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DJ SODEYAMA

 テクノアーティストとして、今や日本のシーンに欠かせない存在となったDJ Sodeyama。2007年に発表したセカンドアルバム『Dual』以来、8年ぶりのアルバム『Twelve Processing』が10月21日(水)にリリースされた。この8年間、別名義でのアルバムリリースはあったものの、DJ Sodeyamaとしての作品を待ち望んでいたファンも少なくないだろう。
 本作では、長い期間に彼が感じてきたことや見てきたもの、そして時の経過によって生まれる気持ちの変化、そういった目には見えないありとあらゆる感情と経験が凝縮されている。そこに、彼の感性によって導かれた音、それらを緻密に構築した展開が加わり、DJ Sodeyamaにしか表現できない奥ゆかしい音の世界観が生まれている。
 DJとして、そしてアーティストとして、8年経った今も変わらない姿勢で着実に活動を続ける彼に、本作への思いを聞いてみた。

Interview & Text:Ryosuke Kimura (clubberia)
Photo:Yasutomo Sampei

 

 

 
「作ってみないとどうなるかわからないんです。頭で音楽が作れないので」



——まずは、アルバムリリースおめでとうございます。DJ Sodeyama名義としてはなんと8年ぶりのアルバムですね。この8年を振り返ってみていかがですか? 変わったことなどありましたか?

あまり変わってないですね(笑)。別名義でアルバムを出したりしましたけど…、とはいえ制作をサボっていたわけではないですが、音楽を作ることに重点を置いていなかった部分はありますね。リミックスはいくつかやりましたが、<ARPA Records>以外で自分のシングルを出していなかったし、The People In Fogでも1枚のシングルしか出さなかったので、リリース量は多くなかったですね。



——セカンドアルバムからかなりの時間が経ちましたが、このタイミングでアルバムを出そうと思ったきっかけがあったのでしょうか?

とくにないんですよ、自然とこうなったというか(笑)。僕の場合、構想があって作るわけじゃないから、作ってみないとどうなるかわからないんです。楽器もできなければ、バンドをやっていたわけでもないし、譜面の読み書きもできないですから。とにかく音楽と向き合ってみないと先に進まないんですよね…、頭で音楽が作れないので。



——ご自身が主宰する<ARPA Records>ではなく、<moph records>からリリースされたことに理由はあるのでしょうか?

<ARPA Records>ではCDのリリースをやっていないというのが理由のひとつ。あと、海外ではCDがなかなか売れないけど、日本のプロモーションを考えると、CDというフォーマットできちんと売った方がいいと思ったんです。バイナルだけでは、バイナルを買わない方に届かなくなってしまうので。<moph records>からお話をいただいたときに、レコードは<ARPA Records>から出すから、CDは<moph records>から出そうということになりました。なので、両レーベルからのリリースということになりますね。



——Lo:Bloc、The People In Fog名義でアルバムのリリースはありましたが、DJ Sodeyamaとしてのアルバムを待っていたファンも多いと思います。どのようなアルバムにしようと考えていたのでしょうか?

最初は4つ打ちだけの、いわゆるテクノのアーティストがリリースするようなダンストラックばかりを集めたアルバムを考えていました。ただ、似たようなトラックばかりが並んでもバリエーションとして少ないし、面白くない。自分はあまりそういうのが好きじゃないし、向いていないということに気がついて。同じような曲が並ばないように、いろんな曲をトラックリストに入れたいし、「あっ、この人こういう曲も聴くんだ」「こういう音も好きなんだ」っていう驚きが見えないと、アルバムを聴いていて面白みがないというか。ましてや、曲作りとかにすごく詳しいタイプでもない、機材オタクでもない、音楽的知識があるわけでもないから、自由に作った感じですね。

 

 

 
——ちなみに、制作にはどれくらいの期間がかかったのでしょうか?


