今の感想はまさしくこれ。音楽ファンならTeddyLoidの名前を一度は目にし、なにやらタイムラインがざわついてることにも気が付いているはずだ。長年音楽に携わった生活を送ってきたが、なにかとてつもない大きな存在を目の当たりにしてしまったような初めての感覚に陥っているのだ。
2014年9月に発表されたデビューアルバム『BLACK MOON RISING』はソロプロジェクトとして発表されたが、12月2日(水)に発売された約1年ぶりのニューアルバム『SILNET PLANET』には、国内を代表する多くのアーティストが参加している。いまだベールに包まれた存在にもかかわらず、多くの人々を惹きつけるTeddyLoidとはいったいどんな人物なのか?
「音楽と言葉が禁じられてしまったら」そんな近未来の世界を解放するというストーリーを持った本作。音楽を封じられた世界、“SILENT PLANET”では一体なにが起きているのだろうか?
Text:YANATAKE
「迫り来る難題を出会った仲間たちと乗り越えて行くのがこの『SILENT PLANET』」
20XX年、地球上の全市民は空気の止まった人工都市で完全管理下に暮らしていた。新技術によって空気の振動が制御された無音の世界。会話も音楽も禁止されている。人々は言葉を交わすこともなく、すべてのコミュニケーションは、支給された脳内内蔵型のマイクロチップのみで交信されている。人類は極度に発達した技術により個々の「心」の完全データ化に成功。声を出さずともその意思を正確に相手に送受信し保存することが可能となり、ついに人類は沈黙した。あらゆる「音」は不要なものと判断され、コロニー内の空気の振動が制御されるようになった。
人類史上もっともストレスフリーなコミュニケーションツールの開発の真意は、すべての思想と言論の掌握、統制にあった。地球政府は、いつの時代でも体制に対して強い影響力を持ってきた「言葉」をついに封じ込めた。そして「音楽」も禁じられた。
クリスタルシェルターの外には、コロニーでの居住を認められなかったアウトサイダーたちや多くのマイノリティ、そして自然動物たちが生存競争を繰りひろげる広大なゲットーが広がっている。そのゲットーで、禁じられた「音楽」を武器に、地下組織「ブラックムーンソサエティ」をオーガナイズしているのが代理アンドロイド、TeddyLoidだ。禁じられていた「音楽」を「BLACK MOON RISING」と題して黒い月面から地球のTeddyLoidに送り続けたテディ少年は、すでに預言者として神格化されていた。
TeddyLoidとソサエティのメンバーは、不時着したテディ少年を救出。政府側の捜索から逃れ、世界各地の廃墟となった遺跡を点々とする移動型スタジオ「BLACK MOON SOUNDS STUDIO」で秘密裏にレコーディングを重ねる。さまざまな同志たちとの出会いにより仕上げられていく新たなトラックを武器に、沈黙が支配するクリスタルシェルターの解放のために闘争を続ける。「声」を奪われた人々の「言葉」と「音楽」すなわち人間性を取り戻すべく。
(『FEAR OF A SILENT PLANET -Black Moon Rising pt.2-』の一部を抜粋)
上記は本作の草案として書かれた物語からの引用だ。
このような想像性豊かな世界観を音楽に落とし込み、聴く者を壮大なSF映画を観ているかのような感覚に導く。まるで、目の前に映像が広がってくるかのようだ。この物語のキャストが豪華な客演アーティストたちといってもいいだろう。いわゆるDJアルバムとは一線を画すものであることが容易にわかる。迫り来る難題を出会った仲間たちと乗り越えて行くのがこの「SILENT PLANET」なのだ。
TeddyLoidの才能にいち早く気がつきサポートしてきた☆Taku Takahashi (m-flo)をはじめ、中田ヤスタカ、小室哲哉といった新旧エレクトロのリビングレジェンドたちから新生代へ、バトンが受け継がれたと言ってもいいだろう。最新型のEDMからフューチャーフィルターハウスまで、さらには国内ビッグバンドGLAYのギタリスト、HISASHIまでもいち早く彼の才能に気がついていた。そして約4年ぶりに再集結したgalaxias!なるユニットでともに歩んだ盟友である柴咲コウとDECO*27、キュートなポップバンドのShiggy Jr.から池田智子、そしてエッジの利いたロックバンドからthe dress codesの志磨遼平など、それぞれの枠を超えたアプローチで奮闘。ワールドワイドに活躍するダンスアーティスト集団WRECKING CREW ORCHESTRAの振り付けまで意識した楽曲は、彼らの最新公演のテーマソングになっている。そして、ももいろクローバーZの大躍進を支えたTeddyLoidへの恩返しのために、「あーりん」こと佐々木彩夏が激しい戦いに安らぎのバラードを捧げる。
