INTERVIEWS

JAZZ COLLECTIVE

 
- 核としてジャズ(JAZZ COLLECTIVEの場合は主にイギリスの70年代から80年代のブリティッシュジャズファンク)というものがあって、それに対してハウスやテクノ、ウエストロンドンのブロークンビーツだったり、ダブステップ、民族音楽などいろいろな音楽を掛け合わせる、クロスオーバーさせる、というのがコンセプトですね。 -
 
- 今回リリースされた『COLLAGE』の雰囲気はファーストに戻ったような印象を受けました。ただ、当時よりクラブジャズという解釈が広がったのか、もっと自由になったとも思いました。実際に作られている方からするといかがでしょうか?

ファーストは、バンドとして活動してきた8年と、コンセプトを練った期間2年を合わせた10年間の集大成で、できるだけ生音を使ってアプローチしようというコンセプトがありました。シンセも入れずにローズピアノや生ピアノを使い、ホーンにもエフェクターなどはほぼ使いませんでした。
セカンドは、サウンド面ではファーストと比較するとよりエレクトリックピアノが多くなりアナログシンセやストリングス、TR-626(リズムマシン)も登場しました。アルバム全体としてはJAZZ COLLECTIVE初のヴォーカルトラックにも挑戦しオリジナル曲、カバー曲がそれぞれ生まれました。
今作は、確かにファーストに近い雰囲気にも戻りつつ、今までできなかったような音や音楽の幅をさらに広げた作品になったと思います。

 

 
- 今作を聴いた時に、ジャズ特有の夜っぽさがあまり感じないというのが率直の感想でした。それには理由があると思いますか?

JAZZ COLLECTIVEのサウンドで先ず象徴的なのは、トロンボーンとテナーサックスの響きですね。そして、フェンダーローズ等のエレクトリックピアノ。
それから全体のサウンドに1番影響してるのはウッドベースではなくエレクトリックベースを使っているところかもしれないです。2000年代初期のクラブジャズ系のバンドは、ウッドベースを使うバンドが多かったんですけど、僕らのバンドのイメージは70年代中頃から80年代初期のイメージが強かったのでエレクトリックベースを採用しました。最初にバンドを組んだ時は7人編成で、ギターとパーカッションもいたんですよ。
現在は5人でよりジャズのクインテットの編成に近くなったんですが、どこかでギターの音とかパーカッションが鳴っているイメージで曲を作っているんですよね。だからいわゆるMiles DavisやArt Blakeyの時代のビバップとかハードバップのジャズのサウンドとはとはかなり違って聴こえると思います。
どちらかと言えば、Morrissey Mullen、Freeezなんかが最も近いと思います。

  - 頭の中でギターとパーカッションが鳴っていると仰っていましたが、実際に両方入れようとはならないのでしょうか?

実は4曲目の「DON'T CHANGE YOUR WAYS」の中で、聴こえるか聴こえないかくらいの大きさでギターを入れているんです。よく聴くとわかるんですけど、あくまでイメージの補強なので前面には押し出したくないし、できれば入れたくないんです。聴いている人がどこかで感じてくれたら良いというか。ギターをリアルな感じに入れてしまうと普通の曲になってしまうので、足りないくらいがちょうどいいんですよ。できるだけミニマムに、シンプルにしたいと思っているので。

  - イントロと間奏曲とアウトロを構成に入れていたので1枚の作品として作られたことが強く感じ取れました。

9曲目の「Powers of Ten」という曲があるんですが、それのコード進行に基づいてイントロとピアノの曲を作ったんです。だから違う曲を聴いていても、断片的に同じコードを聴いているので、時間の経過やストーリーが進んでいくにつれてどんどん音の経験が増えていくんです。聴き進めて行くとどこか懐かしいような感じになるのは、前にその音の経験をしているから。そういった仕組みがいろいろあって、アルバムの最後まで聴いたらまた頭から自然に聴けるような作品になっています。

  - JAZZ COLLECTIVEの根底にあるもの、メンバーの中で共通意識として持っているものは何なのでしょうか?

核としてジャズ(JAZZ COLLECTIVEの場合は主にイギリスの70年代から80年代のブリティッシュジャズファンク)というものがあって、それに対してハウスやテクノ、ウエストロンドンのブロークンビーツだったり、ダブステップ、民族音楽などいろいろな音楽を掛け合わせる、クロスオーバーさせる、というのがコンセプトですね。

   
- その曲は中心からシンメトリーになっているんですよ。すごくよく作られているな、と僕も関心します。耳で聴く建築というか、非常に美術的な要素があって映像が浮かんできそうな感じです。- 
 
- メンバーの誰がこういうジャンルが好き、というのはあるのでしょうか?