「やろう!」と決めてから2年以上はかかっていますね。ひと通り完成してはやり直しを繰り返し、<moph records>からリリースが決まってからも、やっぱりもっとダウンビートっぽい曲もアルバムに入れたいとなって、結局そういうものばかりが増えたり(笑)。今年に入ってからも、結局ほとんど作り直して、最初に作っていたものはほとんど無駄になりました(笑)。


——そうだったんですね(笑)。でも、ダウンビートの楽曲たちが本作ではすごくアクセントになっている気がしました。ただ、ダンスミュージックとしても確実に機能しますよね。アルバムの2曲目に収録されている「Gogh’s ear」なんかはすごくローテンポの4つ打ちですが、ダンサブルな要素も強いと思います。

もちろん、ダンスミュージックというのは大前提として絶対にありますが、改めて自分はBPMの遅いものも好きなんだと感じました。今までのアルバムにも必ずダウンビートの曲は入っているし、DJでもダウンビートのトラックをよく使いますしね。


——その「Gogh’s ear」のミュージックビデオには驚きました。今までSodeyamaさんは、ご自身の音楽を反映させた映像を作っていらっしゃらないような気がするので、とても珍しいなと。作ろうと思った理由や、なぜこの曲をミュージックビデオに選んだのかお聞きしたいのですが。また、どなたが制作したのでしょうか?

<moph records>はいつもミュージックビデオを作っているというのもありましたし、CDやレコードが売れにくいと言われている時代で、ひとつでも自分の作品を残したいと思ったんです。制作はREALROCK DESIGNさんにお願いしました。REALROCK DESIGNさんとは、以前から「何か一緒にやりましょう」と話をしていたのですが、なかなか機会が無くて……。だから、ミュージックビデオを作ることになったときはすぐにお願いしました。ダウンビートの曲ですが、DJのときもアルバムの中で一番使っている曲ですし、映像にもハマりやすいかなと。

 
DJ SODEYAMA "Gogh's ear" from TWELVE PROCESSING


——間違いなく本作のポイントとなる楽曲ですよね。また、アルバムを通しての流れも素晴らしかったのですが、曲順にもこだわりましたか?

アルバムは曲の並びがすごく重要なので、いろいろと並び変えてみて毎日のように聴いていましたね。この曲とこの曲の間に、こんな曲があればいいなと新しく作ったり。いつもイントロだけは最後に作るようにしていて、今回のオープニングトラック「14.4 Billion of eyes」も一番最後に作ったんですよ。

 

 

 
「自分自身があまり感情的な人間ではないから(笑)、もしかすると音楽でそういった部分を表現しているのかもしれないですね」

 

 

 

 

——アルバムタイトル「Twelve Processing」に込められた思いもお聞きしたいのですが。今回は“12”という数字がキーとなっているようですね。

収録曲数が12曲(CD盤はリミックス2曲入りの計14曲)というのも“12”のコンセプトからで、12というのはどの数字よりもすごく特殊なんですよ。たとえば、星座や干支の数、音階、十二単、ダースやオリュンポス十二神にも“12”という数字が絡んでいます。「Twelve Processing」(十二処)とは、六根(人間の感覚や認識を成立させる感官能力である『眼, 耳, 鼻, 舌, 身, 意』)と、六境(六根に対応するそれらの対象の領域『色, 声, 香, 味, 触, 法』)を総称した仏教用語なんです。なので、トラックタイトルには六根、六境に因んだ言葉が入っているんですよ。

 

 


——六根のお話が出てきましたが、ここ数年、耳の不調に悩まされていることをFacebookで拝見しました。タイトルや楽曲もそうですが、そういったご自身の体のことや目に見えない感情なんかも本作では表現されているのではないでしょうか?

