INTERVIEWS
>

Quadra aka Hiroshi Watanabe & Shinya Okamoto

- まずは、Quadra aka Hiroshi Watanabe復活ライブの経緯について聞かせてください。

Hiroshi Watanabe:
SHINYA君との関係は正に、〈Foureal〉のこの3年間の中で構築してきた信頼があり、僕はレーベル第1弾のリリースから携わってきています。
レーベルを始めるに当たり、SHINYA君からその心意気やとても強い意志をお話を伺う中で、僕もとても強い共感を憶えました。そんな3年間を経て、SHINYA君がある時に耳にしてくれた僕がNYCに行く直前1994年の作品でQuadraの未発表曲がありまして、その作品は、一時期だけ僕のサウンドクラウドにも上げていた事もあるのですが、、とても気に入ってもらえて、〈Foureal〉からQuadraの未発表作品を出せないか?とお話を頂いたんです。話はそこからです。
僕の中では、もしどうせQuadraとして今、作品を出すことができるのであれば、新たな気持ちで作り上げた方がより自分の中でしっくり来るし、出すタイミングとしてそろそろ良い時期なのかな?と考えられる切っ掛けを作ってもえた気持ちです。ライブをするということは、作品がありきでの話ですからね。「Mystics」への依頼は、昨年に続いてのことですからとても光栄に思っております。

 
-「Mystics」ではどんなプレイをされる予定ですか?

Hiroshi Watanabe:
全てを新曲でと言いたいところではありますが、復活させたばかりのプロジェクトですので、今回の〈Foureal〉からのリリースする作品を織り交ぜながら、昔のQuadraの作品もぜひ「Mystics」ではプレイしたいと思っています。僕は、過去のQuadra作品の中で1番思い入れのある「SKY」という曲があるのですが、その「SKY」を2013の今、「Mystics」の持つ素晴らしいシチュエーションでプレイをしたいとも思っています。自分が1番その状況を堪能したいと思っているかも知れないです。それくらいにワクワクしています。
- 昨年の「Mystics」にKaito aka Hiroshi Watanabe名義で出演して頂いた際は、熱い気持ちがこもったライブに感銘を受けました。感想などあればお聞かせください。

Hiroshi Watanabe:
多くの方がご存知の事と思いますが、イベントの当初の予定ではビーチでの開催という事もあり、僕の出演形態は完全にアンビエントライブという事で話も決まって動いていましたし、準備もしていたんです。ただ、天候不順の中でSHINYA君たちがそれでも懸命にイベントを成立させるべく場所を急遽変更し、野外イベントとしてはなかなかあり得ないであろう場所替えを実現させての「Mystics」だったわけですからね、出演する側としてもそれはとても熱い思いが込み上げて来るわけです。そんな中でSHINYA君からもし良ければアンビエントではない、ビートのあるライブ形態でお願いをできないかと出演時間数時間前に言われたのですが、僕もその時は、それが正に今の正解だろうと思ったんです。
SHINYA君はずっとお客さんをもっと踊らせたいし、楽しんで貰いたいとしきりに僕に伝えていましたから。僕の中ではその思いに応えたいという一心でプレイした渾身のライブだったと今でも覚えています。
 

-「Mystics」主催Shinya Okamotoについて、Kaitoさんから見て彼はどういったアーティストですか?

Hiroshi Watanabe:
若さとは反比例するかの如く誠実な人間で、さらには男気が滲み溢れるとっても貴重な存在に思っています!僕が彼の年齢の時にそれだけの人間性を持っていただろうかと恥ずかしくなる位に誠実さは極まってます。故に完全にSHINYA君には安心感と信頼を持っていますから。彼のパフォーマンスの中にはそれらの全てが物語っている様にいつも感じていますよ。SHINYA君のDJメチャクチャ格好良いですよね。
 

- Quadra aka Hiroshi Watanabe名義でのリリース予定はありますか?また、これからライブでの活動をする予定はありますか?

Hiroshi Watanabe:
そうですね、せっかく新生Quadraとして復活をさせてますからね。もっと作品は作りたいと思っていますよ。ライブ活動はもちろん、楽曲がより充実していけば当然ですがやって行きたいですよね。僕もせっかく名義を分けて活動をしてきているわけですからね。それぞれのプロジェクトでしっかりと自分の中での満足を噛み締めたいといつも思っています。
 

- Kaitoさんの1番好きなシンセサイザーは?

Hiroshi Watanabe:
そんな難しい質問しますか(笑)?もうそれは、1つとはなかなか言い難いですね。それこそ昔に集めていたアナログシンセはかなりありましたからね。
それでも強いてと言えば、ArpかSequential Circuitsになるかなぁ、、、もちろん日本のシンセサイザーは最高です!それも各会社が出した名機には独特の音色があり、見事にその音色の違いはハッキリしていますからね。ことダンスミュージックにおける日本のシンセというモノがどれだけ重要なポジションを持ち、必要とされているかはもう誰もが分かっていることですよね。そういう意味で僕らが誇るRoland、KORG、YAMAHA、シンセのブランドとしてこの3つはとてつもないです。僕はKawaiのシンセも持ってたけどすごかったですよ。AKAIは、サンプラーという部門では一世を風靡し不動のポジションを長年貫いてきましたしね。話を戻し、ArpやSequential Circuitsのことですが、、、この会社の音というのもまた強烈な個性の塊です。好みもあるかも知れないですけど独特の乾いた音が特にArpはたまらないです。なぜか僕は、Moogにはそれほどハマらなかったんです。何故かは分かりません、、、単に好みなんでしょうね。話が終わらなくなるのでこの辺で止めます。
- Shinya Okamotoさんに質問です。現在自身がA&Rを務める〈Foureal Records〉ですが、こちらはどういった経緯で始めることになったのですか?

