Interview & Text: Norihiko Kawai (posivision)
Translation: Kumi Nagano
——まずはじめに、Lakkerのことをまだ知らない日本の読者へ自己紹介をお願いできますか。
そうだね! 今回東京に行くことができて本当にうれしいよ! インターネットで繋がったこのハイテクな世界であっても、地球の裏側ほど距離のあるところに、僕たちの音楽を知ってくれている人たちがいて、そこでプレイすることができるなんて考えただけでワクワクするよ。僕らEomac(Ian McDonnell)とArad(Dara Smith)の二人でLakkerというユニットとして活動している。僕らは一緒に音楽をやり始めてから、だいたい17年くらいが経つけど、最初は4ピースのバンドで、その後は2003年にはじめたish!というデュオだった。でも、ほとんどの人が僕らの音楽を知ったのはここ数年の話だよ。今までに<Killekill>、<Blueprint>、<Stroboscopic Artefacts>といったレーベルからリリースをしていて、近年は<R&S Records>がホームレーベルになっているね。
——音楽を始めたきっかけ、エレクトロニック・ミュージックに興味をもったきっかけは?
音楽全般がもともと好きで、とくにエレクトロニック・ミュージック、レイブ・カルチャーにハマっていて、僕らが育ったダブリンのパーティでDJをやっていたんだ。音楽はいつも自分たちの生活の大半を占めていて、若い頃から音楽を作りたかった。特にエレクトロニック・ミュージックに惹かれたのは、DIY的な側面があり、今の時代に相応しく、新しくて面白いものがたくさんあったからだと思う。
——二人はどうやって出会って、Lakkerをスタートさせたんですか?
共通の知り合いがいて、そこから他の友達2人と4ピースバンドを始めたんだ。エレクトロニックやメタルっぽい音で、ProdigyやDeftones 、Toolといったバンドに強く影響を受けていた。その後バンドは解散したけど、僕ら二人で活動を続けた。当時はとくに<Warp>や< Rephlex>辺りの音にハマっていて、そういう指向のエレクトロニック・ミュージックをやっていた。その時からずっと音楽を作っているよ。ときどき、自分たちの方向性を見つめ直したり、意図的に新しい試みを取り入れつつ、自分たちがこれまでに影響を受けてきた音楽やインスピレーションの中から、自分たちらしさを常に探しているんだ。
——2015年5月にアルバム『Tundra』を<R&S>からリリースしていますが、コンセプトについて教えてもらえますか。
セカンドアルバムを作ろうとなったとき、初めから終わりまで完全に聴き込めるようなものを作りたいと思っていて、1時間と少しの間、リスナーの気を引きつつ、さまざまなスタイルを提示したかった。フロア指向のものではない曲を意図して作りたかったんだ。作っていくうちに、いくつかの音楽がどんどん発展していき、情景が浮かぶようなものになったので、そこから『Tundra』と名付けたんだ。それがアルバム全体のテーマや雰囲気に合っていると思ったからね。
そうだね! 今回東京に行くことができて本当にうれしいよ! インターネットで繋がったこのハイテクな世界であっても、地球の裏側ほど距離のあるところに、僕たちの音楽を知ってくれている人たちがいて、そこでプレイすることができるなんて考えただけでワクワクするよ。僕らEomac(Ian McDonnell)とArad(Dara Smith)の二人でLakkerというユニットとして活動している。僕らは一緒に音楽をやり始めてから、だいたい17年くらいが経つけど、最初は4ピースのバンドで、その後は2003年にはじめたish!というデュオだった。でも、ほとんどの人が僕らの音楽を知ったのはここ数年の話だよ。今までに<Killekill>、<Blueprint>、<Stroboscopic Artefacts>といったレーベルからリリースをしていて、近年は<R&S Records>がホームレーベルになっているね。
——音楽を始めたきっかけ、エレクトロニック・ミュージックに興味をもったきっかけは?
音楽全般がもともと好きで、とくにエレクトロニック・ミュージック、レイブ・カルチャーにハマっていて、僕らが育ったダブリンのパーティでDJをやっていたんだ。音楽はいつも自分たちの生活の大半を占めていて、若い頃から音楽を作りたかった。特にエレクトロニック・ミュージックに惹かれたのは、DIY的な側面があり、今の時代に相応しく、新しくて面白いものがたくさんあったからだと思う。
——二人はどうやって出会って、Lakkerをスタートさせたんですか?
