INTERVIEWS

Carpainter

新世代のクリエイターとして国内外問わず高い評価を得ている横浜在住のDJ/トラックメイカー、Carpainterが自身の主宰するレーベル<TREKKIE TRAX>より初のCDアルバム『Out Of Resistance』をリリースした。ネイティブにインターネットを使用している世代ならではの「温故知新」かつ彼特有の一筋縄ではいかない挑戦的なサウンドを持った本作。彼の音楽ルーツを紐解きながら、アルバム制作の裏側やレーベルについて話を聞いてみた。

Interview:Trekkie Trax

 

 

 
- 一度自分のクラブミュージックにおけるルーツに立ち返ってみようと思った -




- まずは、リリースおめでとうございます!

ありがとうございます。


- CDアルバムとしては初めてのリリースということですが、今作におけるコンセプトなどはありますか?

トラック制作をするとき、何かコンセプトを決めて作るということは稀でしたが、<TREKKIE TRAX>から初めて全国流通するCDアルバムリリースということなので、あるコンセプトに基づいた作品集にしてみました。これまでに、UK GarageやDubstepといったベースミュージックをよく制作していたのですが、一度自分のクラブミュージックにおけるルーツに立ち返ってみようと思ったんです。僕が小学校6年生のときに、兄Seimeiからデトロイトテクノを聴かされたのが初めて聴いたクラブミュージックでした。それが今作で影響していると思います。


- 今回のアルバム『Out Of Resistance』のタイトルにResistanceとありますが、これはもしかすると…?

はい。その通りです。Underground Resistanceの“Resistance”ですね(笑)。他には<R&S Records>の初期作品の影響も大きいです。


- 本格的にテクノと出会ったきっかけを教えて下さい。

当時未成年が入れるクラブイベントをほとんど知らなかったのですが、横浜アリーナで開催されていたテクノイベント「WIRE」にだけは、兄のSeimeiと毎年行っていて。10代の有り余る体力をフルに使ってオープンからクローズまで踊ってましたね(笑)。その時、初めてKen Ishiiさんのライブセットを観てとても感動したのを覚えています。こういった自分にとってのクラブミュージックの原体験を、一度今の音楽制作に取り入れてみようとして出来上がったのが今回のアルバムなんです。ちなみにジャケットやブックレットなども、カバーデザインを担当してくれた<TREKKIE TRAX>のfutatsuki(tomoki yonezawa)と一緒に、僕の思うデトロイトテクノの質感のようなものをできるだけ追求しました。


- でもアルバムのジャンルとしてはFuture Garageなんですよね。このFuture Garageというジャンルについて、さらに出会いについても教えて頂けますか?

簡単に言うと“Future Garage”というのは名前の通りUK Garageが進化したようなジャンルです。代表的なアーティストに<Hyperdub>のBurialなんかが有名ですね。実は僕が初めて知ったUK GarageのジャンルがこのFuture Garageなんです。以前、自分もリリースさせてもらった<Maltine Records>というネットレーベルのパーティで、当時Future Garageを中心に活動していたSubmerseとReSketchのDJを聴いたのが、今のCarpainter名義を始めたきっかけだったんです。そのときはまだ未知のジャンルだったFuture Garageを掘るために、まずSubmerseやReSketchがリリースしていたレーベルを調べたところ、<L2S Recordings>というFuture Garageを軸としたUKの名門レーベルに出会いました。それまでのFuture Garageに関するイメージは、そのときの僕でも知っているくらい有名であるBurialのイメージが強く、アンビエント的な上音に環境音のような煙たいgarageビートを使用したジャンルといったものでした。しかし、<L2S Recordings>やその周りのレーベルの楽曲を調べていくうちに、そのイメージの捉え方が変わっていったんです。自分が思っていたよりも自由で、良い意味で曖昧さがあるジャンルだと捉えるようになりました。


- 良い意味で曖昧さがあると言いますと…?

Googleで“Future Garage”と検索すると一番上に表示される記事に<L2S Recordings>のオーナーでありFuture Garageの第一人者であるWhistlaのインタビュー(http://bassluv.blog51.fc2.com/blog-entry-158.html)があるのですが、そのインタビューの中にある「交配こそがFuture Garageそのものだと思う。多くの場所からの影響をブレンドした物、しかしそこにはガラージの枠組みがしっかりあるという。ガラージの枠組みの中の交配、それがFuture Garageなんだ」という言葉にとても共感したんです。僕も<L2S Recordings>からリリースすることができたのですが、そのときの楽曲もUK Garageを軸にしながら、日本的なメロディ感をうまく取り入れたものでした。


- なるほど。広義な意味で自分のやっているジャンルをFuture Garageとしたわけですね。

はい。今までUK Garageを軸にトラック制作をしてきて、その軸の上に自分の思うデトロイトテクノの質感を取り入れることができたアルバムになったと思います。

 

 

- アルバムを通して聴いたとき、前半はデトロイトテクノの影響を感じたのですが、後半は違ったジャンルからの影響もある楽曲が多かったように感じます。デトロイトテクノ以外に意識した音楽もあったのでしょうか?

実は全体を通してデトロイトテクノ以外にいくつかのジャンルのエッセンスも取り込んでいます。具体的にいうとGrimeの歪んだベース音、楽曲構成(03 Hydro Slapの中盤、04 Plutoのブレイク、05 Radarmanや06 Bitch Bodyの8小節ごとに繰り返す展開など)、Jungle的なブレイクビーツの使い方(05 Radarmanのドラム)など、挙げるとキリがないですが(笑)。


- Carpainterさんの楽曲はメロディもとても印象的ですが、なにか楽器の経験やメロディにおけるルーツなどはあるのでしょうか?