もしかしたらあるかもしれないですね。今まで、自分の肉体的な老いを感じたことがなかったので(笑)。この数年、自分もですが、身の周りでいろいろなことが起きるようになりました。環境や内面の変化、友達が亡くなったり、耳の問題も含めて、歳を取ったことで起きるできごとを潜在意識としていろいろと感じているのかもしれません。そういったものが音にも反映されているとは思います。耳のトラブルで全く作ることができない時間、同じ曲を何度も作りなおしたり、アルバム自体を1からすべて作り直したり……。苦悩するなかで見出す“感覚”と、その感覚を落とし込む自分のなかの“領域”が少しずつ成長して、技術とともに繋がっていくことに、改めて喜びと楽しみを感じながら作りましたね。この繋がりはすべての事柄において大切で必要不可欠なもので、この関係性こそが「六根」「六境」に似ている。それが表現できたかなと。


——そういったご自身が無意識に感じてきた思いはもちろん、Lo:BlocやThe People In Fog名義で作ってきたものすべてが色濃く反映されていると強く感じました。この8年のあらゆる経験が音に凝縮されているのではないでしょうか。

もちろんそうだと思います。Lo:BlocやThe People In Fogは別名義ですが、自分の中の一個の偏ったパーツをその名義でやっているだけで、DJ Sodeyamaの音と違うということでは決してないんです。結局、それを内包しているのは自分ですし、ダウンビートもテクノもハウスも表現しているのは自分自身なので。


——なるほど。よく、SodeyamaさんのDJを聴いていても感じますが、音楽表現の幅が本当に広いですよね。

ミニマリストじゃないですからね。もちろん、特定のジャンルだけをやることもいいことだし、それはそれでかっこいいとは思いますが、僕にはできない。DJやパーティでもそうですが、淡々とした8時間より、テクノやハウス、ダウンビートやダンスクラッシックなど、すべてが自然な流れでいろいろな音楽や展開があって、そこに“驚き”を感じられるのが好きなんです。


——そういった面もDJ Sodeyamaらしいアルバムなのかなと。ミニマリストとは違うストーリーと、メロディが際立った感情的な音楽を発信する唯一のDJだと個人的には思っているので。

自分自身があまり感情的な人間ではないから(笑)、もしかすると音楽でそういった部分を表現しているのかもしれないですね。


——ここ最近のDJ活動を見ていると、地方でのプレイにも力を入れているように感じるんですが、地方へ足を運ぶことで見えてきたことや気持ちの変化などはありましたか?

変化はとくにないですが、 “呼んでもらった分、何を残せるか”っていうのをすごく大切にしています。会話もそうですが、たとえば、サウンドチェックをきちんとして、音が悪かったら徹底的に直す。ブースの作りが良くなければきちんと言う。僕がゲストで行ってお客さんが入るかどうかってことよりも、僕が行ったことで何かしらのきっかけになるように意識しています。次に行ったときに、「良くなってるじゃん!」ってなればすごくいいことだと思うし。だから地方に行くと現地のいろんな人とよく喋るんですよ。だからこそ、みんなで変化していきたいですね。

 

 

 
- Release Information -

タイトル:Twelve Processing
アーティスト:DJ Sodeyama
レーベル:moph records
価格:2,000円(税別)
発売日:2015年10月21日(水)

[トラックリスト]
01. 14.4 billion of eyes
02. Gogh's ear
03. Primary colors
04. Cause to emit sound
05. Running nose
06. Pleasant scent
07. Albert tongue
08. Touch the flavors
09. Body panels
10. Physical feeling
11. The way in the truth
12. Move your mind
13. Primary colors (Kyoka remix)※初回盤特典
14. Gogh's ear (mergrim remix)※初回盤特典


- Release Tour Information -

「DJ SODEYAMA new album 『Twelve Processing』release tour」
10/31(土) 浜松 PLANET CAFE
11/14(土) 松本 MOLE HALL
11/21(土) 福岡 BLACK OUT
11/22(日:祝前) 大分 FREEDOM
11/28(土) 松山 BIBROS
12/4(金) 広島 JAMAICA
12/5(土) 神戸 TROOP CAFE
12/12(土) 名古屋 JB'S
12/19(土) 盛岡 MAD DISCO
12/30(水) 宇都宮 SOUND A BASE NEST
12/31(木) 東京 WOMB
1/2(土) 大阪 CIRCUS
1/9(土) 富山 MINORITY
1/10(日:祝前) 静岡 JAKATA
1/16(土) 福井 CASA
1/22(金) 小倉 HIVE
1/23(土) 宮崎 REAL D
1/30(土) 東京 WOMB