INTERVIEWS

Basic Soul Unit

 マルチカルチャーな都市トロントを拠点に活動しながら、ロンドンのNonplus+、ベルリンのDollyやOstgut Ton、シカゴのMathematics、そして東京のMule Electronicといった、世界各国の影響力あるレーベルから作品を発表してきたBasic Soul Unitこと、Stuart Li。先日、フルアルバム「Under The Same Sky」をDekmantelよりリリースし、トロントのローカルイベント「Technochurch」にてリリースパーティが行われた。
 ロングセットを終えたStuartをキャッチして取材オファーをし、後日メールインタビューを敢行。音楽制作とDJ、そして作品が生まれた経緯について答えてもらった。

Interview:佐藤梢

 

 

「これから何年か後には、トロントのアーティストの名前を耳にする機会が増えていくんじゃないかな」


ーーまずは、簡単な自己紹介をお願いできますか?
こんにちは、僕の名前はStuart Liです。香港で生まれて、カナダのトロントで育ちました。Basic Soul Unitという名前でDJとプロデュースをやっているよ。


ーーDJをはじめたきっかけを聞かせてもらえますか?
80年代の後半、僕が12歳くらいの頃からダンスミュージックのレコードを買い続けていたんだ。その頃からスクールパーティやハウスパーティを友達とやっていたけど、90年代後半まではDJをすることに対してそこまで真剣ではなかった。初めてレギュラーでDJをしたのは、IV Loungeというオンタリオ美術館の向かいにある小さな場所。そこではジャズ、ファンク、ディスコ、ブレイクビーツ、ハウスなどをミックスしていたよ。


ーーでは、音楽制作を始めたきっかけは?
2000年頃、音楽制作ソフトの使い方を少しだけかじっていたんだ。そのソフトウェアはとても手軽な物で、僕をいとも簡単に音楽制作の道に踏み込ませてくれたよ。最初のリリースは、友人のJohn Kumaharaが運営しているIwanaiという、ローカルレーベルからのスプリットEPだった。僕は雑誌で手に入れた無料のソフトウェアを使って制作を行ったんだ。驚くことに、その作品はとくににヨーロッパのDJたちや音楽チャートから、きちんとした評価を受けることができた。結果的に、いくつかの機材を自分のスタジオに導入できたんだよ。今でもデジタルプロダクションは使っているけど、“何を使うかではなく、どうやって使うか”が重要だということが、このストーリーの面白いところだよね。


ーートロントのレコードストア、Cosmos Recordで働いていたこともありますよね。その経験はDJや音楽制作に、どのような影響を与えていますか?
2000年頃に、1年くらい働いていた。レコードストアで働く前から、ソウルやジャズ、ファンクを掘っていたけど、その経験のおかげでたくさんの良い音楽を知ることができたよ。レコードストアでは、お店に座ってゆっくりと音楽を聴けて、さらに僕が尊敬するインターナショナルで活躍するDJやプロデューサーたちに会うことができたのも最高だった。彼らはトロントでギグがあると、Cosmos Recordに来てレコードを掘っていくんだ。DJ、プロデューサーとしては、レコードストアに居たことで、音楽のジャンルを超えるという意識を開いてくれたように思う。人がこれまでに聴いてきたすべての音楽は、何らかの形でその人に影響を与えているものなんだ。


ーー最も尊敬しているDJやプロデューサーは?
それは間違いなく、Larry Hardだね。彼の音楽は、僕が好きなすべての要素を持っている。一度だけトロントで会ったことがあるけど、とても謙虚でいい人だと感じだよ。


ーー新たにリリースしたアルバム『Under The Same Sky』のコンセプトについて聞かせてもらえますか?
実は、とくに重要なコンセプトやテーマは無くて、ごく一定期間における自分の心境を表している作品だと言えるかな。自分の最近のトラックと比べると、より無駄を省いた物になっていて、もっとテクノから影響を受けたサウンドになっているね。

 

 

 
Landlocked / Basic Soul Unit 『Under The Same Sky』収録曲


ーーアルバムに込めたメッセージなどはありますか?
アルバムタイトルを決めるとき、同じ地球上にいる我々は、みんな同じ空を見上げているという事実についてじっくりと考えていたんだ。すべての喜び、幸福、孤独、苦しみ、痛みが同じ星の上に存在している。音楽もそうやって我々とつながっていると感じたし、そのことを音楽を通じて伝えることができればと思ったんだ。



