INTERVIEWS

Mathew Jonson

 2001年のデビュー以降、多くの話題作を次々と発表して賞賛を浴びてきたMathew Jonsonは、Modern Deep Left QuartetやCobblestone Jazzの活動でも広く知られている。現在のエレクトロニックミュージック・シーンでも、その優れた才能から生み出されるライブには常に注目が集まり、ここ日本でも多くのファンを虜にしてきた。DJ SODEYAMAの最新作『Twelve Processing』(インタビューはこちら)からのシングルカットのリミックスも担当したという彼が、1月30日(土)にWOMB(東京都渋谷区)で開催される「ARPA SHOWCASE DJ SODEYAMA new album “TWELVE PROCESSING” RELEASE PARTY」に、Cobblestone Jazzとして出演する。
 デビューアルバム『23 Seconds』(2010年)で、オリジナリティ溢れるテクノとジャズの即興性を混ぜ合わせたサウンドを披露し、世界中から高い評価を得たCobblestone Jazz。3人からなる彼らはいかにして出会い、これまでどのような活動を続けてきたのだろう。一足先に来日した彼に話を訊いた。

写真:Toshiyuki Togashi 
翻訳:Koki Sugiyama 取材・文:Ryosuke Kimura (clubberia)

 

 

結成当初はすごく苦労したし、恥ずかしい思いもしたよ。お客さんから何度もブーイングを受けたこともあったしね(笑)。


−−13〜14年前のことになるかと思いますが、Cobblestone Jazzを結成したきっかけや、彼らと一緒にグループをやろうと思った理由を教えてください。
Tyger DhulaとDanuel TateとThe Moleの4人でやっているModern Deep Left Quartetが始まりなんだ。1997年ころにTygerとDanuelの3人でヴィクトリアからモントリオールに移住したんだけど、そのときに強盗にあってね……、彼らのスタジオの機材がほぼ無くなってしまったんだ。それでヴィクトリアに帰ることになって、3人でCobblestone Jazzとして活動をすることになったんだよ。強盗にあってからモントリオールで募金活動もやったよ。そのおかげでいくつかの機材を揃えることができたけどね。

−−あなたにとってTyger DhulaとDanuel Tateは、どのような存在なのですか?
もちろん仲良しだけど、もともと僕が彼らのファンだったんだよ。ふたりとも僕よりも年上で、ユニットで活動していたんだ。ヴィクトリアに住んでいたときに、彼らのライブを観に行ったりもしていた。去年の「MUTEK」(カナダのフェスティバル)でもMoon Buggy(カナダ出身の二人組アーティスト)と一緒にプレイしていたしね。はっきり言って、僕が居ないときのほうが素晴らしいプレイをするんだよ(笑)。

−−そんな関係だったとは知りませんでした。憧れだった人たちと、どうやって一緒に活動することになったのですか?
大きな町ではなかったから、たびたび会うこともできたし、話をしていくうちにすぐ仲良くなることができた。Danuelが中心になってみんなを誘い、役割を分担してModern Deep Left Quartetの活動がスタートしたんだ。たとえば、僕はローランドのTR-808のキックやスネアの音を使うドラムとしての役割、Tygerはミキシングやエンジニアリングの役割、The MoleはDJだったから、スクラッチやサンプルを使う役割、Danuelは鍵盤奏者だったから、キーボードの役割といった感じでね。彼はフェンダー・ローズ・ピアノやローランドのJX-3Pをよく使っていたよ。


−−ライブでは、ジャズが持つ即興性を活かしたサウンドやグルーヴをとても重要視しているように感じます。即興演奏ではトラブルも決して少なくないと思いますが。
僕らはミュージシャンでありDJでもあるから、どんなことにも囚われないスタイルがあるんだ。テクノのパーティで、急にDanuelがBPM90くらいのラブソングをやったりね(笑)。全員が楽器を扱えるし、互いに信頼しているからこそ即興演奏ができると思っている。もちろん結成当初はすごく苦労したし、恥ずかしい思いもしたよ。お客さんから何度もブーイングを受けたこともあったしね(笑)。でも、そういう経験をしたことで僕らの自由なスタイルが徐々に確立されてきた。僕らの育った町が大きくなかったから、何でも自由にできたことも大きいかもしれないね。

 

 

−−個人のライブ、彼らと一緒にやるときのライブに明確な違いはあるのでしょうか?
僕らはあえて何も共有しないやり方をしている。3人でスタジオに入って練習もしないし、常にぶっつけ本番でライブに挑んできたよ。たまにゲストミュージシャンを呼んで一緒にライブをしたりね。ひとりでやるときの大きな違いはきっとそこにあると思うよ。

−−3人ではどのように制作を進めているのですか?
4人のときと違って、スタジオに入ってからの作業効率が大きく違うんだ。3人の場合は、2人が何か作業をしているときに、残った1人がその2人の作業を見て常に動き、集中した音楽制作ができる。でも4人だと、2人が作業をしているときに、残った2人でおしゃべりをしたり、タバコを吸ったり、お酒を飲み始めたり、音楽制作から離れてしまうんだ。だから、Modern Deep Left Quartetのときは常にパーティーモードさ(笑)。ステージ上でもそれは一緒だよ。