共通の知り合いがいて、そこから他の友達2人と4ピースバンドを始めたんだ。エレクトロニックやメタルっぽい音で、ProdigyやDeftones 、Toolといったバンドに強く影響を受けていた。その後バンドは解散したけど、僕ら二人で活動を続けた。当時はとくに<Warp>や< Rephlex>辺りの音にハマっていて、そういう指向のエレクトロニック・ミュージックをやっていた。その時からずっと音楽を作っているよ。ときどき、自分たちの方向性を見つめ直したり、意図的に新しい試みを取り入れつつ、自分たちがこれまでに影響を受けてきた音楽やインスピレーションの中から、自分たちらしさを常に探しているんだ。
——2015年5月にアルバム『Tundra』を<R&S>からリリースしていますが、コンセプトについて教えてもらえますか。
セカンドアルバムを作ろうとなったとき、初めから終わりまで完全に聴き込めるようなものを作りたいと思っていて、1時間と少しの間、リスナーの気を引きつつ、さまざまなスタイルを提示したかった。フロア指向のものではない曲を意図して作りたかったんだ。作っていくうちに、いくつかの音楽がどんどん発展していき、情景が浮かぶようなものになったので、そこから『Tundra』と名付けたんだ。それがアルバム全体のテーマや雰囲気に合っていると思ったからね。
——アルバム内に日本の高速道路で録音した音が使われていると聞きました。これは日本に来て録ったんですか? それとも別の方法ですか?
Ian : Daraが2007年、2008年に日本を旅しながらポータブルレコーダーで録ったんだ。
Dara : 2ヶ月半をかけて、東京から京都、長崎と自転車で旅をしたんだ。これまでの人生の中で最もよかったことのひとつだよ。道中、たくさんの日本人に会ったけど、みんなすごくよくしてくれた。いくつか日本語を覚えているよ。「ここでは…」「お水をください」とかね。旅の詳細がここ(https://darasmith.wordpress.com/2007/06/18/japan-cycletouring/)で読めるよ。日本の山にはたくさんの長いトンネルがあるよね。ある日、とても長いトンネルを下っていたとき、ブレーキをかけたらすごく大きな音が「キーッ!」と鳴り響いたんだ。おもしろい音だったから、レコーダーを出して録音してみたんだ。他にもクリケットやパチンコ、お寺の太鼓や鈴など、たくさんのおもしろい音を見つけて録ったよ。今回来日したら、もっといい機材でいろんな音を録ろうと思っているからすごく楽しみだよ。
——『Tundra』は、リミックス盤も出ていますが誰がリミキサーを決めたんですか? なかには日本人アーティストKyokaさんもいますね。
<R&S>とのコラボレーションのアルバムだったので、僕らの方から何人か一緒にやってみたいアーティストを挙げて、そこからレーベルの方からの提案も踏まえて話し合ったんだ。Kyokaの音がすごく好きだったから、彼女にリミックスをしてもらえてとても光栄だったよ。
——ちなみに、楽曲制作にはどんな機材を使っているのですか?
Ableton Live、VSTs、マイク、 MIDI コントローラー、これですべて。超シンプルなんだよ。スタジオは、お互い家にセットを組んでいるから、それぞれ家で作ることができるよ。
——最近はハマっている機材はありますか?
ライブではMaxをよく使うことがあるけど、特に目新しいものはないね。
——Live A/V Showもやっていますが、音だけでなくヴィジュアルも含めたライブをやるようになったきっかけはなんですか?
