ Jerome Sydenham
09. Runaway Girl/ Jerome Sydenham
10. Avenue A/ Jerome Sydenham feat. Aschka
11. The Blacksmith/ Jerome Sydenham
12. The Road/ Jerome Sydenham
■リリースページ
http://www.clubberia.com/music/releases/4157-Animal-Social-Club-Jerome-Sydenham/
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