20XX年、地球上の全市民は空気の止まった人工都市で完全管理下に暮らしていた。新技術によって空気の振動が制御された無音の世界。会話も音楽も禁止されている。人々は言葉を交わすこともなく、すべてのコミュニケーションは、支給された脳内内蔵型のマイクロチップのみで交信されている。人類は極度に発達した技術により個々の「心」の完全データ化に成功。声を出さずともその意思を正確に相手に送受信し保存することが可能となり、ついに人類は沈黙した。あらゆる「音」は不要なものと判断され、コロニー内の空気の振動が制御されるようになった。
人類史上もっともストレスフリーなコミュニケーションツールの開発の真意は、すべての思想と言論の掌握、統制にあった。地球政府は、いつの時代でも体制に対して強い影響力を持ってきた「言葉」をついに封じ込めた。そして「音楽」も禁じられた。
クリスタルシェルターの外には、コロニーでの居住を認められなかったアウトサイダーたちや多くのマイノリティ、そして自然動物たちが生存競争を繰りひろげる広大なゲットーが広がっている。そのゲットーで、禁じられた「音楽」を武器に、地下組織「ブラックムーンソサエティ」をオーガナイズしているのが代理アンドロイド、TeddyLoidだ。禁じられていた「音楽」を「BLACK MOON RISING」と題して黒い月面から地球のTeddyLoidに送り続けたテディ少年は、すでに預言者として神格化されていた。
TeddyLoidとソサエティのメンバーは、不時着したテディ少年を救出。政府側の捜索から逃れ、世界各地の廃墟となった遺跡を点々とする移動型スタジオ「BLACK MOON SOUNDS STUDIO」で秘密裏にレコーディングを重ねる。さまざまな同志たちとの出会いにより仕上げられていく新たなトラックを武器に、沈黙が支配するクリスタルシェルターの解放のために闘争を続ける。「声」を奪われた人々の「言葉」と「音楽」すなわち人間性を取り戻すべく。
(『FEAR OF A SILENT PLANET -Black Moon Rising pt.2-』の一部を抜粋)
上記は本作の草案として書かれた物語からの引用だ。
このような想像性豊かな世界観を音楽に落とし込み、聴く者を壮大なSF映画を観ているかのような感覚に導く。まるで、目の前に映像が広がってくるかのようだ。この物語のキャストが豪華な客演アーティストたちといってもいいだろう。いわゆるDJアルバムとは一線を画すものであることが容易にわかる。迫り来る難題を出会った仲間たちと乗り越えて行くのがこの「SILENT PLANET」なのだ。
TeddyLoidの才能にいち早く気がつきサポートしてきた☆Taku Takahashi (m-flo)をはじめ、中田ヤスタカ、小室哲哉といった新旧エレクトロのリビングレジェンドたちから新生代へ、バトンが受け継がれたと言ってもいいだろう。最新型のEDMからフューチャーフィルターハウスまで、さらには国内ビッグバンドGLAYのギタリスト、HISASHIまでもいち早く彼の才能に気がついていた。そして約4年ぶりに再集結したgalaxias!なるユニットでともに歩んだ盟友である柴咲コウとDECO*27、キュートなポップバンドのShiggy Jr.から池田智子、そしてエッジの利いたロックバンドからthe dress codesの志磨遼平など、それぞれの枠を超えたアプローチで奮闘。ワールドワイドに活躍するダンスアーティスト集団WRECKING CREW ORCHESTRAの振り付けまで意識した楽曲は、彼らの最新公演のテーマソングになっている。そして、ももいろクローバーZの大躍進を支えたTeddyLoidへの恩返しのために、「あーりん」こと佐々木彩夏が激しい戦いに安らぎのバラードを捧げる。
「彼はすべてを包み込み、自らのフィルターを通してひとつの大きな物語へと昇華させているのだ」
