INTERVIEWS

★STAR GUiTAR

 H ZETT M やMELTEN (JABBERLOOP, fox capture plan)、Hidetake Takayama、世武裕子、Schroeder-Headz、Chieko Kikuchi (KAGERO) といった、豪華なピアニスト陣の参加で話題を集めた昨年9 月発売のコンセプトアルバム『Schrödinger's Scale』が、1 万枚を超えるロングランヒットを記録し、ダンスミュージックシーンという垣根を越えてシーンにその存在感をアピールした★STAR GUITAR。常に新たな音楽的要素を吸収&昇華し、ダンスミュージックの新たな形を提示し続ける彼から待望の新作が届けられた。
 『Wherever I am』と名付けられた本作には、前作でも絶妙なコンビネーションをみせたMELTEN(JABBERLOOP, fox capture plan) がfox capture planのバンド名義で、そしてエレクトロニカシーンの若手の中でも、抜群の知名度を誇るLASTorderの2組も参加した本作。シーンの喧騒と離れた場所から届けられる、多幸感に満ちた魅惑のサウンドはどのように作り上げられたのか?

 

 

  
『Wherever I am』どこにいても僕だし、君だし、あなたなんです。



- 前作『Schrödinger‘s Scale』はさまざまなピアニストをフィーチャリングした作品でしたが、今作『Wherever I am』はご自身のみで完結している楽曲が大半です。何かテーマやコンセプトを掲げて制作に入られたのでしょうか?

今回のテーマのひとつに、極力ループしない、今までフィーチャリングすることによりインプットしてきたものを、自分の中からアウトプットできる音楽を作りたい、というのがありました。展開や転調する事は今までの僕ではあり得ない事だったのですが、『Schrödinger‘s Scale』を通過した事により、今回はそういう展開や転調することに挑戦してもいいんじゃないか、と思ったんです。ただそれは今までの★STAR GUiTAR像とは違う場所にいるし、自分自身で不安でもあったんですね。でも僕が作れば僕の音楽じゃないかと。そういう人って自分以外にもいるよねって。その基本に気づけた事によりタイトルが決まりました。『Wherever I am』どこにいても僕だし、君だし、あなたなんです。


- 前作から比較的短いスパンでのリリースとなりましたが、制作自体はいつ頃から?

制作自体は『Schrödinger‘s Scale』を発売してほぼすぐ、年末には半分くらいのデモはできていました。ピアニスト達とコラボした事により、自分のやりたい事が明確になったため時間はかかりませんでしたね。


- 前作に続きMELTEN(本作ではMELTENの所属するバンド「fox capture plan」名義)、がフィーチャリングに参加されています。バンドとフィーチャリングする、というのは★STAR GUiTARさんのキャリアの中では初と記憶しているのですが、実際の作業はどのように進められたのでしょうか?「Rise in revolt feat. MELTEN」の時との音楽的側面での違いはありましたか?

作業自体はそこまで変わった部分はない気がします。大枠は前回と同じくMELTEN君と作り、そこから先は自由にメンバーとセッションのような感覚でスタジオで作り上げていった感じです。単純にMELTEN君と継続するというのも良かったんですが、なにかやってない事をやりたいんだよね、ってMELTEN君に相談したところ、「じゃあ"fox capture plan"としてやろう」と提案してもらえて。「なるほど!それは面白そうだ!」と。やはりバンドということでその場で産まれる「アイディア」や「熱」をすぐ形にできるスピード感はとても面白かったです。余談ですが32bit/96kHzという大きなフォーマットで録音したため、自宅に帰ってからギミックなどの編集が僕のMacのスペックが低いため大変でした(笑)


- もう1名のフィーチャリングアーティストであるLASTorderとの作業はいかがでしたか?

fox capture planもそうですが、LASTorder君の作品ももともとすごく好きだったので刺激的なセッションができました。LASTorder君とは、ひたすらファイル上でのセッションですね。僕のデモをLASTorder君が分解、再構築。さらに僕が分解、再構築。の繰り返しです。リミックスのようなリアレンジのような絶妙なところに落ち着けたと思ってます。SoundCloudにアップしているデモと完成したものを聴き比べると、なるほどなって思えるかと。特徴的なエピソードといえば、さっきと被るんですけど、ファイルのやり取りなのでお互いパラデータ(パート1つ1つのデータ)で送り合うんですけど、だんだん容量がすごいことになっていきました、、、(笑)。
 

 

 

 
今回のテーマのひとつ、「極力ループしない」



- 前作のアートワークと同じロゴが使われていますが、このロゴの意味するところは?

ずっと探していたんです、僕を表現できるロゴを。そして前回ついに見つけたんです。まさにコレを!音楽の記号であり、少し★STAR GUiTARの「S」にも見えませんか?最高に気に入ってます。なので今後しつこいくらいでてきますよ(笑)。


- 本作は今まで以上にご自身の演奏の比重が増え、いい意味で「脱ダンスミュージック」化が進んでいる印象を受けます。ここ最近はどのような音楽を聴かれている、影響を受けているのでしょうか?

最初にお話しした今回のテーマのひとつ、「極力ループしない」ってことがあるのも原因かもしれません。ただ、ダンスミュージックをどう昇華するかってのはずっと僕の中にあることなので、例えば「The Cautain Rises feat. fox capture plan」や「knowledge」では、フューチャーベースのエッセンスが垣間見えると思います。最近はTelefon Tel Aviv をよく聴きますね。ただ作ったものは、これに多大な影響を受けているというよりも自然とそうなった気がしてます。


- EDMの大破に飲み込まれ、サウンドをEDM寄りに変えていくアーティストも多いなか、★STAR GUiTARサウンドは、時流に流されることなく進化しています。★STAR GUiTARさんには、現在のシーンはどのように見えているのでしょうか?

EDM自体僕は嫌いじゃないですし、好きな曲も多々あります。ただ、どうかEDMはEDMとして消費されすぎないようにと願うばかりです。


- 今後のリリースやライブの予定があればお聞かせください。

今回のアルバムを作るにあたって思ったことがあって。それは2枚作りたいってことだったんですね。ということで次作も、もうほぼできています(笑)
近いうちにまた発表できると思うので楽しみにしていて下さい!
 




- Release Information -

タイトル:Wherever I Am
アーティスト:★STAR GUiTAR
レーベル:Cluster Sounds
発売日:2015年8月5日
価格:2,160円

[トラックリスト]
01. Everyday is a new day
02. Be The Change You Wish
03. The Curtain Rises feat. fox capture plan
04. Journey to Nothing
05. I Spell You
06. detour feat. LASTorder
07. One more thing
08. knowledge
09. Mind Float
10. before dark
11. inherit