ありますよ。今回のアルバムを聴いて頂いたら分かると思うんですけど、メンバーは全員作曲家なんですよ。なので、それぞれの作品に作曲したメンバーそれぞれの個性が反映されてて、この人はこういうの好きなんだなーってわかると思います。割とシンプルな作りが好きな人もいれば、すごく複雑な構造の曲を作る人もいます。

  - ファーストの話になってしまいますが、「VISIONS OF PHASE」ってほとんどテクノじゃないですか?こういうのも作られるんだとびっくりしました。

あれは、僕が作曲しました。JAZZ COLLECTIVEを始めた初期の頃にスタジオでJeff Millsの音源の8小節くらいをかけて、それから受けたインスピレーションでセッションしてたんです。ライブでも毎回違うテーマでやったり、リアルタイムでリミックスしていく感覚で演奏していました。
それをアルバム用に再構築したものが「VISIONS OF PHASE」です。

  - 今作では個人的に「Powers of Ten」と「Love Is the Triumph」がすごく好きなんですが、この2曲はどなたが作曲されたのでしょうか?

ベースの田中啓介が作りました。彼は建築家のような曲の作り方をするんです。作りがすごくがっちりとしていて。今作の「Isis」も彼の曲なんですけど、その曲は中心からシンメトリーになっているんですよ。すごくよく作られているな、と僕も関心します。耳で聴く建築というか、非常に美術的な要素があって映像が浮かんできそうな感じです。
今作のストーリーは「Powers of Ten」から広げていったんですが、その曲名は70年代に作られた10分ほどの短編映画と同じタイトルなんです。その映画は、最初ピクニックのシーンで始まって、レジャーシートに寝転んでいる人が映っていて、そこからだんだん引いていって空から、宇宙からそれを見下ろすんです。そこから今度はどんどん近づいていって、その人間の中に入り込んでいき細胞まで接近するんです。 宇宙から見た銀河系と体内の細胞の構造がよく似たデザインだったりするんですね。
JAZZ COLLECTIVEは5人編成なんですけど、この曲ではベースとドラムの2人というミニマムな編成で演奏しました。でもやっている音楽の振り幅はマックスに達していて、それを基盤に拡大していくようなストーリーでアルバム全体が構成されているんですよ。

  - 今回カバー曲が3曲ありますが、これは廣瀬さんがセレクトされたのでしょうか?

そうです。

  - カバーする時っていうのはやっぱり思い入れのある曲を選ぶのですか?

もちろん直感的に良いなと思う曲だったり、この曲好きだなというのは入り口としてありますが、カバーをやる意味と言うのを先ず考えますね。
5曲目のDaisy Maeは 昨年の8月に亡くなったGeorge Dukeの作品で、ブラジルのトロンボーン奏者Raul de Souzaのために書かれた曲です。次の6曲目Night BreezeはRonnie Laws ‎のFeverに収録されている曲なのですが、今年の5月に亡くなったCrusadersのトロンボーン奏者 Wayne Hendersonが、実はこの作品のプロデューサーだったんですね。どちらも、もともと好きな作品でレコードも持っていたんですが、今回はそれぞれの巨匠への追悼の意を込めてカバーしました。アレンジ面で、Daisy Maeはオリジナルに比べ、よりシンプルに、そしてこの曲の持つブギー感をより強調した感じに仕上げました。Night Breezeでは、オリジナルはスローな曲なんですが、オリジナルとは全く違ったアプローチでテンポも早めて1981年頃のブリティッシュジャズファンク的なイメージでカバーしました。
その他にカバーする理由としては、 僕自身がこんな感じのバージョンの音源があったら欲しかったなというのももちろんあります(笑)。しかし単純に流行っているからとかみんなが知っている曲だからという理由だけではカバーするまでには至りません。オリジナルの持つ音楽的なことや音楽の背景にある様々な事柄と、今や未来の何がリンクしていくかという問題をクリアして初めてカバーする意味があると思います。

  - カバー曲って、原曲を知っていると好き嫌いがはっきり分かれると思うんですけど、演者さんの意識としては難しいと感じるのでしょうか?