しかし、これだけでは終わらない。すべての音楽を覚醒させるためにはダンスミュージックにメッセージ性を持たせる必要があるのだ。そこで召喚されたのは「Hoo! Ei! Ho!」などのクラシックを残した日本語ラップ創設者である近田春夫。彼を師とする道場の門下生としてtofubeatsがラッパーとして参加。そこにTeddyLoidは確かな腕前を誇るヒューマンビートボックスとスクラッチで、自身のヒップホップスキルを見せつける。現在のヒップホップシーンの最前線を独走するKOHHとは、最新型ヒップホップとメタルを融合させたニュースタイルでお互いの才能をぶつけ合った。レゲエ界からはFIRE BALLのJUN 4 SHOT、ラウドロックシーンからはROTTENGRAFFTYでボーカルを務めるN∀OKI、NOBUYAとギターのKAZUOMIといった重鎮たちの熱いメッセージを重厚なダブステップで共鳴させたのだ。
普通ならリスナーでも、これだけ全方位の音楽を消化することは難しいかもしれない。まさに、オールジャンル、新旧のスターたちが競演しているといっていい。しかし、TeddyLoidはすべてを包み込み、自らのフィルターを通してひとつの大きな物語へと昇華させているのだ。あらゆる視点においても国内最高水準のアルバムであり、世界にも通用する作品と言える本作。沈黙している日本の音楽シーンを崩し、ゲームを変えていくリーダーにふさわしいのはTeddyLoidにちがいない。
- Release Information -
タイトル:SILENT PLANET
アーティスト:TeddyLoid
レーベル:EVIL LINE RECORDS
発売日:2015年12月2日(水)
価格:初回限定盤(2CD)3,300円(税別)
通常盤(1CD)2,800円(税別)
■iTunesリンク
https://itunes.apple.com/jp/album/id1059595535?app=itunes&ls=1
■soundcloud視聴リンク
https://soundcloud.com/teddyloidspace
[トラックリスト]
【DISC1】
1. Game Changers with 中田ヤスタカ(CAPSULE)
2. Searching For You feat. 柴咲コウ
3. All You Ever Need feat. ☆Taku Takahashi (m-flo)
4. Secret feat. 池田智子 from Shiggy Jr.
5. Last Teddy Boy feat. HISASHI from GLAY
6. Break'em all feat. KOHH
7. We Are All Aliens with WRECKING CREW ORCHESTRA
8. Lion Rebels feat. JUN 4 SHOT from FIRE BALL & N∀OKI, NOBUYA & KAZUOMI from ROTTENGRAFFTY
9. VIBRASKOOL feat. 近田春夫 (Professor Drugstore a.k.a. President BPM) & tofubeats
10. Above The Cloud with 小室哲哉
11. はじらい Like A Girl feat. 志磨遼平 from the dresscodes
12. Grenade feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ
【DISC2】
1. Game Changers with 中田ヤスタカ(CAPSULE)(Extended Mix)
2. Above The Cloud with 小室哲哉 (Extended Mix)
3. All You Ever Need feat. ☆Taku Takahashi (m-flo) (Extended Mix)
4. Secret feat. 池田智子 from Shiggy Jr. (Dub Mix)
5. Grenade feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ (Ambient Mix)
6. Searching For You feat. 柴咲コウ(Ambient Mix)