母がピアノ講師だったこともあって、小さい頃にピアノを習っていました。メロディに関して言うと、デトロイトテクノはもちろん、トランスなどもよく聴いていたので、そういったことも楽曲によく表れているのではないでしょうか。タイトルトラック「Out Of Resistance」のコード進行やブレイクの壮大さはトランス由来かなと思います。

 

 

 

 
- 作曲するときは鍵盤を弾いたりしますか? また制作環境も教えて欲しいです。

 
制作環境はAbleton Liveで、ハード機材などは一切使用せずにノートPC1台で完結することが多いです。一応ハードシンセやMIDIコントローラーはあるのですが、大体はマウスでポチポチと打ち込んで作曲しています。


- リミキサーに同世代のプロデューサー、in the blue shirt、Pa’s Lam System、madmaidの3組を起用していますがその決め手は何だったのでしょうか?

- この3組はパーティなどで一緒になったり、もともと交流が深いアーティストで、自分の曲のリミックスを聴いてみたかったんです。in the blue shirtはバンドやディスコ由来のポップなセンスが光る楽曲に、Pa’s Lam Systemは最先端でパワフルなクラブミュージックに、madmaidは攻撃的なベースラインが特徴的なレイヴミュージックに、それぞれの強みを活かしたリミックスにしてくれて、結果的にアルバムの良いエッセンスになったのではないかなと思います。


- 今回のリリースは自身が主宰するレーベル<TREKKIE TRAX>からということですが、レーベルについて教えていただけますか?

<TREKKIE TRAX>は数人のDJ/トラックメイカーの集団で。楽曲をリリースするレーベルとしての運営、パーティの主催、中心メンバーによるTREKKIE TRAX CREW SETとしてイベント出演などの活動をしています。2012年にネットレーベルとして発足してから、フリーダウンロードでのリリースが基本だったのですが、今年よりiTunesなどの販売サイトやフィジカルでのリリースラインをスタートしました。


- フィジカルでのリリースは今年に入ってから初めてということなのですが、どのような経緯でリリースを決定したのでしょうか? またネットレーベルについても少し教えて頂きたいです。

ネットレーベルというのは、基本的にはインターネット上で楽曲をフリーで公開するサイトなのですが、一つ一つの作品をパッケージングしてリリースすることでレーベルとして活動する一つの形態です。日本では<Maltine Records>がとくに有名で、<TREKKIE TRAX>立ち上げのときにも参考にしました。インターネット上のリリースは国内だけでなく、海外に対するプロモーションにもなりますが、それだけでは届かない多くのリスナーに知ってもらうためにCDリリースを決めたのがひとつの理由です。もうひとつの理由として、これは作りながら感じたことなのですが、ジャケットやPVの制作、そして実際にモノを作って売るということは、今までのようなデータでのリリースに比べ、関わる人が増えて規模が大きくなったので、その分大変なこともありました。でも、大勢でモノづくりをするという楽しみも感じられました。今後もリリース形態に関わらず、さまざまな人との交流の中でアウトプットすることができたら良いなと思います。


- ありがとうございます。最後にアルバムを聴かれた方、また興味を持ってくれた方へのメッセージをお願いします。

個人としてもレーベルとしても初CDアルバムということだけでなく、自分のクラブミュージックにおけるルーツをあえて、あざといほど押し出したものにしてみたので、ぜひ1曲でも好きになってくれたら嬉しいです。それと、僕たちが一番自分たちの良さを伝えられるのはデータでもCDでもなく、実際のパーティだと思っているので、ぜひ足を運んでいただきたいです。

 

 

 
- Release Information -


タイトル:Out Of Resistance
アーティスト:Carpainter
レーベル:TREKKIE TRAX
価格:1,800円

[トラックリスト]
01.Out Of Resistance
02.Journey To The West
03.Hydro Slap
04.Pluto
05.Radarman
06.Bitch Body
07.Flying Saucer
08.Out Of Resistance (Pa's Lam System Remix)
09.Journey To The West (in the blue shirt Remix)
010.Bitch Body + Radarman (madmaid Remix)



- Tour Date -

6月27日 4Electro Pause "Carpainter Release Tour in KAGOSHIMA"
@鹿児島/Tsubame w/Seimei

7月04日 "Carpainter - Out Of Resistance Release Tour in SAPPORO"
@札幌mole w/andrew,bank,DJ.DAI,futatsuki,HALOiD,Seimei,Masayoshi Iimori

7月10日 Weekend Shuffle presents "Carpainter - Out Of Resistance Release Tour in GUNMA"
@群馬/高崎Woal w/andrew,amps,bank,futatsuki,HALOiD,Seimei,Masayoshi Iimori

7月17日  YesterdayOnceMore "Carpainter - Out Of Resistance Release Tour In FUKUOKA"
@福岡/KIETH FLACK w/andrew,Seimei

7月31日 BASSFLAPPER presents "Carpainter - Out Of Resistance Release Tour in NIIGATA"
@新潟/CLUB SEVEN w/andrew,futatsuki,Seimei

8月01日 adamkids presents "Carpainter - Out Of Resistance Release Tour in Toyama"
@富山/魚津BOQUERIA w/andrew,futatsuki,Seimei

8月07日 SUBTRACT "Carpainter - Out Of Resistance Release Tour in NAGOYA"
@愛知/club domina w/BROKEN HAZE,Seimei

8月08日 Basin Bass Bash vol.3 "Carpainter - Out Of Resistance Release Tour in NAGANO"
@長野/瓦レコード w/Seimei

8月22日 NOISE FANATICS presents "Carpainter - Out Of Resistance Release Tour FINAL"
@大阪/Circus w/andrew,bank,futatsuki,HALOiD,Seimei,Masayoshi,Pa's lam system,CLOCK HAZARD,国士無双,Miii,Sprout's dub 94
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