Live A/V Showを実際に始めたかなり前からそのアイデアは暖めていて。音楽やその他の要素を絡めて、こだわりのある何かをやりたいと思っていたんだ。Daraは長い間ヴィジュアルアートをやってきたから、ヴィジュアルの要素を取り入れるようになったのは自然な流れだった。Live A/V Showでは彼自身がデザインし、走らせている。ヴィジュアルの背後にある考えは、基本、形の小さな集まりからできるだけ多くの情報を推測するようにしている。これはスタジオで楽曲を作るアプローチに似ているかな。
——二人とも、個々にソロプロジェクトもやっていますが、Lakkerとして二人でやり始めた後からですか? ソロとLakkerとの違いについても教えてください。
Lakkerがスタートで、そこから数年経ってソロもはじめたんだよ。Lakkerとして目指している音があるけれど、そこにフィットしないものが出てきたことが理由だね。だから、ソロプロジェクトでは、よりお互いが自分のやりたいようにやっている。僕らにとってはどちらも大切な活動で、ソロプロジェクトがLakkerにいい影響を与えているし、その逆もしかりだね。
——Lakker内での役割分担はありますか?
うーん……、これは難しい質問だね。それに取り組んでいる最中は、それがどんなものだかうまく説明しにくいよね。僕らはただ自分たちの持っているものをLakkerに注ぎ込んでいるだけで、おそらく僕らの近い友達の方が何か言えることがあるのかもしれない。音楽的な部分やアート、人生において、僕らはとても似ているところがあって、一方でとても違っているところもある。この、似ているところと異なる部分のバランスや、お互いが補い合っているところが、Lakkerとしての美的感覚や音楽、バイブレーションを生み出していると思うんだ。
——もし、Lakkerとしてのブッキングとソロとしてのオファーが同じ日に来たとしたらどうします?
それはどんなショーなのかによるね。お互い、どちらかがソロとしてより抜きん出ようという考えは持っていないから。長い間友達としてやってきて、お互い助け合っているんだ。お互いがお互いの音のファンでもあるしね。それにLakkerの一人としてDJセットをプレイできるという特典もある。これが僕たちのやっているスタイルだよ。
——では、今までどんなアーティストに影響を受けましたか?
たくさんいるよ! 音楽だけじゃないけど、ここにいくつか例をあげるね。
Aphex Twin (間違いなく!)
Meshuggah - ヘビーメタル
Morton Feldman - コンテンポラリークラシック
Arvo Part - コンテンポラリークラシック
Zomby - エレクトロニック
Burial - 天使の音楽
Chris Morris - 風刺作家/コメディアン
Chris Watson - フィールド・レコーディスト
Russell Brand - メディアン
Mark Fell - エレクトロニック・ミュージック
Raster Noton - エレクトロニック・ミュージック
Pov Vannary - ロック
The Bothy Band - アイルランドの伝統音楽
At the Drive in - ロック、パンク、ハードコア
——現在、<R&S>と契約していますが、どのような経緯で契約に至ったのですか? 過去にさまざまなレーベルからリリースもありますよね。
<R&S>側からのコンタクトだったけど、彼らは良質な音楽を出し続けているし、僕らはずっとファンだったから、いつか一緒にやりたいと思っていたレーベルだった。おそらく彼らは<Stroboscopic Artefacts>から出た僕らのレコードを聴いて気に入ってくれたんだと思うけど、<R&S>から「いくつか僕らの音楽を聴きたい」と連絡があったときはとても嬉しかったよ。即座に、これはお互いにとっていい話だし、Lakkerにとってもこれ以上のことはないと思った。いくつかトラックを送ったら気に入ってくれて、それを元に1st EPを作って、続いて『Mountain Divide』、『Tundra』をリリースした。来年はもっと作れるといいね。
<R&S>側からのコンタクトだったけど、彼らは良質な音楽を出し続けているし、僕らはずっとファンだったから、いつか一緒にやりたいと思っていたレーベルだった。おそらく彼らは<Stroboscopic Artefacts>から出た僕らのレコードを聴いて気に入ってくれたんだと思うけど、<R&S>から「いくつか僕らの音楽を聴きたい」と連絡があったときはとても嬉しかったよ。即座に、これはお互いにとっていい話だし、Lakkerにとってもこれ以上のことはないと思った。いくつかトラックを送ったら気に入ってくれて、それを元に1st EPを作って、続いて『Mountain Divide』、『Tundra』をリリースした。来年はもっと作れるといいね。
——現在は、母国アイルランドのダブリンから、ドイツのベルリンへ拠点を移していますが、ベルリンでの活動はいかがですか? オーディエンスのリアクションも違いますよね。