やり始めたら信じるしかなくて。いざ録音したり演奏したら自分たちの手を離れて行くものなので、あとは聴く人の好きなように評価していただくのが良いと思いますよ。

   
- 16世紀の教会音楽も演奏することがあったんですけど、その視点から今の音楽を見ると全て繋がって見えるんですよね。そこにジャンルも何もないというか、全て1つの音楽という感じでしかないんですよね。-
 
- 廣瀬さんは昔から今のような音楽をやられていたのですか?

学生の頃は主にクラシックを専門に勉強していましたが、その時からジャズとかブラジル、ラテンの音楽は好きでレコードやCDを買っていました。クラシックの人を集めてジャズのバンドをやったりもしました。いろいろな転機があって本格的にジャズを始めるようになった頃、渋谷"The Room"にも行くようになりました。そこで沖野修也さんに出会ったのがすごく大きかったです。いろいろな曲を教えて頂いたりして。それからしばらくした2002年の終わりくらいにPatrick ForgeがDJで"The Room"に来たんです。Patrick Forgeは、いわゆるダンスミュージックじゃない曲とかもバンバン入れながら、本当にいい流れで、みんないい顏して踊っていて、めちゃめちゃハッピーなパーティーだったんです。それがいい刺激になって、自分でもこういうことがしたいなと思いました。自分は楽器ができるので、まずはバンドという形にしようというところから始まりました。そこからどんどんのめり込んでいった感じです。

  - すごい幅広いですね。

僕がクラシックでやっていた音楽は、18〜20世紀中心で、それより前の16世紀の教会音楽も演奏することがあったんですけど、その視点から今の音楽を見ると全て繋がって見えるんですよね。そこにジャンルも何もないというか、全て1つの音楽という感じでしかないんですよね。だからクラブでみんなが聴いているような音楽を聴いても、そこはシンプルにクラシックやジャズを聴くときと同じように、ただ音楽として聴いているんです。もちろん様式とかクオリティーは大事ですけど、音楽を聴いたり演奏したりする時は、シンプルにただただ音楽として捉えています。

  - 僕たちの立場はカテゴライズせざるを得ないわけですが、踊れるジャズ、クラブジャズというカテゴライズされることについてはどうお考えでしょうか?

確かにそのようなカテゴライズをされることが多いのですが、バンドを始めた頃は2000年代初期の JazzanovaやTrüby TrioがやっていたようなDJが作ったフューチャージャズや、ウエストロンドンのブロークンビーツのトラックを生バンドで表現したかったんです。実際にJAZZ COLLECTIVEを作るときに参考にしたのはクラブジャズのバンドでは無く、TOKYO JAZZ MEETINGというThe Roomという週末のDJイベントでした。特にその深夜1時から3時の空気感を参考にしました。 そして現在はアシッドジャズ以前のブリテッシュジャズファンクの再構築とリバイバルを軸にしています。
ブリテッシュジャズファンクは、パンク・ムーブメントの後のニュー・ウェイヴと同時期というのも興味深いところですね。
JAZZ COLLECTIVEは、UKジャズダンス、ビバップダンスともリンクしていますし、もちろんホーンが入っていて、いわゆるジャズの編成に近いのは事実ですが、あんまり踊れるジャズやクラブジャズって言われるのはどうかなって思いますね(笑)。ただ聴く人は自由なので、踊れるジャズ、クラブジャズみたいに聴いて頂いても、全く違うものだと思っていただいてもいいとは思います。僕自身は実際にクラブに行って踊るのも、お酒を飲んでワイワイするのも好きですし、そういう経験の中からもっとこういう曲が欲しいとかこんな流れが良いなと思うことを音楽に反映するように心がけています。

  - 廣瀬さんがオススメするバンドがいたら教えていただけますか?

僕が今気になっているのは、アフロビートのJariBu Afrobeat Arkestraっていうバンドとか、Q.A.S.B.っていう女性ボーカルのファンクとかソウルをやっているバンドです。その辺りのバンドは、実際にちゃんとクラブにも出演してがんばっているバンドで、音もかっこいいし好きですね。
アナログのレコードにこだわってリリースを続けていてDJのプレイの中でも聴くことができます。

  - 渋谷"The Room"で出会われたみなさんにとってRoomの魅力とは何なのでしょうか?