ジャズは楽器を使った会話だと思うんだ。


−−昨年4月に久しぶりの最新作『Northern Lights』がItiswhatitis Recordingsからリリースされました。改めて、Cobblestone Jazzとして作品を発表されたのは、3人のなかで何かきっかけや特別な思いがあったのですか?
実は、たまたま3人で作ったからCobblestone Jazzという名前を使っただけなんだ。もし4人で作っていたらModern Deep Left Quartetだった。ファンにとっては紛らわしいかもしれないんだけど、!K7 RecordsとはCobblestone Jazz名義でリリース契約をしていてさ。The Moleが関わっていたものをCobblesrtone Jazz名義でリリースしたことも何度かあった。だから、今後はファンにも分かりやすいように、きちんと4人の名義であるModern Deep Left Quartetで契約する必要があるかもしれないね(笑)。

−−主宰レーベルのWagon Repairからしばらくの間リリースがありませんが、『23 Seconds』以来のアルバムを期待しても?
ゆっくりと活動しているから、Wagon Repairからのリリースはとくにないかな。僕は自分のレーベルよりも他のレーベルからリリースしたいしね。Cobblestone Jazz として初めて作品をリリースしたのがItiswhatitis Recordingsだったんだけど、実はもともとSpencer Drennanのレーベルだったんだ。今は僕のレーベルになったから、Cobblestone Jazzのコンセプトを考えると、今後はここからリリースすることの方が多いかもしれないね。


−−近年のエレクトロニックミュージック、ヒップホップ・シーンでは、ジャズを取り入れた作品が高い評価を受けています。多くの偉人たちが残してきたものが、新たな才能によって生まれ変わっている今の音楽について感じることや思うことはありますか?
それは、ごくごく自然なことだと思うよ。音楽においてジャズというものはとても大きいからね。でも、ヒップホップのようにジャズの要素をサンプルするのか、それとも楽器を使ってジャズの要素を取り入れるのかでも大きく違う。もちろん、どちらも素晴らしいことだけど、ジャズは楽器を使った会話だと思うんだ。だから、僕は楽器を使って作られたものの方が好きなんだよ。あとはコマーシャル的なジャズか、正統派なジャズか、どういった形のジャズ要素を使うのかでも楽曲に大きな影響を及ぼすと思うよ。

−−ちなみに、普段はどんな音楽を聴いているんですか?
ジャズ、ポップス、R&Bをよく聴いているよ。なかでも最近はとくにR&Bを聴くことが多くて、Amel Larrieux、Liv Warfield、Lonya Doss、Conya Doss、Goapele、The Floacistがお気に入りだね。あとは、ジャズピアニストの上原ひろみも聴いてるね。初めて彼女の演奏を観たときに、あまりにも上手すぎて凹んだよ(笑)。

 

 


−−今回はDJ SODEYAMA主催のパーティ「ARPA SHOWCASE」への出演です。彼の楽曲のリミックスを制作したとお聞きしましたが、よく連絡を取り合っているのですか?
日本のパーティに初めて誘ってくれたのが彼なんだ。彼は本当に我慢強いよ(笑)。パーティのとき、僕はいつも酔っぱらているんだけど、そのときもテキーラのボトルを1本空けてしまって……、ずっと面倒を見てくれたんだ(笑)。今でも変わらずに良い関係が続いているし、お互い音楽制作でも関わってるから、いつか一緒にスタジオに入りたいね。

−−たびたび日本に訪れ、日本のダンスミュージック・シーンを肌で感じてこられたかと思います。これまで日本のシーンを見て感じてきた素直な気持ちをお聞かせください。
もちろん日本のシーンは昔と比べて変化してきていると思うよ。トランスのシーンがテクノへと移り変わる歴史も見てきたし、素晴らしいパーティもできあがってきた。東京では何度もプレイする機会をもらって、初めての場所がAIRだった。そのあともYellowやelevenで何度もやらせてもらったよ。そこでプレイできたことは本当に楽しかったし、良い経験を与えてくれた。東京以外だと、風営法の問題に立ち向かってきた大阪のシーンはとくに強いと思うな。あと、北海道は僕に取って特別な場所で、小さなシーンだけどパーティの雰囲気が独特で大好きなんだ。よく、いろんなインタビューで僕の好きな場所のひとつとして日本を挙げるけど、心の底からそう思ってるから答えるだけさ(笑)。

 

 

- イベント情報 -

タイトル:ARPA SHOWCASE feat. DJ SODEYAMA new album "TWELVE PROCESSING" release party
開催日:2016年1月30日(土)
会場:WOMB
時間:OPEN 23:00
料金:DOOR 3,500円、FLYER&MEMBER 3,000円
出演者:Cobblestone Jazz, DJ SODEYAMA, Kyoka, Knock, SO, TAKUYA, EITA, THE BEAUTIFUL NOISE, MICKSOUTH, DJ NOA, TROPI, CHEE CHON DISCO CLUB, CUUSHE, MERGRIM, SHOTARO HIRATA, FUMITAKE TAMURA, A BOYS CAKE SET, DJ EMERALD, SARA AM


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