Shinya Okamoto:
DJを始めて5年くらい経った時、僕は環境にも恵まれて毎週の様にDJさせて頂いてました。当時Cross LinkやReveal、Dialなどオーガナイズして好きなアーティストと共演したり毎日が充実してました。
しかしある時自分の活動を振り返った時、形に残る物が1つもないことに気が付きました。もちろんパーティーという形に無い物だとしても、人々の記憶に残ればそれで良いと思って活動して来たわけですが、やはり人はいつか素晴らしい体験だったとしてもいつしか記憶の片隅に追いやられてしまう。
自分が取り巻く環境も日々変わって行く中で、何か形に残したい、そう思う様になりました。そしてもう1つは欧米のアーティストを招聘してパーティーを行う、そういう在り方が決して悪いわけではないのですが、日本でも素晴らしいアーティストは、たくさんいるのでそういう人たちにフォーカスが当たる様、そして世界的に見ても日本人にしかできない表現があると信じてたのでそういう場を少しでも提供できるようにするためにはどうすれば良いかと考えた時「日本人による日本発信のレーベル」だったわけです。それを行う事で自身の形に残したいもの、そして存在意義とリンクしたので発足させようと思いました。
-〈Foureal Records〉は、常に日本の良質なアーティストを発掘し〈Foureal Records〉からリリースをしたり、「Foureal Records Show Case」で実際に現場でライブやDJをしてもらい、リスナーに届けるということを行っているかと思いますが、今注目しているアーティストはいらっしゃいますか?Kaitoさんの注目しているアーティストもいらっしゃいましたら教えてください。

Hiroshi Watanabe:
誰!とはハッキリ言えないですね。ホントに素敵な音を作っている人はたくさんいますし、今という時代の中でそれらの素敵なアーティストと出会えるかというのも人生の中での運にも関わっていますよね。
SHINYA君の様な方がこうして頑張ってそれこそ良い!と思える作品、アーティストを常に探している訳ですからね。僕自身、1人の制作者、創作者に過ぎません。

Shinya Okamoto:
今まで〈Foureal Records〉からリリースしてるアーティスト、Hiroshiさんはもちろん、Naohito Uchiyama、Birdcage、Shohei Takata、Beople、Atsunori Murataなど彼らの音楽性は常に注目してます。
たくさん素晴らしいアーティストはいますが、Kuniyukiさんの「音楽感」はいつも驚かされますし、人間的にも尊敬してます。「Mystics」に出演するMiruga君やDublee君の楽曲も素晴らしく自身でも良くプレイさせていただいてます。もちろん、他にもたくさんいますけど、全員名前を出していくとキリが無いのでこの辺で止めておきましょうか。
 

- 音楽と共に生活をしているように見えるお2人ですが、ホームリスニングではどんな音楽を聴いていますか?また、注目している音楽はありますか?

Hiroshi Watanabe:
僕は家族とだったり、夫婦でということで言えばまた違うジャンルの音を聴きますよね。ロックもクラシックもジャズも現在のポップ(国内外問わず)と括られているもの以外は何でも。
素直に言えば、新しい音楽を常に発掘したいという気持ちって正直あまり無いんです。それは発信する側にいるせいなのでしょうか?それとも自分がそうなのか?分かりません。
もちろん様々な音楽からの刺激は必要です。だけどもっと言ってしまうとそうしている時間が無いという事もあるんですね、、、自分の音に向き合っている時間が割合として多く占めています。これは仕方が無いことでもあるんです。生きる手段として音楽がありますから。自分と向き合っていることを辞められないんです。もしリフレッシュしたいとなるともしかすると僕の場合は他の音楽というよりはもっとシンプルに日常の中に別の何かを求めているのかも知れないです。質問に対しての答えになってないかも知れないですが。


Shinya Okamoto:
家で1人で過ごす事が多いのですが、音楽を聴く時は季節、時間帯、天気、など様々なシチュエーションに合わせて音楽を選びますが。エレクトロニカ、ポストロック、シューケイズなどが多いですね。
Ulrich Schnauss、Radiohead、Sigur Ros、Bjork、Bords of Canada、Deepchordなど中心にリラックスしながらよく聴いてます。ダンスミュージックでもDial、Smallville、Meanwhile界隈の「聴く」タイプのものもよく聴きます。
 

- お2人の今後の音楽の活動について教えてください。

Hiroshi Watanabe:
変わらず、さらに創作活動をし続けていきたいです。今年はともかくリリースが多く重なる年となりそうです。どうぞ宜しくお願い致します!

Shinya Okamoto:
〈Foureal〉からもうすぐ9th リリースが発売されます。そして10th リリースは新生Quadraによる楽曲が発売されます。とても素晴らしい楽曲になっていますので是非多くの方に聴いていただきたいですね。年内中にはコンピレーションCDも予定しています。レーベルとしては素晴らしい楽曲に出会い次第随時リリースして行きますのでよろしくお願いします。
 

では皆様「Mystics」でお会いしましょう。ありがとうございました。

■7/20(Sat)~7/21(Sun) Mystics at Asagiri Heart Land
http://www.mystics.jp/