なんでしょうね?"The Room"みたいな雰囲気の場所ってあんまりないんですよね。
僕が2001年くらいに"The Room"に行き始めたんですが、その時期に「SOFA」っていうセッションイベントが始まったんです。それまでは、普通にお客さんとして週末に遊びに行っていたんですけど、そこにRoot Soulさんがスタッフとして働いてて。お話ししていくうちにセッションするから遊びに来なよと言ってくださって。
そのセッションにいったらSleep Walkerのサックスの中村雅人さん、吉澤はじめさんとかSoil&"Pimp"Sessionsのタブゾンビ君がいて、即興でどんどんセッションをしていくんですね。今まで無かった曲を誰かがやり始めて周りがそれについて行くっていうスタイルがすごく面白くて。だから仲間になるにも時間がかからなかったです。
面白い発想を待った人が集まって来るので、自然とすぐに仲間になるという感じでした。そこがやはり"The Room"の魅力なのかなと思います。

  - みなさんは渋谷"The Room"で出会ったんですよね?

そうです、2年くらいかけてメンバーを集めつつRoomでセッションをしていて、2004年に結成しました。

  - 結成からファーストをリリースするまでに8年かかった理由というのはあるのでしょうか?

結局ミュージシャンやアーティストの集まりなので、活動している間にやっぱり別のことをやりたいというメンバーも出てくるわけじゃないですか?その人にとって本当にやりたいことをやるということが1番大事なので、脱退を受け入れるんですけど、いざ1人抜けてしまうと次の人が決まっても別のバンドみたいになってしまうんですよね。やっぱり5人の人間からバンドが成り立っているので、1人でも変わると違うバンドになってしまうんです。そこからアルバムを作れるレベルまで持っていくのは結構大変なんですよ。3、4回そういったことがあり、2012年にやっと形になったんです。
録音自体はそれまでに3回ほど行っていたんですけど、実はお蔵入りの作品がアルバム3枚分くらいあって(笑)。コンピとかで収録して頂いた曲もあったんですけど、他の曲は全く日の目を浴びずでしたね。

  - ファーストをリリースしてからは安定されたんですね?

そうですね、ファーストのときは、既にある程度ライブの回数を重ねていてこのメンバーならいけるなという確信がありました。その時点で曲のストックも既に30曲近くあり非常に良い状態でファーストを制作していました。
その後、セカンド、今作とバンドとしても良いコンディションを保っています。

  - 普段のJAZZ COLLECTIVEの制作はセッションから派生していくのでしょうか?

それが1番多いですね。前作まではみんなちゃんと曲を作って、譜面とデモを用意してリハーサルしたりしたんですけど、今回はそういった準備をした曲は3曲くらいで、あとはスタジオでセッションをしながら進めました。後でドラムだけをループさせる編集をする前提でセッションをしたりもしましたね。基本的にはセッションが土台になっていてそれプラス編集するという形で今回は作業しました。

  - セッションっていうのはみなさん自由に演奏されるんですか?俺なんかズレてる、とかあるんですか?

ありますよ(笑)。大きい音の流れの中にそれぞれテーマを持ちながら演奏していて、その先をお互いに予想しながら演奏するんですけど、こうくるだろうと思ってたら違ったとかあります。でも後で聴いたらそれが以外と面白かったりもするんです。もちろん簡単なテーマを楽譜に書いたりとか、コードだけ最初に決めたりもしますけど、全く何も決めずにセッションをすることもあります。

  - 楽器は、どういったところで上手いかそうじゃないかを見分けているのでしょうか?

なんでしょうね?必ずしもテクニックだけじゃなく、かっこいいなと思える人が良いですね。人それぞれ基準はあると思うし、上手さの種類もいろいろあります。でも先ず楽器を構えている感じがかっこ良くて、さらに演奏の内容がかっこ良くて、考えていることが音にダイレクトに出ているか、というところだと思います。演奏する時に 1度インプットされた音を表現する作業がスムーズで、しかもその内容がかっこよかったら僕はそれが1番良いんじゃないかなと思います。そういう人と一緒にプレイしたいですし、まず僕自身がそうありたいです。

  ■iTunes
https://itunes.apple.com/jp/artist/jazz-collective/id378064364

■HMV
http://www.hmv.co.jp/artist_Jazz-Collective_000000000475974/item_Collage_5768686

■Amazon
http://www.amazon.co.jp/COLLAGE-JAZZ-COLLECTIVE/dp/B00K9ZFVR8/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1406107652&sr=8-1&keywords=jazz+collective
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