INTERVIEWS

Johnny Fiasco


あなたに最も影響を与えたアーティスト/DJは誰ですか?

私に最も影響を与えたアーティスト/ DJがArmandoです。Roland TB-303とドラムマシーンリズムやグルーブを活き活きと、かつあれだけのパワーで奏でることができるのは、彼の他に誰もいないと思います。

※ Armando
1996年に弱冠26才で他界してしまったシカゴアシッドハウス界の最重要アーティストと言われている。Armandoも使用していたRoland TB-303は、シカゴのハウスクリエイターDJ Pierreが楽曲製作の際にベース音源として使用したことで一気に普及したシンセサイザー。彼はフィルターの設定を全開にすることでできあがった奇妙なサウンド最大限に活かした曲をPhuture名義で『ACID TRAX』としてリリース。既存のハウスミュージックのフォーマットからは大きく逸脱する作品となったが、結果的にこの作品はダンスミュージックシーンに絶大な衝撃を与え、アシッドハウスという1つのジャンルを確立したと言われている。その後もハウスはもちろん、テクノなどで使用アーティストが増えていき、ダンスミュージックに欠かせない楽器の1つとなる。


シカゴでおすすめの場所はどこですか?

”Gramaphone Record”です。

※ Gramaphone Record
シカゴの地元住民の音楽好きやDJには欠かせないと言われているレコードショップであり、ここで交わされるDJやアーティストの交流は古くからシカゴのシーンに多大な影響を与えてきたと言われている。

- ここで先日、”Gramaphone Record”を実際に訪れたAiko Moritaさんのレポートを紹介しよう。

シカゴ滞在中は週に2回程度”Gramaphone Records”に通っていました。”Gramaphone Records”は昔からシカゴのクラブシーンを支えるレコードショップとして地元のDJから厚い支持を受けていると私は強く感じました。
基本的にはオールジャンルの音楽を取り扱うお店ですが、特にシカゴハウスを豊富に取り扱っており、新旧問わず地元でしか見つからないようなものも置いてあり、シカゴハウス好きには必ず訪れてほしいレコードショップです。
スタッフの方々もとても気さくで、何か探しているものはないか必ず聞いてくれたり、オススメのレコードを紹介してくれたり、何時間いても苦にならない素敵な空間でした。
またスタッフの1人、Michael SerafiniはDerick Carterと共に”Smar Bar”で毎週日曜日に開催されている「Queen!」というパーティに出演しているのですが、オールヴァイナルのプレイは本当に上手くてかっこよく、新旧ジャンル問わず選曲するプレイスタイルには大きな刺激を受けました。
また、若手DJも「Queen!」には出演しているのですが、フロアが盛り上がってくると、Michaelは自分のプレイ時間にも関わらず、あえて若手のDJに交代し、あれやこれや手ほどき、アドバイスをしながら現場を教えこむ姿を見て、自分たちのパーティーやシーンを若手に伝えて行こうという思いがしっかりと伝わってきました。
”Smart Bar”のパーティ以外にも”Evil Olive”で行われている「Boom Boom Room」は人気のパーティのようで、コアな客層はしっかり残っているようでした。滞在中はSadar Baharのパーティもあり行きたかったのですが、日本と違い治安レベルの格差が非常に激しい土地の上、彼のパーティは地元の中でもそのエリアに詳しくないと辿り着けないような場所で開催されていたため、泣く泣く断念しました。
近年ではクラブではなくウェアハウス、ロフト形式のパーティが多いため、知り合いがいないとなかなかそういったローカルなパーティに辿り着く事は難しく、アンダーグラウンドな音楽を守るための手段としては上手く機能しているようですが、外からやってくる人にとってはかなり大きな壁のように感じました。しかし、ジャズ発祥のこの土地では、道端でセッションが行われていたり、手軽な料金でジャズクラブに入って楽しめる環境があったり、無料のジャズフェスティバルが盛んに開催されていたりします。またKanye WestやR Kelly、Lupe Fiasco、Chief Keefなど昔から今まで多くのヒップホップ、R&Bアーティストを輩出してきたこの土地では、多くのラジオステーションでヒップホップ、R&Bの番組が放送されています。そういった番組では、ガラージュやディスコが流れているなど、様々なローカル音楽が身近に感じられる環境がそこにはありました。

作曲する上で最も重要な機材は何ですか?

