INTERVIEWS

Keita Sano

2012年にデビューして以来、Mister Saturday NightやHolic Trax、1080p、Let's Play Houseなどさまざまな名門レーベルからハイスピードでリリースをし続け、今年はPanorama Barをはじめとしたヨーロッパツアーの敢行、さらには「Red Bull Music Academy」への日本代表としての参加など国外での活躍も際立つ、ミレニアム世代ど真ん中のハウス/テクノクリエイターKeita Sano。“芯のあるビート”と“太さ”をポリシーとした彼の音楽性は、世のハウス/テクノ〜ニューディスコミュージックファンをあっという間に虜にし、国内オルタナティブミュージックシーンの重鎮、瀧見憲司も彼の音楽に惹かれ、今夏にCrue-L Recordsからフルアルバムをリリースしたことも記憶に新しい。そんな飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進している彼が、あの北欧ディスコ大使Prins Thomasが主宰するレーベルRett I Flettaからアルバム『KEITA SANO』をリリースする。一体どのような経緯でリリースが決まり、どのような想いで制作されたのだろうか。今年果たしたヨーロッパツアーや、「Red Bull Music Academy」での印象も振り返ってもらいながら、彼に話を聞いてみた。

Text:Yoshiki Yamazaki

 

 

 


リリースすることは、日誌を書くという感覚に近い

 

 

ーー新作『KEITA SANO』のコンセプトを教えてください。

僕なりにテクノ、ハウス、ディスコを解釈したアルバムです。

 

ーー本作はどのような経緯で制作されたのですか?

2015年秋、江ノ島オッパーラでのライブに向けて作りました。ライブトラック集です。

 

ーーPrins Thomasの来日時に、あなたのライブを観て今回のリリースに至ったと伺いましたが、どのようなやり取りをされたのか、具体的に教えてください。

以前、僕が出演した江ノ島OPPA-LAの「Soul Olympic」というイベントの前日に、瀧見憲司さんとPrins ThomasがOPPA-LAでイベントをやってたそうで。Thomasが当日ふらっと遊びに来てくれたんです。僕がライブを終えた後、すごくお互いテンション高い状態で話しして、僕が「リリースさせてよ!」って言ったら、彼が紙にメールアドレス書いて「送ってこい」と。そこからはメールでやりとりしてリリースに至りました。

 

ーーどのような機材環境で制作されたのでしょうか?

ハードウェアだけでつくったり、ソフトウェアとハードウェアの両方で作ったりしました。

 

ーーなぜセルフタイトルでリリースしようと思ったのでしょうか?

リリースするということが、自分にとって日誌を書くことに近い感覚があって。そういう繰り返しの暮らしのなかで塗り替えていく気持ちを大切にしたいと思って、アルバムをセルフタイトルにしました。このアルバムは自分なんだと。
 

 

 

 
ーーこれまで数多くの作品をリリースしてきましたが、作曲をする際は普段どういったものからインスピレーションを受けているのでしょうか?
まず地元のレコード屋に行き、適当に店員さんや友達と話しながらレコードを聴いて、「よしっ! 曲作るか!」という感じでインスピレーション受けてます。

ーー自分にとっての音楽ルーツは何だと思いますか?
膨大なジャズコレクションを持っている父。テクノを教えてくれた兄です。

ーー地元岡山の音楽シーンにおける、特徴的な面、魅力などあれば教えてください。なお、今後活動拠点を移す予定などはあるのでしょうか?
難しいですね。シーン自体色々あるので。ただ、刺激的になれる先輩、友達はたくさんいます。それはどこも同じだと思いますが。今後も岡山で活動していきたいと思っています。

ーーハウス/テクノミュージックの魅力はどのようなところだと思いますか?。
本当に最高のハウス/テクノにフロアで体感すると、やっぱりクラブっていいなって思えるところです。

ーー愛用している機材のなかでこれだけは欠かせないという機材はありますか? また、その理由も教えてください。
MPCです。一番慣れている機材なので。
 

 

 

 

軸がブレても、逃げたいとき逃げても結局、自分は音楽に戻ってくる


ーー今年カナダ・モントリオールで開催された「Red Bull Music Academy(以下 RBMA)」へ日本代表として参加されましたが、一番印象的だった出来事は何でしたか?
Theo Parrishに会って、一緒にジャムセッションしたことです。

ーー同じく日本から参加した三宅亮太さんとは何か特別な交流はありましたか?
特に交流はありませんが、とても気になります。音源がすばらしいので。

ーーRBMAでの体験は、今後の音楽人生においてどのようなところで生かされていくとおもいますか?
軸がブレても、逃げたいとき逃げても結局、自分は音楽に戻ってくるんじゃないかなと思いました。

ーー自身の作品において、今後フィーチャリングしたいアーティストなどはいますか?
RBMAで出会ったニュージーランド出身のMarkってやつがすごく良くて、彼と曲を作りたいですね。

■Mark Sound Cloud
https://soundcloud.com/merkscoolsongs

ーー今までのリリース作品を振り返ると、作品によってさまざまなサウンドアプローチが見受けられますが、自分がもつ理想のサウンドの定義とはどのようなものなのでしょうか。
“芯のあるビート”と“太さ”です。

ーー同じシーン、あるいは同世代のアーティストで特に交流の深いアーティストなどはいますか? また、その方々とダンスミュージックについて語る際、どのような話をするのでしょうか?
同郷の、井上調(Shirabe Inoue)とDaisuke Kondoです。ダンスミュージックについては、実はあまり友達同士語りません。
 

 

 

 
ーーライブでの使用機材を教えてください。
今はラップトップ、インターフェース、MIDIコントローラーです。

ーーライブの際に常に気にかけていることは何ですか?
自分がどれだけ自分のライブにハマっていっているか、ということです。

ーー今年は、ベルリンのPanorama Barを筆頭に、パリ、ミラノなど、国外でのプレイも際立ちますが、海外でプレイして感じたことや、日本と海外でのフロアの雰囲気の違いなど、印象的なことがあれば教えてください。 
DJ単位で楽しむ、パーティー単位で楽しむ。基本的に海外はあそび方が激しいと感じました。

ーー今後自身のオーガナイズパーティーの開催や、レーベルローンチなどの願望はありますか?
それは秘密です。でも今後もリリース、ライブなどやっていくのでチェックしておいてください!

ーーでは最後に、今年出会った音楽のなかで一番印象に残った楽曲を教えてください。
DopeHeadの「Guttah Guttah」です。

■DopeHead - Guttah Guttah

 

 

 
- Release Information -

タイトル:KEITA SANO
アーティスト:Keita Sano
リリース:2016年12月7日(水)
レーベル:RETT I FLETTA/OCTAVE-LAB

[トラックリスト]
1. Full Of Love
2. Leave The Floor
3. Honey
4. On The Floor
5. Vood
6. Sucker Pt.2
7. None of Your Business

■リリースページ
http://www.clubberia.com/ja/music/releases/4829-KEITA-SANO-Keita-Sano/