ーーアルバムの制作には、どんな機材を使用したのですか?
アルバムは完全にReasonのソフトウェアを使用して制作をした。さっき話した通り、スタジオにはいくつかの機材があるんだけど、アルバム制作を始める前の僕の意図としては、その機材を使って実験的に音楽を作りたいと思っていたんだよね。でも、制作に取り掛かかる前に、友人にReasonのチュートリアルをするというプロジェクトがあって、ソフトウェアについてをより詳しく学び始めたんだ。それが、本来の目的から脱線した感じになって、そのプログラム自体をすごく楽しんでさ。結果的に、その期間に作ったトラックが、アルバム制作の発端となったんだ。


ーーいくつかの機材を持っているということですが、お気に入りのものを教えていただけますか?
ebayで日本の誰かから手に入れた、手作りのパーカッション・トーン・ジェネレーターを持っているんだけど、それは手持ちサイズの小さな物なんだ。基本的に、トーン・ジェネレーターは指を使って叩いて音程を変化させる。でも、このジェネレータにはツマミが付いていて、それを操作しながら音を変化させることができるんだ。さらに、マルチチャンネルのループ・マシーン「Electro-Harmonix」や、アナログ・ディレイ・マシーン「Deluxe Memory Man」も接続して使う。とても体感的に楽しむことができるんだよ。


ーーDJの際にはアナログレコードも使用していますよね? 
今でもアナログレコードは買っているけど、以前よりは買う数はかなり減っているよ。最近はとても値段が上がっているし、今は結婚して子供もいるからね。アナログレコードに費やす予算をあまり持っていないんだ。

 

 


ーーアナログレコードのコレクションは何枚くらいありますか?
ある時期は5,000枚ほど持っていたと思うけど、必要のないレコードを減らそうとしていて、いくつか手放している。だから、今は3,0004,000枚ほどかな。


ーーお気に入りのレコードストアは?
トロントでは、Play De RecordとCity Beatで新譜を手に入れるよ。レア盤はCosmos Recordで、あとはトロント東部のスカーバローにあるHenry’sで古いレゲエやスカのレコードを探すのが好きなんだ。海外だと、ドイツはベルリンのHardwaxとOye、イギリスはロンドンのPhonica、そして東京は渋谷のTechniqueとdiskunionだね


ーー音楽活動を行う上で、トロントは良い環境だと言えますか?
間違いなく、ここにはあらゆる異なったカルチャーと影響があって、僕にたくさんのインスピレーションを与えてくれる場所だと思う。


ーー最後に、トロントのダンスミュージックやエレクトロニックミュージックのシーンについてお聞かせください。
トロントのダンスミュージックには長い歴史がある。ここは多文化な都市であり、あらゆる国や街のカルチャーから影響を受けているんだ。だから、ひとつの音楽だけが溢れているということは無くて、みんなシカゴやデトロイト、ニューヨーク、ヨーロッパなどのいろんな街のサウンドが好きだし、個々が好きな音楽のイベントを見つけることができる。最近の重要な課題としては、ほかの急成長している都市と同様に、ジェントリフィケーション
(貧困地域に富裕層が流入し、その土地の物件や地価が上がること)の問題がある。ダウンタウンの開発が進むことにより法律が厳重化し、クラブを運営することが厳しくなってきているんだ。プロモーターたちは代わりの場所を見つけては、イベントを存続させることに精を出している。そして、大勢の若い人たちもまた音楽制作にのめり込んでいるよ。これから何年か後には、トロントのアーティストの名前を耳にする機会が増えていくんじゃないかな。僕は友人のJason Ulrichと一緒にLab.ourというレコードレーベルを運営しているんだけど、トロントの音楽シーンの一部を担っていることを嬉しく思うし、新しい世代のローカルアーティストが活躍すべくプラットフォームになっていけたらと思っているよ。

 

 

- Release Information -

タイトル:Under The Same Sky
アーティスト:Basic Soul Unit
レーベル:Dekmantel
発売日:2015年10月16日(金)
価格:1,500円(iTunes)、2,590円(2LP)

■iTunesリンク
https://itunes.apple.com/jp/album/under-the-same-sky/id1056215496

■soundcloud視聴リンク
https://soundcloud.com/dkmntl/dkmntl028-basic-soul-unit-under-the-same-sky

[トラックリスト]
01. We All Want To Believe
02. Without Fears
03. Landlocked
04. The Rift Between
05. Until The End Comes
06. Temptress
07. Unwavered
08. Restless In Thoughts
09. Fate In Hand
10. Under The Same Sky


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