作曲する上で最も重要な機材はスピーカーだと考えます。なぜなら昔と比べてDTM機材はとても進化し便利になりました。作曲するスピードは早くなり、デジタル化された楽器の音は高い音質でたくさんあふれている。私はUrei 809、それとTannoy Reveals、Airmotiv 5のスピーカーを使用しています。

近々新曲のリリースはありますか?また最近リリースされた曲は何ですか?

〈Guesthouse Music〉から最近リリースされた曲とは別の曲の契約につい先日サインしたばかりです。他には〈Chicanotrax〉からリリース予定の曲を制作中です。

あなたが過去に関わったことがある日本人のアーティストやDJは誰ですか?

ヒデオ(Hideo Kobayashi)とはフランスのレーベル 〈PAMPLEMOUSSE PRODUCTIONS〉のレーベルメイトとして1990年後半から親しい関係にあり、アメリカ西海岸のレーベル 〈OM Records〉のレーベルメイトでもあります。今、ヒデオと制作中の楽曲は少しテッキーですが、ディープで良い作品となると思います。また来日するきっかけを与えてくれたケンジ(Kenji Endo)とも新しいプロジェクトに取り組んでいます。どちらも楽しみにしていて下さい。

- アメリカ西海岸の〈OM Records〉は日本にもたくさんのファンがいるレーベルである。その拠点であるサンフランシスコの現状に関するAiko Moritaさんのレポートをここで紹介しよう。

サンフランシスコには2カ月弱滞在しました。滞在期間中はその地で生まれた音楽、特にハウスに触れたいと思っていたので〈Salted Music〉のレーベルパーティ(Miguel Migs、Julius Pappなどが出演)やMark FarinaのMashroom Jazz名義のルーフトップパーティ、〈Fatsoul Records〉レーベルオーナーDJ Saidが出演するパーティ、Fred EverythingのバースデーパーティやDavid Harnessが出演するパーティなどに行きました。ヴェニューは昔から良質なハウステクノパーティを開催している”The Mighty”、40年以上サンフランシスコでダンスミュージックを支えてきた”The Endup”を軸に足を運んでいたのですが、HaightストリートやMission地区に点在する小さなクラブはもちろんのこと、サンフランシスコではクラブ以外にも小さなバーや”Phoenix Hotel”の中庭、”Harlot Hotel”などでもパーティが盛んに行われていました。
近年、サンフランシスコ市内のクラブシーンは成熟、コマーシャル化している傾向でヒップ、アンダーグラウンドなエリアとしてオークランドが注目され始めているようでした。”Bench and Bar”や”The New Parish”、”SomaR Bar”などでも地元のローカルなハウス、ヒップホップ、R&Bのパーティが行われているようです。

カルフォルニア州ではアルコール飲料の販売は午前2時までと決まっており、クラブも例外なく2時まで販売となるため、ほとんどのクラブは2~4時までの営業が多く、それ以降は”The Endup”や小さなクラブにお客さんが流れる傾向にありました。日本同様、EDMやダブステップなどのコマーシャルな音楽が若者には人気のようで以前に比べてアンダーグラウンドなハウスシーンは小さくなっていると聞きましたが、依然としてSalted(Miguel Migs、Julius Papp)、David Harnessの人気はとても高くファン層が厚く盛り上がっていました。

現在、ニュースや新聞でも報道されている通り、サンフランシスコの経済は回復傾向にあり、再び日本企業が不動産投資しはじめるなど景気の回復がダンスミュージックシーンに良い影響を与えていると言っても過言ではないかもしれません。

- 最後にJohnny Fiascoから日本のファンに向けてのメッセージです。

日本は常に私のお気に入りの場所です。今回来日して、みんなに会えることをとてもとても楽しみにしています!



- Event Informtion –

11月1日 中目黒”SOLFA”
http://www.clubberia.com/ja/events/215209-W-Legendary-from-Chicago/

11月2日 岩手” Players Café”
http://www.clubberia.com/ja/events/215437-colette-SP-Johnny-Fiasco-Hideo-Kobayashi/