ベルリンでアーティストとして活動する良い点というのは、僕らだけでなく、ベルリンに住むすべてのアーティストにとって言えることだよ。ベルリンでは本当にたくさんの人が、エレクトロニック・ミュージックシーンに関わっている。DJ、プロデューサー、プロモーター、エージェント、マネージャー、機材メーカーとかね。その環境は刺激的で、お互い助け合うこともできるという側面がある一方、ベルリンに安住しすぎないよう気をつけなければならないというデメリットもある。オーディエンスの違いとしては、ベルリンにはクラブやアーティスト、ショーが本当にたくさんあって選択肢が多いため、反応があまり情熱的でないこともある。でもベルリンのオーディエンスはみんなクールで音楽好きで、鑑賞眼がある。それに対してダブリンは、比較的小さな街で選択肢が少ないが、シーンはとても活気がある。オーディエンスの反応もエネルギッシュで、もっとワイルドな感じがするよ。
——日本にはベルリンの情報が多少は届きますが、ダブリンのシーンの情報はほとんどありません。ダブリンのシーンについて、お薦めのレコードショップ、クラブ、パーティ、アーティスト等を教えてもらえますか。
僕らがベルリンに移ってからそんなに時間は経ってないけど、シーンは少しずつ変わってきている気がするよ。長い間、ダブリンの中心的な存在だったクラブ、Twisted Pepperがクローズして、District 8、Hangarといった新しいクラブがオープンしている。シーンのエナジーやバイブレーションはまだ健在で、この間District 8でMarcel Dettmannがプレイしたときにはすごく盛り上がって、クラウドサーフしたそうだよ。
お薦めは、All City(レコードショップ)、District 8(クラブ)、Con Artist(パーティ)、アーティストだとSunil Sharpe、Sunken Foalかな。
——Lakkerやソロ活動として、これからの予定を教えてください。
Lakkerとしては、オランダのサウンド&ビジョン研究所(Institute for Sound
and Vision)にてレジデンシーを終えたところで、莫大なアーカイブの中からサンプルを録ることができたから、それを次のアルバムに活かそうと考えている。それ以外に、Tundraの「Live A/V Show」を今まで以上に素晴らしいものにしたいと思っている。Eomacとしては、<Bedouin Records>から新しいリリースを予定していて、Aradとしても<Haon>から2つの新しいEPを予定している。ライブやDJセットもたくさんやるつもりだよ。
——最後にメッセージを!
僕ら二人で日本へ行くのは初めてだから、すごく楽しみにしているよ! 日本のクラウドからどんなことを期待されているのか、まだよくわからないけど、とにかくいいエナジーとバイブス、LOVEに満ちた空間になることは間違いないと思っている。早くそのエナジーを感じたいね!
■Lakker Links:
HP - https://lakker.wordpress.com/
Soundcloud - https://soundcloud.com/lakker
Facebook - https://www.facebook.com/lakkermusic
Twitter - https://twitter.com/lakker
Instagram - https://instagram.com/lakker_official/
- Event Information -
タイトル:R&S Records “IN ORDER TO DANCE” in TOKYO
開催日:2015年10月23日(金)
時間:22時〜
会場:代官山AIR
料金:前売 2,500円 当日 3,500円
出演 : Alex Smoke -LIVE (R&S Records | Soma | Vakant from UK), Lakker - LIVE A/V (R&S Records | KILLEKILL | from Berlin/Ireland), DJ K.U.D.O (ARTMAN | Qooki Records), Shhhhh (Sunhouse), Nori (posivision), Greg Hunter- LIVE (Apollo | Subsurfing | Waveshaper from UK), Hataken - LIVE (TFoM | Waveshaper), Katsuya Sano (Ibadan Records | from Berlin), DJ Doppelgenger (GURUZ | ASYLUM), PortaL (Soundgram | PLLEX), K.U.R.O. (Psyristor Trax), 電子海面, Yoshinori Saitou, Z_Hyper, Hataken (TFoM | Waveshaper), Ethan Drown Hulburt (Live video modular), ngt. (rebelbase)
■clubberiapage
http://www.clubberia.com/ja/events/243196-R-S-Records-IN-ORDER-TO-DANCE-in-TOKYO/